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野村監督の持論「捕手は頭良くあれ」嶋基宏を学業成績で抜擢

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.05.17 11:00 最終更新日:2020.05.17 11:00

野村監督の持論「捕手は頭良くあれ」嶋基宏を学業成績で抜擢

 

 2020年2月11日に惜しまれつつ亡くなった、野村克也さん(享年84)。辛口の評論で人気だった野村さんだが、マネージャーの小島一貴さんは、「『野球界で長く過ごすうちに目が肥えてしまい、少々の良い選手でも驚かなくなった』とご本人がおっしゃっていた」という。

 

 そんな野村さんが、一目置いていた選手たちがいる。彼らへの評価には、野村さんの「キャッチャー論」が込められている。生前のエピソードを、小島さんが明かしてくれた。

 

 

 

「リードに首をかしげることが多かったけど、日本シリーズを経験して、30歳過ぎてから良くなってきたと思う。これからが、キャッチャーとして味が出るところだったのに。もったいなかったな」

 

 野村監督は、当時球界を代表するキャッチャーだった阿部慎之助氏が怪我の影響もあってファーストに転向したのを、そう言って残念がられていた。

 

 監督が、ほかに認めていたキャッチャーが2人。ひとりは、嶋基宏選手だ。

 

「キャッチャーは頭が良くなきゃいけない。高校時代のは当てにならんから、中学時代の成績を聞いたら、嶋はオール5だった。『10段階か?』って聞いたら5段階だって。それで抜擢した」

 

 ただ、デビュー当初の評価は高くなかった。

 

「『右目でボールを見て、左目で打者の反応を見るんだ』と教えたら、できないと言うので、『執念が足りない、執念で見ろ』って言ってやった。

 

 怖がってインコースを要求しない。(コーチで息子の)克則がベンチから、『インコース行け!』って怒鳴るんだけど、投げさせない」

 

 そんな嶋選手に、転機が訪れた。

 

「日本シリーズを経験して、良くなったと思う。名捕手は大体、日本シリーズを経験している。本人も自信がついたんじゃないかな。

 

 あとから振り返れば、教えたキャッチャーの中で一番理解度が高かったのは嶋かもしれない。古田(敦也)ほどじゃないけど、キャッチャー頭脳をバッティングに生かしたよ。3割打った年もあるし」

 

 そして、もうひとりは野村克則氏だ。楽天時代、球団代表たちがファンのアンケートを持ってきて、「レギュラー捕手から克則氏を外すべき」と進言してきたことがあった。

 

「じゃあ、誰がピッチャーをリードできるんだよって。他にいないから使っている。『そんなにアンケートが大事なら、スタメンも全部ファン投票で決めれば』って言ったんだ」

 

 実力も評価されていたが、「ずっとコーチの仕事があるってことは、本人の人徳。俺に似なくて良かった」とおっしゃっていた。

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