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戸郷翔征、ドラフト6位から巨人の出世魚に「夢はマグロ漁師…」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.08.27 06:00 最終更新日:2020.08.27 06:00
「監督、僕は野球選手じゃなくて、マグロ漁師になりたい。だから高校もそういう高校に行きたいんです」
もはや巨人のローテーションの中心を担っている戸郷翔征(20)が野球を始めたのは小学1年で、宮崎県の少年野球チーム「三股ブルースカイ」でのことだった。彼は浅井俊博監督に、意外な将来の夢を語っていたという。
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「今と同じように大きな投げ方でね。体は細かったけど、バネがあった。野球を続けてほしかったんだけど、マグロ漁師が自分の夢だと。『マグロを獲って、監督のところに持って行きます』と言ってくれるような子でした」
幼少時は野球よりも釣りに興味があったことは、両親の証言からもわかる。
「野球をしていないときは、魚釣りをしているか寝ているか(笑)。翔征が好きなものは、主人の趣味から来ている。投球練習にしても、魚釣りの網を主人が改造してストライクゾーンに見立てて、そこに向かって投げていました」
と母・ヒトミさんが言えば、父・健治さんも「親子三代で釣りが好きなんです。手先が器用で、釣りの仕掛けも自分でやっていましたから」と笑う。
戸郷といえば、体を大きく使って、ややサイド気味から投げるフォームが特徴。だが、健治さんには心配な点もあった。
「肩や肘の故障を心配して、周囲もオーソドックスなフォームに直そうとしたんですが、コントロールが定まらない。それで、いちばん投げやすいフォームなんだからと、そのままで指導していただき、結果的によかったと思います」
漁師という夢を持ちつつも、戸郷の野球の才能は開花していく。妻ケ丘中学校時代の宮脇好陽監督が振り返る。
「軟式球でも125キロは出ていました。驚かされたのが遠投力。校庭は広さ80メートルほどで、その先に3階建ての校舎があったんですが、遠投で校舎の屋上を越えていました」
高校は聖心ウルスラ学園に進み、2年の夏には甲子園にも出場。全国区ではなかったが、スカウトの評価が一変したのが、3年生の8月。U-18日本代表との壮行試合に宮崎選抜の投手として登板し、根尾昂(20・現中日)、藤原恭大(20・現ロッテ)、小園海斗(20・現広島)らを相手に5回1/3、9奪三振の快投を見せたのだ。
そして巨人入団2年めの今年、大ブレイク。それには「ひとつのきっかけがあった」と、巨人担当記者は語る。
「1月の自主トレで、ブルージェイズに移籍した山口俊に弟子入りした。戸郷は物怖じせず、先輩の懐ろにどんどん入っていける性格。山口にも『どうしたら俊さんみたいになれるのか?』と、質問攻めにした。
山口の答えは『まず体を大きくしろ』ということだった。戸郷は現在186センチ75キロだが、夏場は70キロを割ることもある。そこで自主トレ中はステーキ500グラムの昼食を日課にした。おかげで体重も増え、球に力強さが加わったことが、今年の躍進に繋がっている」
高卒2年めでの開幕ローテ入りは、巨人では桑田真澄以来33年ぶり。開幕3連勝は、その桑田を凌ぐ快挙だった。“出世魚” の活躍に侍ジャパンの稲葉篤紀監督も熱視線を送っている。
(週刊FLASH 2020年9月8日号)