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元日本代表・栗原勇蔵「メッシの強い体にファールも阻まれ」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.09.03 16:00 最終更新日:2020.09.03 16:00
2000年、13歳の頃から約20年間在籍したFCバルセロナ(以下バルサ)に退団の意向を伝えた、リオネル・メッシ。サッカー選手としては “晩年” とされる33歳という年齢をもってして、「移籍金は800億円超」ともいわれており、ケタ違いの存在である。なぜメッシは、こんなにも評価されるのか。
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「彼は次元が違いますからね」と語るのは、元サッカー日本代表で、現在は横浜F・マリノスクラブシップ・キャプテンを務める栗原勇蔵氏(36)だ。
栗原氏は、ザッケローニ監督の初陣となった2010年のキリンチャレンジカップで、日本代表VS.アルゼンチン代表の試合に出場。何度もメッシとの激しいマッチアップを見せ、日本の「1-0」での完封勝利に貢献した。
「会場の埼玉スタジアムは、いつものように超満員でしたが、それまでの代表戦とは違って、一種異様な雰囲気に包まれていたことを覚えています」(栗原氏)
同試合でのアルゼンチン代表にはメッシ以外にも、エステバン・カンビアッソ、アンドレス・ダレッサンドロ、カルロス・テベスなど超一流選手がスタメンに名を連ねた。さらにベンチにはアンヘル・ディ・マリア、ゴンサロ・イグアイン、ハビエル・パストーレが控えており、まさにドリームチーム。
「正直、代表戦はJリーグの試合と違う緊張感があります。しかも、あの試合の相手は、テレビ越しで見るか、サッカーのテレビゲームで操作するぐらいでしか関われない存在なんですよ(笑)。
あとにも先にも、あれほど豪華なメンバーと対戦したことがなかったので、僕のキャリアのなかでもっとも強く印象に残っている一戦です。でも、試合中は相手が凄すぎて、緊張を通り越して、割と冷静でいられました」
栗原氏のポジションは、4人で固めたディフェンス(DF)ラインのうち、左のセンターバック。対するメッシは、右のシャドー(フォワードとミッドフィルダーのあいだ)気味にポジションを取っており、直接対決の機会は多かった。
「メッシのドリブルには驚かされました。タッチが細かく、足からボールが離れない。しかも、わざとボールを体の前にさらしてくることがあるんです。そこで『取れる!』と思って足を出すと逆を突かれて突破され、トップスピードの差で置いていかれてしまう。
さらに、トップスピードでも、まったくボールコントロールを誤らない。『ボールを手で扱っている』といった表現が、一番しっくりきますね」
メッシは、“うまくて速い”。試合前からわかっていたことだが、栗原氏がさらに驚いたのは、「強さ」だった。
「メッシって、テレビで見ていると、決して体が太いイメージはないと思います。ところが実物は違って、胸板は厚いし、首回りも太い。だから、体の幹がしっかりしている。あと、手首から肘までの前腕も太いんですよ。
サッカーでは反則ですが、プレー中、どうしても相手選手を止めなければいけないときは、腕を引っ張ったりしますよね。メッシは前腕が太いので、引っ張ろうとして手をかけても、指が回らず、振りほどかれてしまう。だから、ファールすらできないんです(笑)」
栗原氏が痛感したのは、日本のサッカーが越えられない世界の壁だった。
「よく、『アルゼンチン人やスペイン人は、日本人と体格が似ている』といわれるんですが、そんなことはないんです。骨格の部分では、やっぱり日本人より太いと分かりましたね。だからこそ、体のブレがない。日本人はどうしても首が細くて頭が大きいので、体幹がブレてしまうんです。
世界最高の舞台でやっていこうと思えば、うまくて速いだけではやっていけないと思うんです。メッシは、そこに強さが加わっているから、今でも世界のトップであり続けていられるのでしょう」
メッシは現在、移籍問題に揺れているが、ヴィッセル神戸のオーナーである楽天の社長・三木谷浩史氏が多額の移籍金を支払い獲得するのではないか、という声も聞こえ始めている。
「そうですね、Jリーグでメッシを見てみたいですよね。数年前なら、まったく現実味がありませんでしたが、ヴィッセル神戸は(アンドレス・)イニエスタや(ルーカス・)ポドルスキを獲得し、鳥栖ではフェルナンド・トーレスが活躍した時代なので、なくはないと思うんです。
でも、『メッシにとって日本に来るメリットはあるのか』とは思います。お金は、余るほど持っているでしょうからね。メッシの名前は、サッカーを知らない人でも知っています。本当に来日したら、大変なフィーバーが起きるでしょうね」
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