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原英莉花に笹生優花…女子ゴルフ「ジャンボ門下生」が強い理由

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.10.16 06:00 最終更新日:2020.10.16 06:00

原英莉花に笹生優花…女子ゴルフ「ジャンボ門下生」が強い理由

2020年2月、「ジャンボ尾崎ジュニアレッスン会」に参加。ジャンボの話を真剣に聞き入る原

 

「ちょっと自信を持って報告に行けるかな」
 10月4日、日本女子オープンで国内メジャーを初制覇し、ツアー2勝めを挙げた原英莉花(21)が、師匠である「ジャンボ尾崎」こと尾崎将司(73)の祝福コメントを受けて、嬉しそうに語った言葉だ。師のコメントとは、こういうものだった。

 

 

《パッティングさえ良くなればトッププレーヤーになれる。今回のこの緊張感の中で、いいプレーができたのも、その証拠である。女子のゴルフもずいぶんとレベルアップしたものだ。おめでとう!》

 

 いま女子ゴルフ界では、尾崎に師事する「ジャンボ門下生」が大活躍している。日本女子オープンの前週、尾崎邸を訪ねた原は、「おまえ、ショットが悪い、悪いって、何言ってんだ。(1ラウンドで)30パットを切れずに、何がショットだよ!」と、ジャンボに叱咤されたという。

 

 2020年の原の平均パット数は30.32だが女子オープンでは27.25だ。これが、優勝の要因のひとつなのは確か。さらに、こんなライバル心もあったようで……。

 

「門下生といわれる笹生(優花)が早々に2勝したことで、悔しい思いもあったのでは。ジャンボに『2勝めが大事』と口酸っぱく言われていながら、なかなか結果が出せずにいましたから」

 

 そう話すのは、日韓ゴルフに詳しいスポーツライターのキム・ミョンウ氏だ。そんな気持ちも、原を奮い立たせたのだろう。

 

 原が、知人の紹介で初めて尾崎邸を訪れたのは、15歳のときだった。

 

「本人は、『かなりビビって緊張した』と話していました(笑)。彼女のドライバーショットを見たジャンボは、『自分が見てきた女子のなかで、いちばんすごい』と思ったそうです。

 

 原は高校1年の冬から、毎週日曜日は “ジャンボ邸” に通って、技術的なことも含めて見てもらっていたそうです」(キム氏・以下同)

 

“ジャンボ邸” と呼ばれる尾崎の自宅の練習場は、ドライバーが打てる広大な敷地に、アプローチやバンカー、パットの練習環境が整っている。男子ツアーで活躍する「ジャンボ軍団」の選手たちも練習に訪れるため、間近でトッププロの練習の取り組み方や、ゴルフに対する姿勢を学ぶことになる。

 

 こうした環境下で自然と養われる「メンタル」と「ライバル心」が、ジャンボ門下生の強さの秘密だろう。

 

【西郷真央(19)】2019年の日本女子アマで優勝した実力の持ち主。ジャンボが命名したあだ名は、“せごどん”

 

 そのことを証明したのが「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」の1期生で、初のプロ選手となった西郷真央だ。プロ初戦で優勝争いを演じても、まったく動じなかった。2020年の賞金ランキングは、19位である(10月13日現在)。

 

【笹生優花(19)】

 

 プロデビュー直後にツアー2連勝で賞金ランキングトップを走る笹生優花は、父親の正和さんの知り合いを通じて誘われて、尾崎邸を訪れた。

 

「初めて笹生のスイングを見たジャンボは、『今まで、どんな練習をしてきたんだ』と聞いたそうです。原もですが、“飛ばし屋” がいるとジャンボは、そのスイングを実際に見たくなるのかもしれませんね」

 

 笹生が8月16日の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で初優勝を遂げた際には、師はこうコメントを寄せた。

 

《パワーとスピードを兼ね備えた体を作り上げた本人の努力以外になし。アメリカでトップになりたいと意識していたが、それが見えてきたのではないか。まずは1勝。良かった》

 

【川崎志穂(24)】2019年4月にジャンボの門を叩いてから、ゴルフへの気持ちが前向きになったという(写真・竹藤光市)

 

 さらに、2019年から尾崎邸に通っているプロ4年目の川崎志穂も、飛距離が武器。2020年は、まだ結果を出せていないが、今後が楽しみな選手のひとりだ。

 

 さらに2019年の日本女子アマチュアゴルフ選手権2位タイで、プロテスト合格を目指す和久井麻由(19)も、ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー出身の逸材である。

 

 ジャンボ自身は、新型コロナウイルスの影響で試合が中止になったこともあり、今季はプロになって初めて一試合も出場しない予定。表舞台で目にすることが減ってしまったが、代わりに弟子たちの躍進は続く――。

 

 


おざきまさし 73歳。プロ野球・西鉄ライオンズに入団。1970年、プロゴルファーに転身。プロデビュー2年めで初優勝。賞金ランキング制が始まった1973年に初代賞金王に。1994年からの5年連続を含む、12回の賞金王に輝く。通算優勝回数は113(うち日本ゴルフツアー94)で、世界プロツアー最多記録を誇る。2010年、世界ゴルフ殿堂入り

 

写真・日刊スポーツ/アフロ

 

(週刊FLASH 2020年10月27日号)

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