三兄弟のなかで唯一、現在も現役を続けているのが、三男の和毅。日本を離れてメキシコで武者修行をおこない、2008年に現地でプロデビュー。2013年にはWBO世界バンタム級王者のパウルス・アムブンダに挑戦し、判定勝ちで初の世界王座戴冠を果たした。史上初となる三兄弟での世界王者達成で、ギネスブックで世界記録にも認定された。
「今も現役っていうのもあって、ボクシングの話もできるし、年が近いのもあっていちばん仲がいいかな。最近はこっち(大阪)にも帰ってきたので、練習も一緒にしています。和毅のことは、姫はめちゃくちゃリスペクトしていて、プロ意識がすごいなって思います。16、17歳で一人でメキシコに行って、それで今はスペイン語で普通に会話もできる。
和毅の素顔? じつは、和毅がいちばんおもしろいキャラなんじゃないかって思います。興毅がバラエティとかに出て、『おもしろい』『ギャップがすごい』とか言われてるけど、和毅のほうがずっとおもしろい。でも、それを出す場所がない(笑)。引退してバラエティ番組とか出たら、人気出ると思いますよ」
そんな一家の“ラスボス”が、父・史郎だ。強面で、JBCからセコンドライセンスの資格取り消し処分を受けたり、客席からがなり声を上げる姿がクローズアップされ、世間では「怖い」というイメージが定着しているが……。
「姫の中でも、パパのイメージはちょっとずつ変わってきてるんですけど、でもまだやっぱり怖いイメージは残っていますね。そこはもうゼロには戻らないと思います。パパは昔からアメとムチがはっきりしていて、練習では鬼の顔でボクシングを教えるんですけど、プライベートは、めちゃくちゃ優しいお父さんになるんです。
それに意外とシャイで、人見知りなんですよ。初めて会った相手と顔を見て話して、『この雰囲気ならいける』と思ったら、ガーッといくタイプなんですけど、『圧で負けたな』と思ったらめっちゃシャイになるんです。
ファンの方から声をかけられると嬉しいんですが、体がごつくて顔が日焼けしてて、雰囲気がいかついファンの方が『3150(サイコー)!』とかやってきたら、パパはちょっと引くんですよ。『あ、あ〜』みたいな(笑)」
最後に、姫月さん本人の話を聞こう。プロボクサー、タレント、アパレル会社社長、YouTuberと、さまざまな顔を持っているが、将来をどう見据えているのか。
「ボクシングはあまり長く続けたくないんです(2018年にデビュー。戦績は6戦5勝〈5KO〉1敗)。それほど好きじゃないし、現役中は恋愛禁止だし。できるなら今すぐにでもやめたいくらい(笑)。ただ、パパのセコンドライセンスが返ってきたら、亀田家復活ということでリングに上がって、パパのセコンドで試合をしたい気持ちはあります。
YouTubeを始めたのも、パパのライセンスが早く返ってくるようにという思いから。本人のイメージが悪かったら、復帰も遅くなってしまうと思いますし、少しでもパパのイメージをよくできればと続けているんです。世間の方もだいぶんわかってきてくれていると思います。
本当はおもしろくて優しい人で、昔はキャラを作っていたんだなと。今はひとつのことに集中するのは難しいんですが、最終的にはアパレルに力を入れてやっていきたいかな。将来のことは、むちゃくちゃ計算してますよ(笑)」
壮絶ないじめに6年間も耐え抜いた姫月。理想の男性を 聞くと、「パパみたいな人。体はごついし、一人でなんでもできちゃう」と、笑顔で答えてくれた。
写真&取材&文・北浦勝広
(週刊FLASH 2020年11月3日号)