10月26日、「2020年 プロ野球ドラフト会議」がおこなわれた。北海道日本ハムファイターズが2位指名で交渉権を獲得した五十幡亮汰外野手(21・中央大)は、アマ球界のみならず、全野球選手でNo.1の快足といわれている。
「『陸上をやったほうがいいんじゃないのか? 五輪を目指したほうがいいぞ』と何度も話したことがあるんだよ」
五十幡を小学生のころから指導した「東京神宮シニア」の丸山完二総監督(80)が、そうすすめたのも無理もない。2013年の「全国中学陸上」では、現100m日本記録保持者のサニブラウン・アブデル・ハキーム(21)を破り、五十幡は100mと200mの2冠を達成していたからだ。
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「現地でレースを見ていたけど、いつもは野球のユニホームを着ている五十幡だけは、体が日焼けしてないので真っ白(笑)。それなのに、勝っちゃった。でも、本人の『野球がやりたい』という意志が固かったね」(丸山総監督)
じつは五十幡は、小学3年生のときに母・恵子さんをガンで亡くしている。
「お母さんと、『絶対にプロ野球選手になると約束したから頑張る』って。それを聞いて、『素晴らしい夢だから、一緒に頑張ろう』と声をかけた。お父さんも、毎回送迎や遠征に同行してくれていたね」(同前)
教え子について、丸山総監督には心配事がひとつある。
「やっぱり体が小さい(身長172cm)こと。毎回、食事に関しては口酸っぱく言ったんだけど、とにかく好き嫌いが激しかったね。あとは、よく口が半開きだから、『口を閉じろ』って怒りました(苦笑)」
とはいえ、選手、コーチ、フロントと “スワローズ一筋” 40年以上の丸山総監督から見ても、「あれだけスピードがあって、守れてという選手はいなかった。それだけ、今後の活躍への期待は大きい」という。いざ、母に誓った舞台へ。
(週刊FLASH 2020年11月10・17日号)