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元「ドラ1」選手5人が明かす“裏特約”…1軍確約に実家のリフォームも

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.11.19 06:00 最終更新日:2020.11.19 10:05

●巨人のある選手は、実家に高級車が届いた

 

 平成の時代、さらにドラ1が特別だった時期があった。1993年から2006年まで採用された、希望入団枠制度(逆指名制度・自由獲得枠制度)である。球団による選手の囲い込みが問題視されたため、導入された制度だった。

 

 それまでは、ドラフト候補の選手本人や両親、野球部監督などの関係者へ多額の裏金を渡したり、いったん関連企業に入社させたあとに、あらためて入団させるなどの “裏工作” をおこなうチームがあったのだ。じつは愛甲氏も、この手法で西武への入団を目論んでいたという。

 

「当時、西武の球団管理部長だった根本(陸夫)さんと、プリンスホテルの総支配人だった幅(敏弘)さんにお世話になっていました。

 

 あの年のドラフトは、西武は石毛(宏典)さんの1位指名が決まっていて、原さんが複数球団の競合になることがわかっていた。だから、『愛甲は外れ1位で指名されるから、2位で獲れるわけがない。いったん(社会人チームの)プリンスに入ってから西武に来てくれ』と。

 

 プリンスの入団条件はすごかったです。支度金2000万円と、僕の地元近くにあった西武が開発する、高級分譲地に家を提供するって言われました。

 

 だけど、ロッテが予想外に僕を単独1位で指名してきた。ドラフト当日のあの顔は、嫌がったんじゃなくて驚いただけ(笑)。ロッテに西武との “家提供” の密約の話をしたら、ショボい物件を提示してきたんで断わりましたけどね」

 

 当時、巨人と西武は露骨な新人獲得工作をおこなっていた。逆指名制度開始以前に入団した橋本氏も、うらやましく思ったことがあるという。

 

「契約金以外にお金をもらったり、高価なプレゼントをされたりは、僕の時代にはなかったですから。逆指名制度が始まってからでしょうね。上限の契約金以外に、5億円とかもらった選手がいると報じられましたよね。

 

 実際に誰とは言えませんが、巨人のある選手から聞いたことがあります。知らないあいだに実家に高級車が届いていたり、帰省したら家がきれいにリフォームされていたりとか(笑)。父親が経営する会社に仕事を斡旋するといったこともあったようです。『僕も、あと10年遅く生まれていたら』と、本気で思いましたよ」

 

 自由枠制度が始まってから、今度は「栄養費問題」が持ち上がった。渦中の人だった、一場靖弘氏(38・楽天→ヤクルト)が、当時を振り返る。

 

「明治大4年時に、もう巨人入りは決まっていたんですが、栄養費問題で全部白紙になってしまいました。巨人から明治の監督さんに、『もう、うちは指名しない』と連絡が来ましたよ。

 

 同じく関与していた横浜も、『指名は難しい』ということで、そちらの話もなかったことになってしまいました。自分でやったことなので仕方ないんですが、まさかこんな事態になるとは、想像もしていませんでした」

 

 栄養費問題とは2004年、ドラフト自由枠で一場氏の獲得を目論んでいた複数の球団が、日本学生野球憲章に反して現金を渡していたことが発覚したというものだ。

 

 巨人が食事代や交通費・小遣いなどの名目で数回にわたり総額約200万円、横浜が約60万円、阪神が約25万円を渡していた。広島は交通費2000円。すったもんだの末、一場氏は新規参入球団だった楽天ゴールデンイーグルスから、自由獲得枠指名を受けて入団することになった。

 

「逆指名の形でしたけど、いろいろ問題を起こしたこともあって、金額や待遇に関しては、表で提示されたもの以外は、なんにもなかったですね。契約金1億円と出来高5000万円、年俸1500万円。終身雇用とか一軍確約とか、特別待遇はいっさいなかったです。『自力で頑張ってくれ』と」

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