スポーツ
巨人・菅野智之、メジャー挑戦へ…後輩・戸郷翔征と握手の真意
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.11.28 09:50 最終更新日:2020.11.28 15:51
「圧倒的な成績を残し、みんなに『頑張って来い!』と激励されて、米国に行きたい」
かつて巨人の菅野智之(31)は、将来のメジャー行きについて聞かれたとき、そう答えた。
2020年オフシーズンに、ポスティングシステムを利用してアメリカ大リーグに挑戦すると報じられ、その動向に注目が集まる菅野。冒頭の「圧倒的」という言葉は、菅野が尊敬する田中将大(31、現在FA)が24勝0敗の成績を残して、海を渡ったときのことを意識してのものにほかならない。
【関連記事:菅野智之、原監督の上から目線に「うっとうしいよ、伯父さん」】
そして2020年シーズンの菅野は、プロ野球新記録となる開幕13連勝を飾り、巨人をリーグ連覇に導いた。理想通りの「圧倒的」な成績を残したのだ。しかし、「ここにきて状況は一変している」と語るのは、巨人担当記者だ。
「たしかにペナントでは素晴らしい成績でしたが、日本シリーズでは大事な開幕戦を任されながら、敗戦投手になってしまった。しかもチームとしては、屈辱の『2年連続4連敗』。そんななかで『メジャーに挑戦します』とは、すぐには言えないでしょう。
もし日本シリーズで勝っていれば、堂々とメジャー挑戦を宣言していたでしょうが、いまは “発言のタイミング” を探っている状態です」
巨人は数年前から、菅野がメジャー挑戦を希望していることは認識していた。2019年11月には球団の山口寿一オーナーが、ポスティング移籍を容認するような、こんな発言をしている。
「ドラフトで1年待って、巨人に来ている。そのぶん、海外FA権を取得するのが、後のほうにずれていくような事情がありますよね」
一方で、巨人の指揮官であり、伯父でもある原辰徳監督(62)は、日本シリーズ敗退から一夜明けた11月26日、福岡空港で複雑な心境を報道陣に吐露した。
「(ポスティングによる菅野のメジャー移籍は)非常に難しいね。監督という立場であるならば、残ってくれるというのがベストですよ。『行きなさい』とは言えないね(苦笑)」
だが、一旦グラウンドを離れれば、甥っ子のメジャーへの熱い思いは、誰よりも理解している。だからこそ、複雑な表情で締めたのだ。
「それでも結局、菅野は海を渡る」と前出の記者は言う。その理由は、11月25日におこなわれた日本シリーズ表彰式の、ある光景が物語っていた。
「惨敗だった巨人で唯一、意地を見せて日本シリーズの『敢闘賞』に輝いたのが戸郷翔征投手でした。菅野は表彰式が終わると、わざわざ戸郷に歩み寄り笑顔で握手したのです。その光景は『次のエースはお前だ。任せたぞ』という継承の儀式のように映りました。
この光景を見ていた、ある巨人関係者は『ああ、これで最後なんだろうな』と呟いていました」
気になるのは、菅野の移籍先だ。米国もコロナ禍の影響で、どの球団も経営が苦しいのが現況だ。そうなると、資金力のあるチームということになるが……。そんななか現地で話題にあがるのが、ヤンキースとドジャースだ。
「ヤンキースは、メジャーきっての名門ですが、世界一から11年間遠ざかっています。豪腕コールがいるとはいえ、続く田中(将大)と(ジェームズ・)パクストンがFAのため、去就が不透明。ぜひとも、菅野がほしいところです。
一方のドジャースは、(クレイトン・)カーショウを筆頭に、先発陣は充実していますが、編成のトップであるフリードマン本部長が菅野を買っているんです。
また本拠地ロサンゼルスは、『リトルトーキョー』など、日本人コミュニティーが多く存在しています。日本人選手の獲得は、観客動員数に直結するだけに、インパクトは大きいでしょう」(メジャーリーグライター)
原監督は、「(菅野が行くかどうかは)一生懸命考えるはず。彼の場合は、ダラダラと考えないと思うよ」と語った。回答の期日は、申請期限の12月12日まで。後輩・戸郷との「握手の真意」や、いかに。
写真・産経新聞