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桑田真澄、巨人コーチ就任…「東大野球部」教え子が語る“常識を覆す”指導法

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.22 06:00 最終更新日:2021.01.22 06:00

桑田真澄、巨人コーチ就任…「東大野球部」教え子が語る“常識を覆す”指導法

 

「まさに寝耳に水。予想外の異例中の異例な人事でした」
 巨人の今季のコーチングスタッフに、OBの桑田真澄氏(52)が投手チーフコーチ補佐として入閣することとなったが、冒頭のように巨人担当記者が驚くのも無理もない。

 

 これまでの人事は、シーズン後半に着手し、終了後に発表するのが恒例。だが、今回は年を跨いで2021年1月12日となった。現役時代の桑田氏は実績、経験ともに申し分ないが、プロの指導者としての経験はない。

 

 

 そんななか唯一、長期で指導したのが東京大学の野球部だ。2013年から2年間、同野球部の特別コーチを務めた桑田氏から指導を受けた、2人のOB投手から話を聞いた――。

 

 卒業後に独立リーグでプレーし、引退後は北海道・星槎道都大学硬式野球部コーチを務める井坂肇氏(30)には、忘れられない言葉があるという。

 

「口癖のように言われたのは、『常識を疑いなさい』ということ。投球の際、『肩は水平に、腕は真上から振り下ろす』など、今まで当たり前とされてきたことを否定し、『右肩は落として投げろ』など、桑田さんならではの教えを受けました。

 

 練習時間も短くなりました。それまでは一日6~7時間ほどで、翌日に疲労が残り、万全の状態で練習ができなかった。それが4時間ほどになり、効率よく練習することで、技術的にも上達しました」

 

 選手自身に考えさせることも、桑田式練習法だった。

 

「『答えは自分で見つけるものだ』と、桑田さんが質問を投げかけ、選手自身が答えを考えながら練習する指導法でした。

 

『無駄なことはやめよう』とも、常に言われました。投球練習の際、それまではラスト1球に納得がいかなければ、さらにもう1球投げていましたが、試合で “もう1球” は許されない。そうした、初球から集中して投げることの重要性にも気づかされました」

 

 もう1人のOB選手も語る。

 

「選手一人ひとりの感覚に合った指導をしてくれるので、選手たちの成長度合いは早かった。説明の仕方もとにかくうまいんです。

 

また、桑田さん自身が毎日トレーニングで投げ込みをしていたので、見本になったし、間近で本物を見せていただけたことはとても大きかったですね」

 

 その教えは、社会人となった今も、生きているという。

 

「桑田さんは、『勉強するのも野球のため、休むのも野球のため』というように、さまざまなことを野球に繋げていた。その姿勢は、卒業後の野球人生に大きく影響しています」

 

 スポーツ紙デスクは、「プロでの指導は未知数だが、新風を吹き込む可能性はある」と評しながら、桑田新コーチ誕生の舞台裏を語ってくれた。

 

「桑田氏が巨人を退団した2006年、『巨人では二軍での登板が最後』と自身のブログで発信した。これを事前に知らなかった原(辰徳)監督が、『ルール違反だ!』と激怒して、2人に確執が生まれたため、原政権での『桑田コーチ誕生はない』とみられていた。

 

 ところが今回電撃就任したのは、巨人が日本シリーズで2年連続ソフトバンクに惨敗し、確執どうのこうのより、ソフトバンクに勝つには桑田氏の力が必要となったから。それだけ原監督は、彼の指導理論は高く評価している。

 

 ただ、桑田氏は一軍のみならず、二軍・三軍も見るように言われている。その二軍には、“スパルタ指導” で有名な阿部(慎之助)監督がいて、2人の指導法はまさに “水と油” 。新たな確執が生まれるのでは、と危惧されている」

 

 前出の井坂氏が語る。

 

「学生の僕らは、桑田さんの教えを理解するにはレベルが足りなかった。でも、プロに教えるとなれば、桑田さんの教えを体の感覚で理解できるので、プロの投手と桑田さんの考えが組み合わさったとき、どう伸びるかが楽しみです。

 

 今まで春季キャンプで見てきた当たり前の練習風景が、2021年は大幅に変わるのではないかと思っています」

 

 就任会見2日後の1月14日、ジャイアンツ球場での新人合同自主トレを視察した桑田氏。はたして桑田新コーチは、打倒ソフトバンクの切り札になるか――。


(週刊FLASH 2021年2月2日号)

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