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広島V3監督・緒方孝一氏が断言「カープが再び台風の目になる!」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.29 06:00 最終更新日:2021.01.29 06:00
選手時代は俊足・強打・好守の外野手としてチームを支え、コーチを経て監督に就任するや、巨人以外ではセ・リーグ初の三連覇を果たした緒方孝市氏(52)。33年間、袖を通し続けた赤のユニホームを脱いで、2年めのシーズンが始まろうとしている。
緒方氏に、まず尋ねたかったのは、巷で囁かれる「セ・パ格差」である。なにしろ、ここ10年間の日本シリーズでは、パ・リーグの9勝1敗。セ・リーグの優勝となると、2012年の巨人まで遡らなければならない。結果が示すように、“パ高セ低” の時代なのだろうか。
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「実際、私も指揮しているあいだに2016年と2018年の2回、日本シリーズに出場し、それぞれ日ハムとソフトバンクに敗れたので、説得力のある言葉ではないかもしれませんが……。ペナントを制したチーム、あるいはCSを勝ち上がってきたチーム同士が戦うのですから、『セが弱く、パが強い』とは、ひと言で言えるものではないし、レベルの差は感じていません。
ただ、とにかくこの10年間で、継続中のリーグ四連覇に加えて計7回も日本一になっている、ソフトバンクが強いということ。投打に素晴らしい選手を揃え、本当に隙がない。パとセの力の差ではなく、ソフトバンクのチーム力、総合力との差だと思います」
また、「勝てないセはDH制の導入を考えるべきだ」という主張もしばしば聞こえるが……。
「私は、DH制を採用しなければならないとは考えていません。DH制をなくさなければ勝てない、パの野球に近づけないとも思いません。
2020年はコロナ禍のなか、パの土俵であるDH制が全戦で採用された日本シリーズだったので、巨人が勝てなかったのは、しょうがないといえばしょうがない。ソフトバンクは、その戦い方に慣れていますから。
確かにセは投手が打席に立ちますから、代え時は難しい。でも、パにはない選手起用、戦略、戦術を駆使しながら試合をするという、いろいろな違い、楽しみがあるわけです。もちろんDH制のあるパでも、独自の戦術がある。そういった背景が異なる両チームが日本シリーズで激突するからおもしろいんです。
私はDH制をセが採用しないから勝てないとは思っていないし、DH制そのものには、賛成でも反対でもありません」
春季キャンプ開始まで1週間を切った今、各球団の陣容は、ほぼ固まった。セの展望についてはどうか。
「まだキャンプも始まっていないので、順位予想などをする時期ではありません。あくまでも2020年の戦いぶりと補強面からの判断ですが、やはりリーグ二連覇中の巨人を中心にまわっていくでしょう」
その巨人の強さとは?
「投手陣では菅野智之という絶対的なエースがいますが、彼に続く投手はというと、すごい成績を残しているわけではない。打線に関しても、岡本和真は本塁打と打点の二冠に輝きましたが、打率で見ればトップ10には坂本(勇人)しかいない。チームの本塁打数も防御率も突出した成績ではない。
では、なぜ強いのか? やはり原辰徳監督の采配ですね。多くの選手をうまく起用し、試合を通じて若手の育成までやったわけですから。『経験豊富な監督だな』ということは、シーズンを通して感じました。
また2021年は、補強も積極的。メジャーで実績のある(ジャスティン・)スモークと(エリック・)テームズを、FAでは横浜から井納翔一と梶谷隆幸を獲得した。そして菅野が残留したことが、いちばんの “補強” ですから。優勝候補であることは、間違いありません」
そのほかに有力なチームは、どこが挙がるのだろう。
「2020年2位だった阪神は、藤川球児らベテランが抜けた穴が少し心配ですが、若手が主力級に育っているし、外国人で実績のある3選手を獲った。おもしろい存在になるのでは。
中日は投手陣が若返ったし、絶対的エースの大野雄大もいる。投手陣の整備という、優勝争いに不可欠な条件が揃っています。横浜は、2020年シーズン怪我に泣いた今永昇太と、山崎康晃の復調次第でしょう」