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世界唯一の「モハメド・アリ」サインボールも…“野球殿堂入り作家”の超お宝グッズ初公開

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.02.15 21:02 最終更新日:2021.02.15 22:27

世界唯一の「モハメド・アリ」サインボールも…“野球殿堂入り作家”の超お宝グッズ初公開

佐山氏の仕事場にはアリのものをはじめとする貴重なサインボールのみならず、日米の野球の歴史を学ぶうえでも役立つお宝が

 

 2021年1月に野球殿堂入りをはたしたノンフィクション作家の佐山和夫氏(84)。佐山氏は和歌山県田辺市在住で、和歌山県出身者としては11年ぶり7人めの殿堂入りとなった。

 

 田辺高校から慶応大学文学部に進学し、会社員、田辺高校の英語教員を経て、ノンフィクション作家になった佐山氏。1984年には、黒人リーグの伝説的投手であるサチェル・ペイジを描いた『史上最高の投手はだれか』を発表した。

 

 

「指は長いし、手も足も長い。だから打者からしたら、打ちにくかったでしょうね。片手で野球ボールを6個も掴めたようです。

 

 当時、黒人に対して差別が厳しかった時代。ペイジが車に乗って走っているときに警察に呼び止められると、ペイジは罰金を2倍払うんです。警官が『どうしてだ?』と聞くと、ペイジは、『帰りのぶんも先に払っておく』と。それほど、頭の回転が早かったんですね。

 

 投球に関しても、『この打者なら、どこに投げれば打ち取れるか』がわかった。だから、投球数が非常に少なかったんです。ペイジは、『三振を取る投手はバカだ』と言っていた。なぜかというと、『(三振を取るには)3球投げないといけない。自分だったら1球で仕留めるよ』と。そうでないと、2000勝はできないよ(笑)」

 

 そんなペイジを、まだ差別が残っていた時代に評価していた投手がいたという。「火の玉投手」といわれたボブ・フェラーだ。

 

 1946年、アメリカ軍が協力して、当時最新の球速測定機を使い、ボブ・フェラーの球速を測定した。その実験では、初速117.2マイル、終速98.6マイル、平均で時速107.9マイル(174km)を記録したという。佐山氏が、ボブ・フェラーの人柄を語ってくれた。

 

「ボブ・フェラーは、当時最高の投手だったんです。MLBの第一人者で、速球王といわれていたのに、サチェル・ペイジと対戦すると、あっさりペイジのほうが上だと認めたんです。それほどの人格者だった。

 

『サチェル・ペイジの投げるボールがファストボールなら、私の投げるボールはチェンジアップだよ』と語っているんです。そういうことを、はっきり言う人はいなかった。当時は、人種差別がまだ残っていた時代でしたからね」

 

 長年、日米の野球を取材してきた佐山氏だが、「日本の野球は素晴らしい」と断言する。

 

「日本は、今や世界でいちばんきれいな野球をやっている。アメリカの流れを受けたものではなく、日本の野球こそが世界でいちばんいいと思いますね。

 

 アメリカのクーパーズタウンに野球殿堂があるけど、そこに高校ジャパン時代の田中将大と斎藤佑樹が遠征で行ったんです。そのとき、アメリカの野球殿堂の館長は、感心してこう言いました。

 

『日本の野球は子供から中高生、大学、社会人、どのレベルを見ても素晴らしい。それは、若いころにちゃんとした指導を受けているからだ。

 

 基本に忠実でフェアに、ということを徹底しているからだろう。チームプレーにも徹している。きちんとやっているから、上にも下にも波及している。日本の野球はきれいだ』

 

 それは、そのとおりなんです。アメリカの野球はステロイドで苦しんでいる。日本の選手でも悪いヤツはいるだろうけど、ステロイドで捕まる選手はほとんどいません。それは小さいころから、ダメなものはダメとちゃんと指導されているからなんです。

 

 当たり前なんだけど、野球には、その国の価値観が全部入っているのね。日本の野球には日本の国民性が、アメリカにはアメリカの。だから、今から新しいことなんて、しなくていいんですよ」

 

 佐山氏は最後に、「日本の野球を、世界文化遺産にしたらいいと言ったこともあるんですよ」と語る。先人が紡いできた日本の伝統ともいえる野球を、将来にわたって伝承していかなければならない。以下の関連リンクでは、佐山氏の超お宝野球グッズを初公開する。

 

写真・谷本潤一

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