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2年連続で女子プロゴルフツアー優勝者を輩出“滝二”ゴルフ部の強さの秘密

スポーツ 投稿日:2021.03.06 11:00FLASH編集部

2年連続で女子プロゴルフツアー優勝者を輩出“滝二”ゴルフ部の強さの秘密

古江彩佳(写真:AP/アフロ)

 

 3月4日、沖縄の「ダイキンオーキッドレディス」で女子ゴルフツアーが再開した。2020年はルーキーイヤーの古江彩佳が3勝をマーク。3月3日時点で賞金ランキングも笹生優花に次ぐ2位につけている。

 

 古江の母校はゴルフの強豪校である兵庫県・滝川第二高等学校。2020-2021年賞金ランキング56位につける安田祐香も同校のゴルフ部出身で、3年間、古江と切磋琢磨してきた。ふたりが高校2年時に全国大会の女子団体で初優勝を果たすと、翌年は2連覇を達成、国体でも優勝した。

 

 

 同校出身者ではツアー1勝の淺井咲希、堀琴音も女子プロゴルファーとしてツアーの第一線で活躍。彼女たちを含め、滝川二高ゴルフ部から、ここ15年で11人もの女子プロゴルファーが誕生している。

 

 滝二のゴルフ部はなぜ、こんなに強いのか。同校ゴルフ部の監督を20年務め、選手を指導してきた角谷真吾監督に話を聞いた。

 

――角谷先生はどんな指導をしていますか?

 

「私がモットーとしているのは『考動力』。自分で考えて答えを出すことです。この場合はどのクラブを選択すればいいのか、どう攻めればいいのか。その場での対応力、判断力が必要になります。

 

 ふだんは指示を出してあげられても、試合では指導することはできません。だから自分で判断できるように『考動力』を養うような指導をしています。『この場合はどうする?』と、生徒自身に考えさせるようにしています」

 

――いつもはどんな練習をしているんでしょうか?

 

「学校の敷地内にある打球練習場では、空いた時間にアプローチの練習なんかをしてますね。練習場にカゴを置いて、そこに10球連続で入れないと帰れない『帰れま10』なんてことを楽しそうにやってます(笑)。

 

 それは空き時間などを利用した練習で、メインはラウンド練習です。兵庫県はゴルフ場がたくさんあるという特性もあるんですが、学校からも近く、古江が練習拠点としてお世話になっていた六甲国際ゴルフ倶楽部さん、チェリーヒルズゴルフクラブさん、大神戸ゴルフ倶楽部さんなどが『うちを使っていいよ』と言ってくださってね。

 

 そこはありがたくお言葉に甘えて、目土をするという条件で使わせてもらっています。なので、月曜、火曜、木曜、金曜の週4日は、授業が終わった後にゴルフ場に行って、ラウンド練習をしています」

 

滝川二高の敷地内にあるゴルフ部の練習場。「空いた時間でアプローチの練習をしています」(角谷監督)

 

「やはり本物の芝の上で打つのと打球練習場で打つのとでは全然違います。難しいライでも練習できますからね。週に4日もラウンド練習ができるのは、他校さんでもなかなかないと思います。

 

 ラウンドになかなか行けないとスコア重視のラウンドになってしまいますからね。いいスコアでラウンドしないといけないと思ってしまうんです。

 

 男子のキャプテンを務めている生徒はドライバーで300ヤード飛ばすんですが、狭いホールだとアイアンで刻むんです。

 

『ここはアイアンを使うホールか?』と聞いたら『いえ、ドライバーです』と。『だったら、ドライバーを振りなさい』と言って、そのあとのホールはすべてドライバーを使わせました。

 

 そうしたら申し訳なさそうに『OBしちゃいました』と言うから『それでいいんだよ、どんどんドライバーを使いなさい』と。その生徒はいま、ドライバーに自信を持っています。

 

 そういうもんなんですよ。平日から使わせていただいてるから、こういう練習ができるわけで、トリッキーなホールでも曲がらないという自信がつきます。

 

 自信がついたら、このホールではどのクラブを使うのかというコースマネージメントを教えます。ここでも自分で考える『考動力』が大事なんです」

 

――平日から練習ができるというのは、生徒にとってはありがたい限りですね。ゴルフ場への移動はどうしているんですか?

 

「学校からマイクロバスで移動しています。このマイクロバスはゴルフ部専用なんですが、うちのゴルフ部を応援してくれている企業さんが寄附をしてくれているんです。こういったお気持ちがとてもありがたいんですよ。これだけの方が応援してくれているという励みにもなります。次第に感謝の心も芽生えます。

 

 でも出していただくだけでは申し訳ないので、マイクロバスの側面にご協力いただいている企業名を入れています。このマイクロバスのおかげで、生徒たちはゴルフ部専用のバスでゴルフ場にラウンド練習に行けるんです」

 

企業名が入った滝川二高ゴルフ部のマイクロバス

 

「私の営業努力? それはちょっとありますかね(笑)。企業さんもそうですが、生徒にも “滝二のファン” になってほしいんです。

 

 ゴルフは個人スポーツですが、団体戦で戦うとチームのためという気持ちが生まれてきますし、精神面も強くなる。また、滝二ゴルフ部のブランド化につながります。古江も安田も『滝二が大好き』と言ってくれて、しょっちゅう帰ってきては顔を出してくれます。

 

 厳しいツアーで戦っているプロ選手なのに『先生~!』なんて言って学校に来てくれると、やっぱり嬉しいですよね」

 

 現在、女子の日本アマチュアランキング1位の梶谷翼も部に在籍し、ツアー第2戦目の「明治安田生命レディス」のほか、ツアー数試合に出場予定だ。

 

 2019年の「ミヤギダンロップ杯」で渋野日向子のキャディーを務めて話題になった湯浅芹も同校のゴルフ部に在籍する。淺井、古江というツアー優勝を果たした先輩に追いつけ、追い越せとばかりに、滝二からはスター候補が続々と誕生していく。

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