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中日・与田監督、「ベネズエラまで行った野茂の生き方が魅力的」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.04.04 11:00 最終更新日:2021.04.05 16:37

中日・与田監督、「ベネズエラまで行った野茂の生き方が魅力的」

 

 2021年シーズンのメジャーリーグが開幕した。今季は日本人選手8人がメジャーリーグに在籍している。メジャーリーガーのパイオニアといえば、やはり野茂英雄さん。

 

 彼と1989年の全日本合宿でともに過ごし、30年来のつきあいになるという中日ドラゴンズ監督の与田剛氏に、野茂さんとの思い出を聞いた。

 

 

――野茂さんと最初に会ったのは1989年の全日本合宿?

 

 そうですね。ものすごく雰囲気を持っていて、体もすごく大きかった。1988年のソウル五輪を見ていたので、あの投球フォームもそうですし、すごいピッチャーだなと。

 

 自分の真横でピッチング練習をしながら、体の使い方や関節の動き方を隈なく観察していました。練習より野茂を見ていた時間のほうが長かったんじゃないかと思います(笑)。

 

 当時から私にとって野茂は、憧れでもあり目標でもあり、ああいう選手になりたいと素直に思えた選手ですから。人間としても尊敬できる、いろんな意味で目標になる人ですね。ふたりとも現役は終わっていますが、その気持ちは今も変わりません。大好きな人間です。

 

――野茂さんのどんなところが好き?

 

 あんまりそういうことを考えたことはないんですけど、自慢しないとこかな(笑)。自分がしてやったみたいなことは絶対に言わないし、偉ぶらないところは今でも変わらないです。

 

 口数が少ないからいろんな見方をされるかもしれないけど、余計なことはまったく言わないですしね。自分がプレイヤーで出ているときは俺がってところはすごかったですけど、いまは自分が陰でサポートしていこうという気持ちなんですよ。

 

 去年、一昨年と中日のキャンプに来てくれましたけど、そのときも何度もこちらから「こっち来て」「こっち来て」と呼ばないと来ないですし、教えてやってくれと言うまでは、一切口を出さないですから。

 

 できるだけカメラに映らないようにって、陰にそっと隠れているんですよ(笑)。やっぱり人の立場を考えて、自分が出ていくことで失礼のないようにとか、迷惑をかけないようにとか、そういう配慮がさりげなくできるんですよね。

 

――野茂さんのメジャーでの活躍はどんなふうに見てた?

 

 私の中にある「プロとは何か」という要因に、驚かせることというのがあります。あの投げ方はアメリカの人々を驚かせたと思うんです。日本人は野茂がアメリカのスター選手たちを三振取ってなぎ倒していく姿に驚いた。

 

 野茂を見て、アメリカのファンも日本のプレイヤーに対する見方が変わったと思いますし、いろんな意味で人々の心を驚かせた。だからあれだけのファンを獲得できたんだと思いますね。

 

 私にとっては、現役の晩年の生き方が魅力的でしたよね。成績はよくも悪くも出ますけど、だからなんなんだと。俺がやりたいことは何を言われても貫く、人にどう思われようが貫くっていう姿。

 

 彼の執念というかね、それが晩年は顕著に出ていたんじゃないかと思います。あれだけ注目を浴びる生活をしてきた人が、ベネズエラまで行って、いわゆるレベルの低いとされるところに行っても、淡々と続ける。

 

 これは非常に強いメンタルがなければできないこと。大概の人があきらめるようなところを平気な顔をして続けていく姿は、すごく魅力的でした。

 

――野茂さんに対する気持ちは変わらない?

 

 最初に会ったときは、「ソウル五輪の野茂だ」って、どこかミーハー的な感動のほうが大きかったかもしれない。でもいま、彼と30年以上つきあってきて、お互い年を重ねていろんなことを経験して、野茂がやってきたことのすごさとか思いもわかるようになってね。

 

 きっといま感じる思いの方が、味があるんだと思います。彼を人間として尊敬しているという思いはいまも変わらないです。

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