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【4月24日の話】目黒競馬場で第1回日本ダービー開催…払戻金は39円

スポーツ 投稿日:2021.04.24 06:00FLASH編集部

【4月24日の話】目黒競馬場で第1回日本ダービー開催…払戻金は39円

目黒競馬場

 

 1932年4月24日、いまはなき東京・目黒競馬場で、第1回日本ダービーが開催された。

 

 当日はどのような様子だったのか。目黒区役所の担当者に聞いた。

 

「あいにくの雨模様のなか開催され、1位を取ったのは下総三里塚産のワカタカ号でした。単勝式払戻金は39円と記録が残っています。当時の馬券は1枚20円で、1レースにつき1人1枚しか買えませんでした。平均給与が60~70円の時代ですから、なかなかぜいたくな遊びですね。

 

 

 観客のなかには、何人かでお金を出し合って1枚の馬券を購入し、馬券を持っている人に逃げられないよう、互いにたもとをしっかり握りあって歩く姿も見かけられたそうです。

 

 また、入場券は1等席が5円、2等席が2円となっていて、1等席には羽織・袴または洋服を着用しなければ入場できませんでした。そのため、競馬場の近くには貸衣装屋もあったそうです」

 

 1907年に開設された目黒競馬場は、出走馬をファンに見せる引馬場も併設し、当時としては目新しい設備を揃えていた。レースは人気があったが、それだけに一攫千金を狙う人々が多く押しかけ、風紀の乱れも。

 

「1908年、政府によって馬券が禁止されたことから、各地の競技場は閑散としてしまいました。その年も競馬自体は開催されましたが、政府補助による賞金を各馬が競うという内容で、お金を賭けられない観客としてはおもしろくない。4日間の開催で、目黒競馬場の入場者は500人に満たないものでした。

 

 なんとか状況を打開しようと、目黒競馬場は勝ち馬の的中者にデパートの商品券を贈呈する余興を始めます。これにより、たちまち1万2000人以上の観客が集まるようになりました」

 

 その後、馬券の効果を見直した政府が、馬券発売を認める「競馬法」を制定する。目黒競馬場は再び活気を取り戻し、盛り上がりのなかで第1回日本ダービーが開催されたのだ。

 

 目黒区の宅地化が進んだことから、現在は府中市へ移転し、東京競馬場となった。目黒通りには、「元競馬場前」というバス停が今も残されている。

 

※写真:『東京競馬会及東京競馬倶楽部史』第1巻より

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