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女子ゴルフ界を席巻する“新世紀世代”山下美夢有を開花させた「ポリタンクトレーニング」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.05.10 13:35 最終更新日:2021.05.10 13:37
女子ゴルフツアー「KKT杯バンテリンレディスオープン」(4月16日~18日)で、19歳の山下美夢有(みゆう)が通算14アンダーの大会レコードで初優勝を飾った。2週前の「ヤマハ・レディース」では3日間トップを走りながらも、最終日に稲見萌寧(もね/21)に逆転を許していただけに、表彰式では嬉し涙を流した。
山下は2001年生まれで、笹生(さそう)優花(19)、西郷真央(19)とともに「新世紀世代」と呼ばれ、高校在学中にプロテストに合格した “高校生プロ”。身長は150cmで、149cmの馬場ゆかりに次ぐ、“低身長” 選手の優勝となった(2020年優勝の西村優菜も150cm)。
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「山下は2020年の『JLPGA新人戦 加賀電子カップ』でも2位に入り、前評判は高かったのですが、同じ “新世紀世代” では飛ばし屋で、すでに優勝2回と実績十分の笹生優花や、笹生と同じくジャンボ尾崎に師事する西郷真央ら同期と比べると見劣りする面があり、あまり注目されていません。
とはいえ、アマチュア時代も2019年の『トヨタジュニアゴルフワールドカップ』の団体戦のメンバーとして優勝を果たすなど、実績は十分でした」
そう話すのは、日韓のゴルフ事情に詳しいスポーツライターの金明昱(キム・ミョンウ)氏。“下半身強化” が、今回の快挙に結びついたと続ける。
「コロナ禍でなかなかジムに通えなかったので、お父さんが発案した、水を入れたポリタンクを使った筋肉トレーニングを自宅でおこない、下半身を鍛えました。
実際、2カ月ほどで、220ヤードほどだったドライバーの平均飛距離が15~20ヤードほど伸びました。その結果、2打めが狙いやすくなったのが大きいです。笹生、西郷が活躍する姿に焦りもあったようですが、いい刺激になったのでは」
「新世紀世代」の三人娘の残りの2人も活躍中だ。笹生はハワイでおこなわれたアメリカツアーの『ロッテ選手権』で6位と、初のトップ10入りを果たした。渋野日向子(22)は33位タイ、畑岡奈紗(22)は72位タイ(ほか日本人は4人出場)と低迷するなか、日本人ではトップの成績だった。
「すごく惜しい試合でした。笹生にはまだムラがあって、調子がいいときと悪いときの差が大きい。ただ本人は焦っておらず、“ゴルフを楽しむ” が信条。こういうときもあると、精神的に引きずることはありません。
ドライバーの飛距離に注目されがちですが、小技もうまいし、引き出しをたくさん持っている選手。東京五輪はフィリピン代表としての出場が決まっているので、注目度も上がるでしょう。ただ、広々としたアメリカのコースのほうが、日本のこじんまりとしたコースよりも、結果を出せるかもしれません」
もうひとり、西郷真央についてはこう話す。
「ジャンボの弟子で期待も大きい。ただ、スタートは良くても最終日に崩れてしまうあたりは精神的な強さがないと言われていて、精神面の強化が今後の課題です。
西郷含め、ジャンボの弟子の原(英莉花)も笹生も飛ばし屋で、2人とも上位に食い込んできています。いずれ西郷も優勝争いに絡んでくるだろうし、初優勝も狙えるでしょう」
「新世紀世代」の三人娘のうち、笹生と西郷はすぐに優勝すると言われていたが、西郷よりも先に、山下が初優勝を果たした。
「2人に食らいつく思いでやってきた山下は、2021年の試合は予選落ちなしと絶好調。ルーキーイヤーで初優勝を果たして、勢いに乗っています。今季の優勝のチャンスは、まだ十分にあるはずです」
山下の優勝に刺激を受け、西郷が初優勝を飾るか。今季の女子ゴルフツーは、“2001年生まれ” の若手から目が離せない――。