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Jリーグ誕生…前例にこだわる批判者を黙らせた川淵チェアマンのひと言/5月15日の話
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川淵三郎氏
1993年5月15日、国内初のプロサッカーリーグ「Jリーグ」が誕生した。
「スポーツを愛する多くのファンの皆様に支えられまして、Jリーグは今日ここに、大きな夢の実現に向かって、その第一歩を踏み出します」
初代Jリーグチェアマン・川淵三郎氏による開会宣言に、多くのサッカーファンが心を打たれた。
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開幕当時は「J1」リーグのみで、たった10クラブの小規模なものだった。いまでは「J1」から「J3」までの3部に、合計で57ものクラブチームが加盟している。間違いなく、サッカーは国民的スポーツへと変化を遂げた。
「Jリーグウォッチャー」の異名をもち、サッカー事情に詳しいタレント・平畠啓史氏がこう語る。
「Jリーグの誕生は、日本でサッカーに打ち込んできた多くの方々や、初代チェアマン川淵さんらの、熱意の賜物だと思うんですね。
韓国ではすでにKリーグも発足しており、ワールドカップへのモチベーションもあった。そうしたなかで、日本国内にもプロのサッカーリーグをつくりたい、という機運が高まったのだと思います」
平畠氏には、Jリーク誕生に際し、忘れられない言葉があるという。
「プロ化を議論する会議で、多くの人から時期尚早と批判が出るなか、川淵さんが『時期尚早と言う人は100年たっても時期尚早と言う。前例がないと言う人は、200年たっても前例がないと言う』と話し、会議の空気を一変させたのです。この言葉がJリーグ誕生の決定打となったのは間違いありません」
Jリーグの誕生により、空前のサッカーブームが到来。日本のサッカーレベルも着実に成長を遂げ、1998年にはワールドカップ初出場を果たす。いまでは常連国として、世界に挑み続けている。
平畠氏はJリーグの拡大ぶりについて、「地域密着」をキーワードにあげた。
「Jリーグは誕生以来『地域密着』をテーマに掲げてきました。やっぱり、地元にプロのサッカーチームがあったり、地元のスター選手がいることで、いろんな人たちがサッカーというスポーツを身近に感じられたのだと思います。
プロのサッカーを、地元のスタジアムで観て楽しむ習慣や喜びが、全国各地に広がっていき、Jリーグの発展につながったのです」
これからのJリーグはどうなるのか。
「サッカーを知っているお客さんだけでなく、サッカーを知らないお客さんも、観て楽しめることが大事だと思うんです。
今のスタジアムって、美味しいグルメや楽しいイベントなど、サッカーを知らない人でも楽しめる工夫がたくさんされています。この動きはJリーグ全体に広まっています。これからも、もっとJリーグが大きくなっていけばいいですね」(平畠氏)
2月26日、今年もJリーグが開幕した。現在、新型コロナウイルスによる感染拡大を踏まえ、無観客試合や入場制限が設けられており、心寂しいシーズンが続いている。
それでも、7月には東京五輪・第1次グループラウンドがはじまり、2022年にはFIFAワールドカップ・カタール大会が開幕する。
どんなときでも、人々のそばにはサッカーがある。