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ギャラは1試合10万円以下も…「プロ野球解説者」生き残りの道は?

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.07.04 11:00 最終更新日:2021.07.04 17:07

ギャラは1試合10万円以下も…「プロ野球解説者」生き残りの道は?

引退後も根強い需要がある古田敦也

 

 かつて地上波で巨人戦を中心にテレビ中継があった時代は遠い昔。いまやプロ野球の中継はBS、CSやDAZNなどのライブ配信がメイン。それにともない解説者の仕事も変化している。野球中継を担当する民放局のプロデューサーが実情を語ってくれた。

 

「かつては、NHKや民放各局が巨人戦の中継権を奪い合っていました。どの局にも “名物解説者” がいましたし、野球中継は数字(視聴率)が獲れるドル箱でした。

 

 

 ところが2000年代には中継も激減。理由はひとえに『数字が獲れなくなった』ことと、ゴールデンの時間帯で『中継時間=番組の占拠時間』なのはもったいないから。

 

 延長時間まで入れると約3時間も、スポンサーが重視するF1層(20歳~34歳の女性)を無視して、オッサンばかりを相手にしていたら商売にならないと考えたんですね。とはいえ、熱狂的なファンはいますから、ネット中継などの有料メディアで生き残っているんです」

 

■引き出しが多くないとすぐに飽きられる

 

 昔のように巨人戦のみということはなく、各球団の主催試合がさまざまなメディアで見られる今の時代は、コアなファンにとっては、かえってありがたいという見方もある。

 

 さらに、贔屓チーム出身の解説者への注目度も高い。解説者はおもに出身球団の試合を解説することが多いが、毎年新たなライバルが参入してくる業界であるため、椅子の取り合いは熾烈だという。

 

「民放で地上波の解説をお願いする場合のギャラは上限50万円ほどで、解説者のランクに応じてギャラが決まります。BSやCSでは、地上波の半分程度まで下がり、1試合10万円以下の場合もあります」(前出・プロデューサー)

 

 放送される試合は増えたが、ギャラは減少傾向というわけだ。数をこなすにしても、解説者はいくらでもいる。卓越した野球理論だけでなく、選手のおもしろいエピソードなど、 “引き出しが多い” 解説者でないと、視聴者にすぐに飽きられてしまう。

 

■視聴者から支持されなければすぐにお払い箱

 

 かつては、プロ野球解説者も “囲い込み” がおこなわれていたが、最近はその形態も変わってきているという。

 

「我が局も解説者の方と、専属契約を結んでいます。これは、解説者の引き抜きや奪い合いを避けるためでしたが、最近では契約の条項も緩くなり、専属契約以外の方にもゲストとして解説をお願いするケースが増えています」(別の局プロデューサー)

 

 一方で、野球解説だけではなかなか食っていけない時代。元プロ野球選手に求められていることとは何か? 大手広告代理店関係者が語る。

 

「芸能界と一緒で、個性やタレント性が重要になってきます。CMを例に挙げると、引退後でも需要があるのはイチロー、松井秀喜、古田敦也ぐらい。一般の消費者に対するメッセージ性が強ければ商品価値はあるのです。

 

 講演会も彼らにとって収入源のひとつですが、人気だった野村克也さんのギャラは1回につき300万円。落合博満さんも100万円を超えているといわれています。

 

 やはり、専門分野で成功した第一人者の経験は重宝がられます。解説者に求められることも同じ。自身がレギュラークラスでなかった人は、控え選手の解説に重点を置いたり、故障で苦しんだ経験があるのなら、怪我をした選手について解説したり。

 

 あるいは、あえて笑いに走るとか。視聴者から支持されなければ、すぐにお払い箱となる厳しい世界ですからね」

 

 解説者たちも、熾烈な “順位争い” を繰り広げているのだ――。

 

(週刊FLASH2021年7月13日号)

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