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斎藤佑樹 コーチ転向を勧めた大物OBにきっぱり「NO!」最速132キロでも「一軍復帰を目指す」と宣言
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.07.14 15:29 最終更新日:2021.07.14 17:01
2006年、夏の甲子園大会決勝。栄冠を掴んだのは早稲田実業のエース、「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹だった。後のメジャーリーガーである駒大苫小牧の田中将大と投げ合い、引き分け再試合からの13奪三振での優勝。プロ入りの期待が高まったが、早稲田大学への進学を選択。大学1年から活躍し、東京六大学野球史上6人めとなる通算30勝300奪三振を達成。4球団競合の末、ドラフト1位で日本ハムに入団。1年めから6勝6敗の成績を上げ、飛躍が期待され……あれから10年。
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斎藤は、壊れた右肘をPRP(自己多血小板血しょう注入)療法で治療しながら、2020年10月16日のイースタン・巨人戦以来、269日ぶりの実戦マウンドに上がった。
「投げられている姿を見るのは嬉しいですよ。苦労している斎藤ですから……ただ、戦力としてはまた違う話ですよね」と語るのは、日ハムOB、元エースの岩本勉さんだ。
「針の穴を通すようなコントロールや、よほどキレのいい変化球と緩急がつけられれば別ですけど、特に何が変わっているということもないですし。ただ、元気で野球をやれている斎藤が微笑ましいなとは思いましたね」
最速は132キロ。130キロに届かない直球も多く、カットボール、フォークもスピードとキレに欠ける。9球で三者凡退には抑えたが、全盛期の投球とは程遠いと言わざるを得ない。
「バッターから見たら、球威の衰えは一目瞭然ですね。打ち損じてはいましたが、嫌がるような反応はゼロでしたから。この状態では、一軍の戦力には程遠いですね。病み上がりの第一戦ですから、それはそうですよね……」
SNS上でも「引退したほうがいい」「どう考えても戦力外。若い選手を使うべきだ」など、斎藤に対して辛辣な意見が多い。また、斎藤を「特別扱いしている」と、ファンから言われ続けている栗山英樹監督への批判も根強い。
「もともとは140キロを超える切れのよい直球が武器の本格派で、甲子園優勝投手、大学No.1投手と、華がありましたからね。現状の働けない斎藤にファンが厳しいのも仕方ない。ルーキーイヤーに『(ポルシェの)カイエン乗りてぇ』『青山に土地買うってやばいっすか』などと豪語していたイキリっぷりも未だにネタにされてますし(笑)。その後、2015年にタニマチの会社社長に“二軍球場への通勤用”にカイエンをおねだりするも、高すぎるからとポルシェ・マカンを提供されて乗り回していたというしょぼい話も話題になりました。
栗山監督は今回の登板を見て『斎藤佑樹のよさを生かすところは、どこなんだという話。クソ努力して、泥まみれになっている姿で頑張るというところが第一なので』と、話していましたが、ファンは『よさを活かすなら、バッティングピッチャーだろ』などとつれない反応です」(野球ライター)
現役にこだわり、怪我と戦う斎藤だが、見通しは暗い。しかし、岩本さんは「もがききってほしい」とエールを送る。
「彼がこれまでにプロ野球界で得たものは、一軍で投げるための工夫と、長きにわたったリハビリの時間です。それは財産ですから、プロ野球界で活かすならコンディショニングコーチなどの道もあるんじゃないかと、僕のYou Tubeチャンネルで話したんですよね。それを、斎藤本人に見てもらったんです。『僕の率直な意見だ』と。そうしたら『そういう意見が出て当然ですし、それよりも(自分を)取り上げてくれてありがとうございます。でも、ボールが投げられる間は一軍での戦力を目指してやります』と言ってました。でも、現状は一軍の戦力ではありません」
投手コーチやリハビリ担当コーチなど、現役にこだわり抜いた末に引退後、指導者になる道は悪いことではない。
「僕が肘を痛めたとき、連投ができなくなったんですよ。回復も遅い。でも、先発ローテーション、クオリティスタートで週2回だったらなんとかできると、もがいたんですけど周りの目は正直でした。『岩本はしんどいな』と言われたことを認めて、引退を決断したんです。斎藤も自分の限界を認める瞬間が来るかもしれない。ただ、大化けする可能性だって、まだあるんですよ。20年前、僕は斎藤と同じ温存療法をしましたが引退しました。今の医療技術は進んでますから、もしかしたら……も期待してしまいますね」
華麗なるカムバックをはたし、今度こそ自腹でカイエンを購入できるのか、または引退し、後輩たちのリハビリを指導することになるのかーー。かつて甲子園を沸かせた“ハンカチ王子”のタイムリミットは近づいている。