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「大谷よ、英語を理解する必要はない」“伝説の助っ人” ブーマーが激励助言

スポーツ 投稿日:2021.08.07 06:00FLASH編集部

「大谷よ、英語を理解する必要はない」“伝説の助っ人” ブーマーが激励助言

現在のブーマー氏。アメリカの自宅からオンラインで取材に答えてくれた

 

メジャーリーグMVPの投票権をもし私が持っていたなら、絶対、ショウヘイ・オオタニに1票を投じますね」

 

 異国の地からオンラインを通じてインタビューに答えてくれたのは、グレゴリー・デウェイン・ウェルズ氏(67)。

 

 

 本名を聞いてもピンとこないかもしれないが、愛称の「ブーマー」を聞けば、思い出すオールドファンも多いはずだ。

 

 1983年、ミネソタ・ツインズから阪急ブレーブス(当時)に入団。日本球界に慣れた1984年には主砲として大活躍し、日本プロ野球で外国人選手初の三冠王にも輝いた。現在、アメリカ東海岸に住むブーマー氏。

 

 史上最高の “助っ人” であり、日米球界を深く知るという意味で、いまの大谷翔平(27)の “すごさ” を解説するのに最適な人物だろう。

 

「打者として、とてもパワーがあってアベレージも高い。打球も全方向に強く、遠くに飛ばせる。しかも彼はまだ27歳と、これからの選手です。よりいっそう素晴らしい打者になる可能性を秘めています。彼のプレーを見て感激、感動の思いがこみ上げます」

 

 しかしオールスター後、大谷の本塁打量産のペースは停滞気味。リーグ戦再開後2試合めには今季初の1試合4三振を喫するなど、三振も多い。

 

 ブーマー氏は「ホームランダービーに出場したことが、少し調子を落としている要因だと思います」と話す。

 

「ホームランダービーは時間が長すぎました。スイングの強度といい量といい、2週間分の打撃練習をひと晩でやるようなものだから、出たことで疲れが残ったのは当たり前です。私だったら、最初は『どんなものか』と思って参加しますが、おそらく2回め以降は出ませんよ(笑)。

 

 三振が多いのは当然のことだと思います。彼はホームランを打つ選手だし、ほかの選手より強くバットを振っているのですから。そこは、私もパワーヒッターとして経験してきました。『不調だ』と心配する必要はないと思います」

 

 もうひとつ気がかりなのが、大谷の英語力だ。あまり話せないことから「彼は “メジャーリーグの顔” になれない」と語るアメリカのスポーツ記者もいた。しかし、ブーマー氏はそれを真っ向から否定する。

 

「大谷が完璧に英語を理解する必要はないです。むしろわからないほうがプレッシャーを受けず、野球に集中することができる。そうなれば、よりいい成績を出せるのではないかと思っています。

 

 私も日本でプレーしたとき、日本語を完璧に理解しようとはしませんでした。だからこそ、野球に集中できて、いい成績を残せた。その部分では似ているかもしれません。そもそも大谷が見せる能力は、言葉の壁を越えたものだと思いますよ」

 

 ベーブ・ルースをはじめとして、メジャーリーグでシーズン60本塁打を達成したのは、過去に5人だけだ。ブーマー氏は大谷の今季の本塁打数を、次のように予想する。

 

「期待をこめて50本とします。でも、アメリカはいまとても暑いですし、投手と外野守備もこなすとなると、後半戦は体に相当負担がかかってきます。

 

 だから、成績がスローダウンすることは当たり前。そこを考慮すると45本くらいが現実的ではないでしょうか」

 

“投手・大谷” の今季成績は「10勝」と予想したブーマー氏。一方で、圧倒的な打者としての成績から再加熱する “二刀流論争” にはこう答えた。

 

「彼がやりたい形を続けるべき。だから、二刀流継続でいいと思います。でもね、打者一本に絞って、毎年オフにウエイトトレーニングで体を強化したら、60本塁打も夢ではないとも思っているんです(笑)」

 

 現在、アメリカでの大谷の人気は目の肥えたメジャーリーグファンのみならず、野球に詳しくない人々も巻き込んで、すさまじいものだという。

 

 テレビのスポーツニュースは連日のように大谷を取り上げ、番組内では「オオタニ・ウォッチング」なる企画もあるそうで、それを見るたびにブーマー氏は「嬉しさがこみ上げてくる」と続ける。

 

「私は日本で長年プレーしていたからこそ、“日本人” 大谷の活躍が嬉しい。アメリカの人たちも大谷の活躍を通じて、また日本の野球を評価するようになりました。

 

 彼のプレーを見て、私自身が日本でプレーした過去の日々も甦ってきています。そのなかで鈴木啓示、村田兆治、工藤公康、渡辺久信、落合博満、秋山幸二、松永浩美らは十分にメジャーに通用する才能、技術を持っていました。彼らと一緒にプレーできたことは、私にとって誇りですね。

 

 来年以降も大谷はどんどん上の成績を目指して、『日本の野球は素晴らしい』ということを見せてほしいです。それが、日本で野球をしてきた私の願いですね。大谷が偉大な選手なのは間違いありません」

 

 日本史上最高の助っ人は、“逆・助っ人” の大谷に目を輝かせていた。

 

取材協力・日本プロ野球外国人OB選手会(JRFPA)

 

(週刊FLASH 2021年8月17・24日号)

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