日本ハムの “大将” こと中田翔(32)が暴行事件を起こし、無期限の出場停止処分となった。8月4日、函館でのエキシビションマッチ・DeNA戦の試合開始前、ベンチ裏で話していた後輩投手に対して、突然中田が激昂し、顔面を殴り、胸付近も殴打。
ぶっ飛ばされた後輩投手は壁に腰を打ちつけ、当日登板を回避することとなった。もともとは仲のよかった先輩後輩とのことだが、いわゆる “いじり” が日常化していたという。まさに、体育会系の悪い面が全面的に出た事件といえる。
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「中田は素行不良の常習でした。本人は冗談のつもりでも、小突いたり絡んだりという “かわいがり” は、後輩選手にとっては迷惑だったでしょう。
いわゆるめんどくさい先輩を地で行くタイプ。新人時代の遅刻癖や、かつて3年先輩の鵜久森淳志に『お前、誰に口きいてんねん、殺すぞ』と言われ、『殺してみい、こらぁ』と威嚇したのは有名な話。
栗山監督も『選手同士の話』と、中田を庇い続けてきましたが、さすがに今回は表に出さざるを得なかったのでしょう。トレードも含め、今オフの去就が注目されますね」(野球ライター)
そんな “問題児” の中田だが、かつて本誌のインタビューで、自身の言動や金髪、金のネックレス姿への批判に対してこう答えていた。
「気にしないというか、人に言われて変えるくらいなら『初めからするなよ!』という話。人に言われて何かをやったり変えたりしたくない。そういうスタンスでやってきたし、これからも変えたくない。ネックレスもそうだし、金髪もそう。若いころは日サロ通いとか言われたり(笑)。周りは勝手なことを言うけど、気にしないというか、興味ないですね」
さらに、チームの顔としての “自覚” についても語っていた。
「現在のチームは僕より年下の選手ばかりで、若いチームを引っ張っていかなければいけないと思っています。ただ、きっついっすよ! 自分のことで精いっぱいと思うときもありますし。こう見えても悩むタイプなんです(笑)。
今までは、自分さえよければというか……いや、今でもその考えは間違っていないと思う。選手は自分が活躍することを夢見て練習するわけですから。
でも、かつての稲葉(篤紀)さんのように、チームのことをいちばんにやってくれていた先輩を間近で見てきて、こういう人たちがいるからチームは強いんだろうな、とあらためて気づくこともありました」
今回の事件を受けて、川村浩二球団社長兼オーナー代行は「どんな社会であれ、暴力はけっして許されない」とコメント。
中田は「自分が手を出した。自分が悪い」と全面的に事実を認め、当日中に被害選手に謝罪。現在は自宅謹慎中だが、川村球団社長は「謝罪をしたから許される話ではない」とし、謹慎期間は無期限と発表。シーズン終了まで塩漬け状態の可能性も出てきた。
精神科医で作家の樺沢紫苑先生は、今回の事件についてこう語る。
「パワハラやセクハラは、昔からあったと思います。昨今、SNSの普及によって、告白や暴露といった形で、それらが簡単に世の中に出るようになりました。
また、職場でのパワハラ、セクハラなどに対する考え方も厳しくなり、勉強会を開催したり、対応する部署を設置したり、適正に対処している職場、業界も多いはずです。
しかしながら、意識が乏しく、今までと同じことを続けている人もいるでしょう。それが、今回の中田選手の問題のように、トラブルに発展して、露見しているのだと思います」
インタビュー時、自身のメジャー挑戦についても言及していた中田。
「まだ結果を残してはいないので。ただ、もっと上を目指していきたいという気持ちはあります。それにはまず、日本で一番のバッターにならなければいけない。それからです(笑)」
後輩だった大谷翔平は、ひと足先にメジャーで大活躍している。中田も、後輩をしばかず、ボールをしばいていくしか未来はないはずだ。