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田中将大が21連勝!伝説の背景にあった「突然のカーブ」/8月16日の話

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.08.16 06:00 最終更新日:2021.08.16 06:00

田中将大が21連勝!伝説の背景にあった「突然のカーブ」/8月16日の話

東京五輪でも好投したマー君(写真・JMPA)

 

 2013年8月16日、楽天ゴールデンイーグルスの田中将大が、自身21連勝をマークした。

 

 この記録は、松田清(元巨人)と稲尾和久(元西鉄ライオンズ)がもっていた「20連勝」を上回る、プロ野球新記録となった。

 

 その後も田中の連勝は続く。最終的に、自身28連勝という歴史的快挙を成し遂げると同時に、楽天を球団史上初のリーグ優勝&日本一に導いている。

 

 

 2013年、間違いなくプロ野球の主役だった田中。連勝街道の背景には、大きくふたつの変化があったと本誌スポーツ記者が振り返る。

 

「ひとつは『カーブ』です。2013年の田中は、相手の上位打線や、注意すべきバッターに対して、ギアを1段も2段もあげて勝負しました。言い換えるなら、ギアを適切に調整するために、力の抜きどころを判断していたのです。そこで役に立ったのがカーブです。

 

 田中は、力のあるストレートに、スライダーやスプリットを織り交ぜて投球を組み立てるため、カーブの印象をもっている人は少ないはずです。

 

 実際、2013年にカーブを投じた割合は、全投球のうち、たった4~5%です。しかし、その被打率は2割代中盤と、変化球としての役割を果たしました。

 

 シーズン前、田中はカーブを丁寧に磨いていたそうです。そして、相手の下位打線や、余裕をもって対峙できるバッターに対してはパワーをセーブし、力を抜いたカーブを投げた。

 

 ストレートを待ち構えているバッターは、突然投げられた緩いカーブボールに対応しきれず、凡打に終わる。そのぶん、強打者にはパワー全開の投球で勝負し、打ちとってきたのです」

 

 この連勝が始まる前、つまり、田中が最後に敗戦投手となった試合は、2012年8月19日の西武戦だ。5回途中6失点と、散々に打ち込まれている。

 

 この試合が、田中にふたつ目の変化をもたらす。その背景に、故・星野仙一氏から「日本一の投手コーチ」と賞賛された佐藤義則氏の存在があった。

 

「田中の連勝には、投手コーチとして田中を支えた佐藤義則氏の功績がありました。田中が最後に黒星をつけられた西武戦の直後、佐藤さんのアドバイスを受けた田中は『調整方法』にテコ入れしているのです。登板と登板のあいだにおこなっていた投球練習を、1回から2回に変更しています。

 

 理由としては、登板直前の投球練習だけでは、投げ込む球数が少なく、肩が温まるには不十分であったことがあげられます。

 

 また、自身の調子に合わせて、元の1回に戻すなど、柔軟に対応していました。この、登板日に万全の状態でマウンドにあがれる調整方法を採用できたのも、田中に並外れた器用さがあったからでしょう」(同)

 

 東京五輪が終わり、プロ野球も後半戦に突入した。今シーズンから楽天に復帰した田中が、チームを再び優勝に導く。

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