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40年続く『熱闘甲子園』ヒロド歩美アナと番組Pが語る “負けた直後” にこだわる理由

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.08.21 06:00 最終更新日:2021.08.21 06:00

40年続く『熱闘甲子園』ヒロド歩美アナと番組Pが語る “負けた直後” にこだわる理由

 

 高校球児の汗と涙を追い続ける『熱闘甲子園』(朝日放送テレビ)が40周年を迎えた。

 

 現在、MCを務めるヒロド歩美アナ(29)は2014年の入社時、プロ野球12球団の名前さえ知らなかったという。だが、いまは「高校野球はライフワーク」と語るほど、熱量が人一倍高い。

 

 

 彼女を変えたのは2018年の星稜(石川)と済美(愛媛)の2回戦。タイブレークとなった延長13回に、史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打で敗れた星稜ナインの姿だったと話す。

 

「試合後に星稜の宿舎へ取材に行きました。このとき、林和成監督が、かりゆし58の『オワリはじまり』を選手の前で歌ったんです。すると、選手たちが泣きだして。林監督と選手たちの関係性は素晴らしいものだと。甲子園じゃなくて宿舎で、こんな感動的な場面に立ち会えるのは、すごく幸せなことだと思いました」

 

 この日を境に、ヒロドアナの球児たちへの思いが加速した。

 

「取材したからオンエアしてほしい、というよりも『とにかく感情が表われる現場へ行きたい』と思うようになったんです。球児たちの間でも、『負けたチームの宿舎にヒロドが来る』って言われるようになってきて(笑)。

 

 宿舎でも選手と一緒に写真を撮るようになりました。負けた球児たちが宿舎で素に戻って、高校生の笑顔を見せてくれるのが素敵なんです」(ヒロドアナ)

 

 また、ヒロドアナの記憶に刻まれているのが、2016年の八戸学院光星(青森)対東邦(愛知)の2回戦だ。

 

「最大7点差をつけて八戸学院光星が勝っていたけど、東邦が少しずつ追い上げていって、球場は一般のお客さんも含めて、『東邦頑張れ!』という空気になっていったんです。負けている側を応援したくなる気持ちもわかるんですけど、『マウンドに立つ、櫻井(一樹)投手は孤独なんだろうな』と思いました。

 

 結果、東邦に逆転負けを喫して。試合後、櫻井君に話を聞くと、『甲子園は楽しい場所でした。また戻ってきたい』って。すごいと思いました。そう思わせる甲子園、そして、彼の強さを感じました」(同前)

 

 ヒロドアナの好きな言葉は、「全力疾走」。これは、2017年に出場した滝川西(北北海道)ナインが、どんなときでも全力疾走を欠かさない姿勢に、感銘を受けたからだという。

 

「攻守交代、伝令なども全力で走るんです。古田(敦也)さんは『体力が奪われる』と心配していました。野球の技術や試合展開と関係なく、ただただ『全力で取り組む人の姿って、こんなに感動を呼ぶんだ』と感じました。高校野球の選手たちは常に全力。だから感動するんだと思います」(同前)

 

『熱闘甲子園』のMCは、野球解説者の古田敦也氏(56)とヒロドアナ。それぞれに役割があると、番組プロデューサーの池上義博さん(38)は話す。

 

「ヒロドは球児とふれ合うことで、グラウンドでは見せない表情や言葉などを引き出してくれる。高校生らしさを伝えるのが役目ですね。古田さんはたとえば、いいプレーがあったとき、『これはこんな練習をしてないとできないプレーです』と、プレーの奥にある練習や努力など、見えない部分、僕らが気づかない球児の姿を教えてくれます」

 

 池上さんは2009年、花巻東(岩手)の菊池雄星(30)の姿に、『熱闘甲子園』らしさを見出したという。

 

「この年の夏は “雄星祭り” で、花巻東の試合がない日でも菊池選手の動向を放送していました。しかし、準決勝で中京大中京(愛知)に敗れてしまった。

 

 試合後の宿舎で、佐々木洋監督が選手たちを労った後、『よし、飯食うか!』って言って、菊池選手が笑顔でご飯を食べている映像で、その日の放送を終えたんです。負けて、泣いて終わりじゃない、じつに『熱闘』らしいシーンだったと思いますね」(池上さん)

 

 一方で、全国屈指の強豪校ではなく、それに挑む学校に重心を置く見せ方もあった。

 

「2010年、興南(沖縄)が春夏連覇をかけた1回戦で、鳴門(徳島)と対戦しました。普通は『本命中の本命、興南が登場!』となるところ、その日の番組は鳴門目線のVTRを放送しました。春の優勝校に挑む、鳴門のナイン。敗退の可能性が高いかもしれないけど、ここが彼らの青春だと。試合は0対9で、興南が圧勝。あのとき、鳴門目線で伝えたのも『熱闘甲子園』だからこそだと思います」(同前)

 

 ヒロドアナは2018年から、取材で出会った監督や選手にある質問をしている。本人いわく、個人的な「趣味」だとか。

 

「取材させていただいたことを、何か残せないかと考えて、『あなたにとって甲子園とは?』という質問に、私のノートへ直筆で回答していただくようになりました。現役の高校球児だけでなく、監督、プロ野球選手、OBも含めて、80人ほどいただきました。

 

 松坂大輔選手は、『一人の力では勝てない場所』。甲子園で大活躍した松坂選手が、こんなふうに感じる場所なんですね。松井秀喜さんは『憧れ』と。佐々木朗希選手、宮城大弥選手にもいただきました。この甲子園の砂がついた黒いノートは、超、超お宝です。絶対なくせません」(ヒロドアナ)

 

(週刊FLASH 2021年8月31日号)

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