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大谷翔平「こんな活躍見たことない!」…“伝説の助っ人” 元近鉄・ブライアント&元西武・デストラーデが絶賛する才能と懸念点

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.09.10 06:00 最終更新日:2021.09.10 06:00

大谷翔平「こんな活躍見たことない!」…“伝説の助っ人” 元近鉄・ブライアント&元西武・デストラーデが絶賛する才能と懸念点

写真・アフロ

 

 試合に出るたびに “化け物” 感が増していくーー。それが、いまの大谷翔平(27)だ。

 

 9月最初のハイライトは、1日(日本時間)のニューヨーク・ヤンキース戦だ。この日の大谷はことごとく勝負を避けられた。チャンスがまわってきた第2打席で四球と、バットすら振らせてもらえない。それでもくじけなかった。四球後に今季21個めの盗塁を決めると、第3打席も申告敬遠をされ、塁上へ。ツーアウト一・三塁から、大谷はホームスチールを決めてみせた。

 

 

 現地メディアはこう評した。「オオタニについてはすべてが不公平」。もうお手上げだ。

 

 メジャーで誰も達成していない「50本塁打&30盗塁」という伝説を作ろうとする大谷だが、このハッスルプレーに日本でしのぎを削った米国在住の “ツインバズーカ” は「ちょっと心配だね」と声を揃えた。

 

 一人めは西武ライオンズの黄金期を秋山幸二(59)、清原和博(54)との「AKD砲」で支え、“カリブの怪人” と恐れられたオレステス・デストラーデ氏(59)。現在、フロリダ州タンパでFOXテレビの解説者として活躍中だ。彼は「このままいけば、来季は『40本塁打&40盗塁』を達成したバリー・ボンズ並みに打って、走っての活躍かもしれない」としながらも、“走りすぎ” への不安があるという。

 

「オオタニは野球選手としてだけでなく、アスリートとしても素晴らしい能力の持ち主。一方で、全力で走るのは体への負担も大きい。だから、盗塁・走塁の際の怪我がいちばん心配なんです。球団も同じでしょう。彼は今季オフ、エンゼルスから『積極的に盗塁をする必要はない』と言われてしまうかもしれません」

 

 もう一人は近鉄バファローズで活躍したラルフ・ブライアント氏(60)。1989年の西武との大一番で放った4打数連続本塁打や、1990年の東京ドーム天井直撃弾でファンの度肝を抜いた日本球界屈指のパワーヒッターだった。現在、ジョージア州アトランタで、庭師として働く彼はこう話す。

 

「この前も内角高めを積極的に打ちにいって右手首に投球を受けましたが、やはり怪我がいちばん怖い。二刀流を続けるにはシーズン162試合はあまりにも長いです。体、そしてストレスも心配。彼の健康面をいちばん心配しています」

 

 だが、ここまでの大谷の活躍は驚異的だ。日本で2人合わせて419発を放った “レジェンド助っ人” たちも目を輝かせて、大谷について話す。

 

「ひと言でいうと、アメージング。ベーブ・ルース以来、こんな活躍はなかったわけだし、私たちの現役時代にもオオタニみたいな活躍を見たことがない」(ブライアント氏)

 

「彼は別格ですね。いま、マイケル・ジョーダン並みのことを成し遂げていますよ。それに、これから経験を重ねれば重ねるほど、投打ともこれまで以上の選手になることは間違いない」(デストラーデ氏)

 

 強打者2人が「打者・大谷」を分析してくれた。まずはブライアント氏。本誌記者が「大谷のスイングはブライアントさんと似ています」と伝えると、彼は笑いながらこう語った。

 

「アッパースイングの打撃フォーム? たしかにそうですね。ありがとう。でも、オオタニは私より打てます(笑)。スイングスピードもすごいけど、彼はホームラン打者として、ナチュラルなスイングを持っていますね。本塁打をたくさん打てる打者には、練習で身につかない、持って生まれた才能があるんです」

 

 デストラーデ氏は「投手としての怪我が、いまの本塁打量産へのターニングポイントだった」と話す。

 

「日本は “投手至上主義” 的なところがあって、メジャーに来た当初もオオタニの中の選択順が『投手が1番、打者が2番』だった。だから、なかなか打者として集中できないし、ダルビッシュ有や田中将大といったほかの日本人投手とも比較されていた。

 

 でも、メジャー1年めの肘の手術で変わったと思う。投げられないため、打者として集中もでき、筋肉系のトレーニングもできた。またプホルス(今年5月に移籍)やトラウトに、いろいろと教えてもらいながら肘のリハビリの日々を過ごせた。彼らのいいところをどんどん吸収して、打者として成長できたのが今季の活躍に繋がっていると思いますね。なんて言ったっけ? そうそう、『怪我の功名』だね(笑)」

 

 いよいよ「メジャー本塁打王」への期待も膨らむが、その本塁打数については意見が割れた。ブライアント氏は「50本はいかないでしょう。残り20試合ほどになり、45本くらいが精いっぱいではないでしょうか」と予想する。

 

「50本を目指しているはずだし、あり得ると思います」とはデストラーデ氏だ。

 

「おそらく、打者一本に専念すれば60本は打てると思う。でも、二刀流がやりたくてメジャーに来たオオタニの中に、打者に専念する気持ちはないと思うよ」(デストラーデ氏)

 

 ブライアント氏が懸念するのは、“実戦感覚” だという。

 

「私が聞いた話では、彼はあまりバッティングピッチャーの球を打たずに、室内だけで打撃練習をしているという。そうなると、打者に専念したとしても60本以上という飛び抜けた打撃感覚を掴むことは難しいと思います」

 

 また「投手・大谷」へのブライアント氏の評価は高い。彼は「自分が監督なら打者に専念はさせない」と話す。

 

「160kmの速球に “魔球” のようなフォークがあって三振も取れる。私なら、絶対に二刀流の継続しか考えられない。彼は “100年に一人の選手” と言っても過言ではないからね」

 

 デストラーデ氏は大谷のプレー姿を見て、打撃の技術以外にも今季の好成績の要因があると考えている。

 

「オオタニはいつも楽しそうにプレーしているんだよ。僕も彼と同じ年齢のころ、そうだった。日本では野茂英雄のようなワクワクさせるピッチャーと対峙して、すごく楽しかったんです。だから練習にも、ポジティブに臨めるのでしょう。オオタニほど、練習する選手はいませんから」

 

 現在も一年を通して、仕事で球場に足を運ぶデストラーデ氏。2018年8月に大谷との対面も果たしている。

 

「グラウンドで話したけど、そのときの印象は好青年だったし、野球を尊敬していると感じた。やはり、彼は自分が日本の代表としてメジャーに来たことをよく理解している。僕も日本は好きだし、日本球界に恩返しをしたいんだ。だから、いつかは日本で監督ができたらと思う。解説の仕事をして野球を広く見られるようになったと思う。心の中では、ずっと西武ライオンズの一員だと感じているよ」

 

 ブライアント氏もこれからの大谷にエールを送るが、ひとつ “忠告” をしてくれた。

 

「これからもフルスイングして、距離の出る本塁打を数多く見せてほしい。僕も体を痛めるんじゃないかと言われるほど、フルスイングしてたね。でも、当時はぜんぜん平気だったけど、いまになって体のあちこちが痛むんだよ。オオタニも引退後は覚悟しておいたほうがいいですね(笑)」

 

 ブライアント氏とデストラーデ氏が本塁打王争いを繰り広げていた、かつてのパ・リーグ。約20年後、日本ハムに入団した大谷。同じ “パの後輩” は2人にとって誇りに違いない。

 

取材協力・JRFPA

 

(週刊FLASH 2021年9月21日号)

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