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阿炎 7場所ぶり幕内復帰で語る出場停止処分への反省と決意!ビッグマウスも封印「妻と娘は実家に…」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.11.18 06:00 最終更新日:2021.11.18 06:00
幕内の土俵に阿炎が帰ってきた。昨年九月場所以来、7場所ぶりの幕内復帰だ。11月14日、九州場所の初日は、西前頭15枚目千代丸(30=九重)を押し倒しで破り、白星スタートとなった。
「戻ってきた……いや、そういう意識はありません。『ここから始まるんだ』という気持ちのほうが、今は強いです」
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阿炎にインタビューをおこなったのは、十一月場所が始まる直前。昨年、七月場所前と場所中に夜の接待をともなう店への出入りを繰り返したことが発覚し、途中休場した後、出場3場所停止と50%減俸5カ月という重い処分が科せられた。
「あの件に関しては……、自分の甘さ、それに尽きると思います。人として本当に情けない。相撲に関わる人たちみんなが守っていたルールを自分が破ったことで、多くの人たちに迷惑をかけてしまった。反省しています」
ただ、提出した引退届は受理されず、復帰への道は閉ざされなかった。
「あれだけの問題を起こしたわけですから、師匠(元寺尾の錣山親方)と相談して引退届を出しましたが、やり直すチャンスをいただけた、自分と向き合う時間をいただいたということだと思います。考え方が幼稚だった。そういう自分を変えていかなくてはいけない。今も強くそう思っています」
処分には「住居を錣山部屋に移し、師匠の直接的な監視下に入ること」という条件がつけられていたが、阿炎は昨年6月に一般女性と結婚して、長女が誕生したばかりだった。
「妻とは同じ小学校出身なんです。結婚してすぐに娘が生まれたんですが、ああいうことになって……。協会からは、最低半年は部屋住みでという話でしたが、今も部屋で暮らしています。
師匠からは、幕内に戻ったら家族と一緒に住んでいいと言ってもらっていますが、幕内に戻ってもどこまで通用するかわかりませんし、そこは自分が納得できるまでと考え、妻とも話し合ってそう決めました。今、妻と子供は妻の実家にいます。
もちろん、家族と一緒に暮らしたいですよ。場所後の休みのときとか、娘と一緒に暮らした時間は少ししかないですから。ただ、これはあくまで自分がやってしまったことの結果ですから、寂しいとか、そういうことを言える立場ではありません。自分も人の親になり、もっとしっかりしないと、と思っています」
かつては “やんちゃ” ぶりで注目を集めることが多かった阿炎。インタビュールームでのユニーク発言やピースサインはいいが、SNSでの不適切動画の投稿などではたび重なる厳重注意を受けていた。
「ああいったことはもう……、相撲と真摯に向き合うには不要なんじゃないかと、今は考えるようになりました」
今後ビッグマウスは封印する決意なのだ。阿炎の本来の魅力は、土俵で見せる思い切りのいい取り口だ。元横綱の白鵬(現間垣親方)を初顔合わせで破るなど、大物キラーとして名を馳せてきた。
「上位に強い、大物食いというのは昔からいわれていました。でも、自分では上位に強いとか思ったことはないんです。上位とは緊張もしますし、やりたくはない。横綱なんか、目の前にいるだけで怖いですから。足は震えるし、頭の中は真っ白になりますよ」
3場所の出場停止から、今年三月場所で復帰。幕下五十六枚目からの再スタートだったが、2場所連続の幕下優勝で十両に戻った。十両では2場所連続の二桁勝利で、幕内に復帰してきた。
「出場停止の間は、自分と向き合うことと、肉体面でも変わることを目標にしていました。幕内の中では体が大きいほうではなかったので、体を大きくしようと。体重は154kgで、以前とさほど変わりませんが、ウエイトトレーニングをたくさんやってきたので、最近よく『デカくなってきたね』と言われます」
そして最後に、今後の決意をこう語った。
「自分がどう変われたか。それをいくら自分で言っても意味はない。今の自分を見てもらって、それでそう判断してもらえたらありがたいことです。今後、三役に戻りたいとか、もっと上を目指すとかよりも、人として成長していくことが大事だと思っています。もう一度、皆さんの前を胸を張って歩けるようになりたい。それが今の目標です」
長い手足から繰り出す強力な突っ張りとスピード、独特の相撲勘から生まれる思い切りのよい取り口――。今では立って歩くようになったという愛娘のためにも、新しい阿炎の姿を見せてほしい。
阿炎政虎(あびまさとら)
1994年5月4日生まれ 埼玉県越谷市出身 188cm154kg 錣山部屋所属。最高位は小結。初土俵は2013年五月場所。
2018年1月に新入幕。突き押しを武器に、 2019年七月場所から4場所連続で東小結に在位。幕内復帰した十一月場所は西前頭十五枚目