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大谷翔平 重病だった天国の「翔平ちゃん」に捧げたMVP…遺族が語った「活躍を見ると、息子を鮮明に思い出す」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.12.03 06:00 最終更新日:2021.12.03 06:00
「ホームランを打ったときは『翔平、また大谷選手が打ったで~!』って、翔平の写真に向かって伝えて、いつも一緒に喜んでいるんです。MVPを受賞したときも、翔平はたぶんMVPの意味がわからないと思うので『大谷選手、選手のなかで一番になったよ。やっぱりカッコいいね!』と伝えました(笑)」
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今オフ、受賞ラッシュが続く大谷翔平(27)。なかでも、もっとも価値のあるア・リーグMVPを満票で獲得したが、その受賞を心待ちにしていたのが川崎静葉さんだ。
静葉さんと大谷の出会いは、2019年1月5日のこと。川崎太志さん、静葉さん夫妻の愛息・翔平ちゃん(当時1歳6カ月)を見舞ってのことだった。翔平ちゃんは「左室緻密化障害」による「拡張型心筋症」という重い病いを患っていた。
回復には心臓移植が必要。限られた時間でとなると、海外での移植を選択するしかなく、それには莫大な費用が必要だった。
費用は募金活動のほかに、心臓移植手術を受けた子供たちの「救う会」から、その余剰金が寄付されていたが、目標額には1億2000万円ほど足りなかった。そんなとき、事情を知った大谷が翔平ちゃんの見舞いに駆けつけてくれたのだ。
「本当に謙虚で、親しみやすい方でした。驚いたのは翔平と会う前に、私のブログを前もって読んで翔平のことを理解しようとされていたみたいなんです。
『ご両親は毎日病院で付き添っていらっしゃるんですか?』などと、いろいろ質問を投げかけてくれました。『この人は本当に翔平のことを理解しようとしてくれている』と、夫婦で心が温かくなりました」
静葉さんは最後に意を決して、大谷にひとつのお願いをした。
「翔平を抱っこしてくださいとお願いしたんです。断わられることも覚悟していたんですが、『僕でいいんですか』と言いながら抱っこしてくれました。翔平も大谷選手の抱っこが気に入ったのか、大きな腕の中ですごくおとなしくしていました。
大谷選手が帰られた後も、いただいたサインボールを眺めたり、翔平にエンゼルスの帽子を何度も被せてみたりと、家族で幸せな余韻に浸っていましたね。今でも大谷選手の活躍を見ると、翔平の姿が鮮明に思い浮かんでくるんです」
大谷が翔平ちゃんを見舞ったことはすぐにニュースとなり、寄付金は目標額に達した。だが、渡米する際の医療設備の整った飛行機の問題などで、渡航の時期は先延ばしになっていた。家族は一刻も早い渡米を待ち続けていたが、希望はかなわず2019年3月10日、翔平ちゃんは天国に旅立った――。
「人が亡くなることは悲しいし、寂しいし、悔しいこと。もちろんその気持ちはあるんですが、大谷選手のおかげで翔平が楽しそうに生き生きとしていた姿を思い出すことができるんです。本当にありがたいです」