スポーツ
優勝目前…楽天球団社長が掲げた“黒字化への3つのキーワード”
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2013.09.04 07:00 最終更新日:2013.09.04 07:00
’05年球団創設以来、Aクラスは’09年の一度だけ。当然、観客動員数でも苦戦していた東北楽天ゴールデンイーグルス。ところが、今年はそんな状況は一変。首位を快走中で、満員御礼でスタジアム外に人が溢れることは、もはや珍しい光景ではなくなった。かつて、“お荷物球団”とさえ揶揄された楽天球団に、いま何が起こっているのか。
「三木谷浩史オーナーから強く言われたのは『我々には2つの大きな目標がある』と。ひとつは経営の黒字化。もうひとつは優勝でした。これが大きな柱ですし、今後も変わらないことだと思います」
こう話すのは昨年8月1日、楽天球団社長に就任した立花陽三代表取締役社長(42)。では、黒字化経営に向けて、どこから着手していったのか。
「じつは今年、大きな3つのキーワードを掲げています。まずは、さらなるファンの獲得です。野球のみならず、プロスポーツはファンがいなければ始まらない。収益を上げてくださるのはファンの方々ですし、ファンがいなければスポンサーもつきません。テレビの放映もできない。その原点をもう一度見つめ直そうと。ですからファンサービスは徹底しています」(立花社長)
具体的なファンサービスを、森井誠之営業部部長に語ってもらった。
「ファンの方は、スタジアムに特別な体験をしに来ているということが前提なんです。ただ試合を観るだけでなく、最高の一日になるようにと。今年も球場正面入口の前にビーチを作ったりと、すでに30近いイベントを開催しています。また、僕が誇りにしているのは、職員全員が楽天イーグルスの一員としてファンサービスをしていることです。たとえば、夏休み期間中は毎回花火を打ち上げるのですが、その後片付けを他社に頼むではなく職員総出でやる。そうすることによってコスト削減になり、花火を一発でも多く上げることにも繋がる。これがうちのいちばん強いところじゃないかと、自信を持って言えますね」
もうひとつのキーワードが『東北』というフレーズだ。
「本拠地・仙台だけ見れば約100万人のマーケットですが、これを東北全県に広げると約1,000万人ともいわれる巨大なものになる。我々は東北楽天というチーム名をつけています。今夏のユニフォームの胸にも『TOHOKU』と書いてあります。我々は東北のマーケットを獲りたい。そのためには、地元の方々に『東北のチームだ』と言われるようにならなければいけないと思っています」(立花社長)
11年3月11日の未曾有の大震災。その1週間後に、弱いときも応援して年間シートを買ってくれた人に全営業部員が一件一件、安否確認の電話を入れた。幸い、全員の無事が確認でき、なかには「楽しみが全部なくなっちゃったときに野球くらい楽しませてよ。チケットを持ってきて」という言葉をかけてくれる人がいた。東北を強く意識した瞬間でもあった。
そして、最後のキーワードが『リスペクト・イーチ・アザー』。これは、互いに尊敬し合うということ。
「球界にはユニフォーム組と背広組という言葉があります。私はこの名称がどうも理解できない。私から見ると、選手も職員も一緒なんです。たまたまそれがプレーをするか、広告をとってくるか、チケットを切るか、ビールを売るかというだけ。そこの区別をなくそうと。風通しを良くしたかった。選手、スタッフは何でも言い合える関係になる。星野監督への要望? 言いましたよ。もっと笑ってくださいと(笑)」(立花社長)
(週刊FLASH 2013年9月17日号)