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松井裕樹に低評価のワケ…メジャー流「人を査定する技術」

スポーツ 投稿日:2013.11.06 07:00FLASH編集部

先月24日、プロ野球ドラフト会議がおこなわれ、今年の目玉として騒がれた桐光学園の松井裕樹(18)は、5球団競合の末、楽天が交渉権を獲得した。今年の「松井ドラフト」を、MLBのスカウトたちはどう見たのだろうか。

 

某ナ・リーグ球団のスカウトA氏に聞くと、「松井はいい投手だけど、こちら側からすれば、そんなに評価が高いわけではない。将来性に疑問符がつく。左投手でスライダーに魅力があるけど、あの球をプロのバッターが簡単に振るとは思えない」と低評価を下した。

 

日米のスカウトで何が違うかというと、MLBのスカウトが選手のレポートを提出する際に、「Present(現在)」「Future(将来)」と分けて評価するなどの「査定システム」に違いがある。MLBにある「スカウトスクール」が象徴しているように、スカウトの存在に重きを置いている。現在、タンパベイ・レイズのアジア担当スカウトを務めている内堀立城氏(40)もスクール出身だ。スクールでは、球団に提出するレポートの書き方が最も重要視される。腕利きのスカウトは見る眼はもちろん、いかにレポートの書き方が優れているかが問われるのだという。

 

「レポートは『Who is he?』(彼は誰だ?)から始まります。たとえば、大学2年生の右投げ左打ちで、体のタイプはイチローのようであると書きなさいと。それから『彼の持っている能力』を説明する。イチローほど肩は強くないけど、真っ直ぐボールを投げることができると。次に『何ができるか』、最後には『メジャーに行けばどんな選手になれるか』を説明する」

まずは具体的なイメージを持ってもらい、その後にどう興味を示してもらえるかが問われるのだ。そして、重要視されるのが、最後の「メジャーにいけば~」だという。MLBでは2~8までの選手グレードの数値が設定されており、その数値は5が平均値で、8が「インパクトプレイヤー」とされている。7がオールスタープレイヤー。日本人選手では8がイチロー、7はダルビッシュである。MLBのスカウトはレポートを書くときには、必ずこの数値を記入する。

 

一方、「現在」と「将来」と区分けされているところに、MLBスカウトの眼力が求められている。では、どうやって将来性を見極めていくのか。この考え方がMLBのスカウトらしい観点だ。内堀氏が続ける。

 

「(将来性は)体が痩せ型であること。筋肉質で硬い体よりも、まだ体ができあがっていない選手のほうが可能性を感じます。人間的な部分では情熱的で、自分の仕事を一生懸命こなすタイプかどうか。聞く耳を持っているかどうかも重要です。自分の行動が周りの選手にどういう影響を与えているか考えられる選手なら最高です。メジャーでレギュラーを張っている99%の人間は周りが見えている」

 

最後に、そんなMLBが今、どのような日本人選手に注目しているのか。前出のA氏に注目の楽天・田中将大と併せて選手評を尋ねてみた。

 

「田中のスプリットは魔球だよ。メジャーの選手は当てられないんじゃないか。ほかは、糸井嘉男、前田健太。糸井は肩が強いし、守備範囲が広い。マエケンは、力投型の田中と違ってしなやかさがある。切れで勝負する岩隈タイプ。まだ体が細いが、アメリカの食事やトレーニングを積めば、もっと体が大きくなって、ボールの質も変わってくる」

 

 来季も、第2のイチローやダルビッシュを発掘すべく、彼らはグレード5~8に該当する選手探しに奔走する。

 

(週刊FLASH 2013年11月19日号)

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