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巨人・原辰徳監督「打てる捕手が好き」で小林誠司リストラ危機…過去20年のデータから読み解く優勝チームと捕手の打撃の相関関係

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.02.16 16:00 最終更新日:2022.02.16 16:00

巨人・原辰徳監督「打てる捕手が好き」で小林誠司リストラ危機…過去20年のデータから読み解く優勝チームと捕手の打撃の相関関係

若手が台頭し、2022年シーズンを背水の陣で臨む小林捕手

 

 2021年、後半戦に大失速し、3連覇を逃した巨人。チームは阿部慎之助(42)が引退してから、小林誠司(32)や大城卓三(29)などが扇の要を守ってきたが、正捕手の座を掴むまでには至っていない。「キャッチャーは横一線」と話す原辰徳監督(63)は、沖縄での2次キャンプに大城、岸田行倫(25)、山瀬慎之助(20)の3人を一軍メンバーに選んだ。小林は新型コロナウイルス感染のため選出されなかったが、このまま引き下がるわけにはいかないだろう。

 

 

 キャッチャーは“守りが第一”と言われるが、打てなければ起用されづらい。小林は2021年のシーズンは、75打数7安打で打率0割9分3厘。チームの投手陣の228打数16安打、0割7分0厘とさほど変わらない数字だった。なかでも、投手の戸郷翔征(21)は43打数5安打で1割1分6厘、菅野智之(32)は32打数4安打で1割2分5厘と打数こそ少ないものの、小林の打率を上回った。

 

 指名打者制のないセ・リーグでは捕手が打てなければ、相手投手に楽なイニングを2〜3回与えることになる。過去にも、古田敦也(ヤクルト)や阿部慎之助(巨人)のように“打てる捕手”のいるチームがペナントを制している例は数多くある。原監督はキャンプ中に「打てる捕手が好き」と公言しており、小林の打撃に変化が見られないようであれば、2022年は二軍生活が多くなってもおかしくない。

 

 過去20年のセ・リーグ優勝チームで最多出場した捕手の成績を見ると、“打てる捕手”の存在の重要性が一目瞭然だ(OPS=出塁率+長打率)。

 

2002年 巨人 阿部慎之助 2割9分8厘 18本 73打点 OPS 8割5分5厘
2003年 阪神 矢野輝弘 3割2分8厘 14本 79打点 OPS 8割9分8厘
2004年 中日 谷繁元信 2割6分 18本 68打点 OPS 7割5分1厘
2005年 阪神 矢野輝弘 2割7分1厘 19本 71打点 OPS 7割6分
2006年 中日 谷繁元信 2割3分4厘 9本 38打点 OPS 7割
2007年 巨人 阿部慎之助 2割7分5厘 33本 101打点 OPS 8割6分8厘
2008年 巨人 阿部慎之助 2割7分1厘 24本 67打点 OPS 8割5分2厘
2009年 巨人 阿部慎之助 2割9分3厘 32本 76打点 OPS 9割4分4厘
2010年 中日 谷繁元信 2割4分4厘 7本 32打点 OPS 7割3厘
2011年 中日 谷繁元信 2割5分6厘 6本 31打点 OPS 7割6厘

 

 阿部は捕手ながら本塁打30発や100打点をマークし、OPSが9割を超える年もあった。矢野の3割2分8厘(2003年)や19本塁打(2005年)も特筆すべき数字だろう。ベテランになるに連れて、谷繁の打撃成績は落ちていったが、それでもOPS 7割をマークしている。

 

“打てる捕手”が減ったと言われる近年も、優勝チームの捕手はそれなりの成績を残している。

 

2012年 巨人 阿部慎之助 3割4分 27本 104打点 OPS 9割9分4厘
2013年 巨人 阿部慎之助 2割9分6厘 32本 91打点 OPS 9割9分1厘
2014年 巨人 阿部慎之助 2割4分8厘 19本 57打点 OPS 7割6分5厘
2015年 ヤクルト 中村悠平 2割3分1厘 2本 33打点 OPS 5割7分5厘
2016年 広島 石原慶幸 2割2厘 0本 17打点 OPS 5割2分6厘
2017年 広島 會澤翼 2割7分5厘 6本 35打点 OPS 7割2分9厘
2018年 広島 會澤翼 3割5厘 13本 42打点 OPS 8割9分3厘
2019年 巨人 大城卓三 2割6分5厘 6本 30打点 OPS 7割1分8厘
2020年 巨人 大城卓三 2割7分 9本 41打点 OPS 7割5分1厘
2021年 ヤクルト 中村悠平 2割7分9厘 2本 36打点 OPS 7割8分1厘

 

 巨人の3連覇には阿部という球史に名を残す“打てる捕手”がいた。広島のV2、V3には會澤が下位打線のキーマンとなり、相手投手にひと息つかせなかった。2021年のヤクルトは、中村が規定打席に到達してチームトップの打率をマーク。2番も37試合務めるなど、打線の貴重なピースとして機能した。

 

 打てない捕手でも優勝したといえるのは2015年のヤクルト、2016年の広島だけ。過去20年のデータを見れば、OPSは阿部の9割超えは驚異的としても、7割ないと相手を楽にさせてしまう。2021年の小林はOPS2割7分7厘。阿部の全盛期を知っている原監督にとって、打てない捕手が打線を分断する姿は他球団の監督以上にやりきれないだろう。

 

 データ上からも、優勝チームには“打てる捕手”が必須。巨人のレギュラー候補は、オープン戦で小林の打撃に向上が見られない限り、大城と岸田が争うことになりそうだ。

 

( SmartFLASH )

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