元横綱・白鵬「間垣部屋」創設で地元・浅草旦那衆からは「観光客誘致の起爆剤に！」の声

 

　東京・浅草に大相撲元横綱・白鵬の間垣親方が相撲部屋を新設すると「週刊文春」に報じられて以降、浅草界隈の旦那衆は久々の朗報に活気づいているという。

 

「何しろここ数年、浅草は踏んだり蹴ったりの状態が続いているんだ。東京五輪ではマラソンコースに入っていたのに、猛暑を理由に札幌に変更されちゃったし、コロナ禍の影響で浅草カーニバルも三社祭りも中止で、海外からの観光客もガタ減り。まったくいいことなしだよ」（浅草商店街関係者）

 

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　実際、例年なら雷門から浅草寺本堂に向かう仲見世通りは、参道の両側に土産物店が軒を連ね、混雑で足の踏み場もないほどの賑わい。伝法院通りと交差する通称ホッピー通りにしても、200メートルほどの両側に30数軒の居酒屋がひしめき、外国人観光客が昼間から生ビールを豪快にあおる姿も見られたが、いまは閑散として、店員の呼び込みの声もむなしいほどだ。

 

「それだけに、相撲部屋が新設されるのは大歓迎だね。100年、200年続いた老舗のお店でさえあっけなく潰れ、シャッターを閉めざるを得ないありさま。これを契機に、活気を取り戻したいね」

 

　そう語るのは、地元発行のタウン誌で浅草の裏表を執筆して30年というベテランライター。浅草の苦境打開に間垣部屋の浅草誘致が起爆剤になると期待する。

 

「間垣親方は2022年に師匠の宮城野親方が65歳の定年を迎えるため、墨田区内の宮城野部屋を継承するのではと言われていました。一方で、間垣親方は現役時代から銀座に総ガラス張りの相撲部屋を構えると語るなど、独自で部屋探しをおこなっていました。ただ、望むような広い土地の入手が困難とわかると、今度は日本橋界隈の土地を物色していたそうです。周囲は『いかにも白鵬らしい』と話しています。

 

　銀座も日本橋も超一等地。そこに自前の相撲部屋を構えたいという間垣親方の胸の内は、前人未到の45回の優勝を誇った実績を国内外の人たちに誇示し、合わせて日本国のど真ん中でモンゴル人の民族精神を発揚するんだ、という野心が見て取れますね」（大相撲関係者）

 

　だが、都心で100坪以上の土地を購入するのは至難のワザだ。新規に部屋を設立するとなると縦に高い4、5階建てマンションのような物件にならざるを得ず、超一等地には間垣親方のお眼鏡にかなう物件は見当たらなかった。

 

　そんななか、間垣親方は都内の不動産会社を通じて、浅草に恰好な物件があることを知った。2021年に閉店した老舗料亭の「瓢庵（ひさごあん）」だ。「瓢庵」は土地約97坪、地上5階、地下1階。館内は全室数寄屋造りで、1階の通路には玉砂利が敷かれ、灯篭を置くなど和の雰囲気を醸し出している。土地は広く、浅草という場所柄も相撲部屋とよく馴染み、これが間垣親方の購入の決め手になったといわれている。

 

「瓢庵」は4億円とも5億円ともいわれる物件。間垣親方はこれを入手し、いずれ相撲部屋に模様替えする構想だという。

 

「いつ部屋が完成するか、具体的にはまだ決まってないようですが、できるのが楽しみですね。じつはあの近くに、元九重部屋があったんです。3年ほど前にホテルに変わり、“横綱ホテル”と呼ばれているんですが、元横綱・北の富士の居室や弟子たちの大部屋が客室になって今も残ってますよ」（前出・浅草商店街関係者）

 

　浅草と相撲部屋の縁の深さを物語るが、実際に間垣部屋が完成すれば、浅草周辺には3人の親方が部屋を構える“聖地”となる。地下鉄田原町駅にほど近い台東区寿4丁目には、元関脇・若の里が2018年2月に設立した西岩部屋があり、スカイツリーのお膝元の墨田区向島1丁目には、元大関・琴欧州が2019年6月に立ち上げた鳴戸部屋がある。

 

「せっかく近所に相撲部屋があるんだから、これをうまく活用しない手はないよね。浅草は雷門と観音様だけじゃない、相撲部屋もあるじゃないかとなってもらいたい。たとえば、浅草寺裏の広い空き地に土俵を造って、3部屋による山稽古や奉納相撲をやったり、子供相撲大会もいい。観光客が観光ついでに迫力ある力士たちの荒稽古をじかに見られると、浅草界隈もおおいに盛り上がると思うよ」

 

　仲見世通りで名物の和菓子店を営む店主は、間垣部屋創設を契機に相撲部屋と観光客誘致の相乗効果をそう期待するのだった。

 

写真・JMPA　取材＆文・岡村青

 

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