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“投手五冠”オリックス・山本由伸を襲う不吉なジンクス…江川、野茂、前田だけが打ち勝った「快投翌年は成績ダウン」

スポーツ 投稿日:2022.03.07 16:00FLASH編集部

“投手五冠”オリックス・山本由伸を襲う不吉なジンクス…江川、野茂、前田だけが打ち勝った「快投翌年は成績ダウン」

2021年は沢村賞を受賞し、いまや球界を代表するエースに成長した山本由伸

 

 2021年に最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最優秀勝率、最多完封の「投手五冠王」に輝き、チームを25年ぶりのリーグ優勝に導いたオリックスのエース・山本由伸(23)が3月5日、DeNA戦(横浜スタジアム)で今季初のオープン戦のマウンドに上がった。1回にいきなり4連打を浴びて1失点。後続は打ち取って2回を1失点に抑えたが、一抹の不安を感じさせた。

 

 

 2022年のキャンプでは、前年より1週間遅い2月11日に初めてブルペンに入り、紅白戦や練習試合にも登板しなかった。2021年シーズンは公式戦に加えて東京五輪、クライマックスシリーズ、日本シリーズとフル回転し、コロナ禍のために11月下旬まで試合があった。例年よりオフも短くなっており、疲労を考慮しての調整となっている。

 

「投手五冠王」は沢村栄治、スタルヒン、藤本英雄、杉下茂、杉浦忠、江川卓、斉藤和巳、そして山本の8人しかおらず、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の「投手三冠王」に絞っても、プロ野球史上20人しか達成していない。

 

 だが、球史に残る活躍をしたエースたちには、“翌年の快投は難しい”というデータが残っていた。リリーフ投手のセーブが公式記録として認定された1974年以降に絞ると、「投手三冠王」は山本以外に10人いる。彼らの投手三冠年と翌年の成績を比較してみよう。

 

鈴木啓示(近鉄)
1978年 25勝10敗0セーブ 奪三振178 防御率2.02
1979年 10勝8敗0セーブ 奪三振91 防御率4.04

 

木田勇(日本ハム)
1980年 22勝8敗4セーブ 奪三振225 防御率2.28
1981年 10勝10敗0セーブ 奪三振104 防御率4.77

 

江川卓(巨人)
1981年 20勝6敗0セーブ 奪三振221 防御率2.29
1982年 19勝12敗0セーブ 奪三振196 防御率2.36

 

小松辰雄(中日)
1985年 17勝8敗1セーブ 奪三振172 防御率2.65
1986年  7勝9敗1セーブ 奪三振97 防御率3.50

 

野茂英雄(近鉄)
1990年 18勝8敗0セーブ 奪三振287 防御率2.91
1991年 17勝11敗1セーブ 奪三振287 防御率3.05

 

上原浩治(巨人)
1999年 20勝4敗0セーブ 奪三振179 防御率2.09
2000年  9勝7敗0セーブ 奪三振126 防御率3.57

 

斉藤和巳(ソフトバンク)
2006年 18勝5敗0セーブ 奪三振205 防御率1.75
2007年  6勝3敗0セーブ 奪三振71 防御率2.74

 

前田健太(広島)
2010年 15勝8敗0セーブ 奪三振174 防御率2.21
2011年 10勝12敗0セーブ 奪三振192 防御率2.46

 

菅野智之(巨人)
2018年 15勝8敗0セーブ 奪三振200 防御率2.14
2019年 11勝6敗0セーブ 奪三振120 防御率3.89

 

千賀滉大(ソフトバンク)
2020年 11勝6敗0セーブ 奪三振149 防御率2.16
2021年 10勝3敗0セーブ 奪三振90 防御率2.66

 

 このなかで、翌年もタイトルを獲得したのは江川(1982年/奪三振)、野茂(1991年/最多勝、奪三振)、前田(2011年/奪三振)のみ。3部門のなかで成績を上昇させたのは、前田(2011年/奪三振)だけとなっている。

 

 前年と似たような数字を残したのはその3人くらいで、2021年の千賀は10勝と勝ち星はほぼ同じだが、故障で前半戦をほとんど棒に振った。江川は1982年の夏に肩を痛めている。前田も交流戦前まで2勝2敗、防御率4.58と振るわず、シーズン通して10勝止まりだった。前年と遜色ない活躍と言い切れるのは、まだ2年めで蓄積疲労のない野茂だけだった。

 

 ほかの選手を見ると、鈴木は故障に泣き、デビュー1年めでMVPなど、タイトルを総なめにした木田は相手に研究された。2人ともなんとか10勝を挙げたものの、防御率は4点台と悪化している。木田以来の新人20勝を挙げた上原も2年めのジンクスにハマり、9勝止まりだった。ただ、不思議なことに、この3人は「投手三冠」の翌年、大幅に成績を下げたもののチームはいずれも優勝を果たしている。

 

 過去のデータを見ると、2022年シーズンの山本が心配になってくる。山本は一軍で本格的に投げ始めてからまだ5年めの高卒投手で、8月で24歳になるばかり。中嶋聡監督は2021年の疲労を考慮しながら、故障させないように大事に使っていくだろう。オリックスの連覇に欠かせない右腕は、不吉なジンクスを吹き飛ばせるか。

 

( SmartFLASH )

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