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カーリング女子 地元で歓迎セレモニー「ゼロ」のなぜ…凱旋追跡で見えたロコ・ソラーレの日常【秘蔵写真あり】
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.03.10 06:00 最終更新日:2022.03.10 06:21
「日常へ帰還」
3月2日、インスタグラムで見せた笑顔は晴れやかだった。北京五輪のカーリング女子日本代表「ロコ・ソラーレ」の吉田知那美(30)である。
所属企業「ネッツトヨタ北見」の看板をバックにした吉田は、ネームプレートを首から下げた通勤スタイル。日本カーリング界初となる、五輪での銀メダル獲得という偉業にも、浮かれた様子は見られなかった。
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「昨日、吉田さんが朝礼で帰国の挨拶をしてくれたんですよ。彼女に『おめでとう』と声をかけると、銀メダルを触らせてくれました」
3日、笑顔で取材に応じてくれたのは、勤務先の店長だ。
「働いているときの彼女は、見てのとおりで明るいし、皆さんのイメージどおりだと思います」
21日に帰国し、一週間の隔離期間を終えたロコ・ソラーレ。地元・北海道北見市常呂町での凱旋帰郷に密着を試みた本誌に、通りがかった住民がこう語る。
「メンバーたちに面と向かって『おめでとう!』と言ったりする地元の人は、少ないんじゃないかな。“ロコ” の皆のことは小さいころから知っているし、“隣のお姉ちゃん” がどこかの大会で入賞したようなものだから」
北見市役所に行くと、吉田知のほか、妹の夕梨花(28)、鈴木夕湖(30)、藤澤五月(30)、石崎琴美(43)のパネルが飾られている。実際の経済効果はどうなのか。北見の名物「ハッカ油」を製造する北見ハッカ通商では、カーリングストーン型のタブレットケースを販売している。
「1月の販売数は343個でしたが、2月には2230個と、6.5倍の売れ行きでした。ロコ・ソラーレの皆さんの活躍で、北見の知名度が上がっているのは非常に喜ばしいことですね。この本社屋は3年前に完成して、以前はメンバーの皆さんに来ていただいて、パーティをおこなったこともあるんですよ」(同社担当者)
平昌五輪で銅メダルを獲得したときには、北見市の中心部でパレードがおこなわれ、1万2000人が沿道に詰めかけた。だが、コロナ禍のいま、市民が参加できるイベントは予定されていない。
「平昌のときは『そだねー』や “もぐもぐタイム” が全国的に注目されて取材が殺到するなど、ちょっと異様な感じでしたね。もともと常呂の人は、控えめな人が多いんです。たとえば、メンバーが通う店の大将に『これ、あげといて』とお祝いを置いていくとか、そういうお祝いをするくらいです」(前出の住民)
今回は、故郷に帰ってきた彼女たちについて必要以上に騒ぎ立てず、ふだんどおりに迎えてあげようということのようだ。
さて、“メンバーが通う店” の筆頭といえば、ロコ・ソラーレの本拠地、アドヴィックス常呂カーリングホールから1km少々の距離にある「松寿し」だ。大将の渡辺大棋さんが語る。
「ロコ・ソラーレのメンバーは、複数で来られることも、一人でふらっと来られることもあります。そして大会の前後には、みんなで必ず『牛もつ鍋』の塩味を食べに来てくれるんです」
オホーツクの海の幸がウリの「松寿し」だが、北見市は一人あたりの焼き肉店の数が北海道いちというだけあって、新鮮な牛もつが手に入る。このメニューは、2016年に世界選手権で銀メダルを獲得して以来の、ロコ・ソラーレの “勝負メシ” なのだ。
「鍋以外では、吉田姉妹はウニやイクラ。夕湖ちゃんは、卵焼きとかオムライスをよく頼んでくれます。お酒が強いのは、さっちゃん(藤澤)と知那美ちゃんなのかな。日本酒とワインが好きみたいです」
そして近々、メンバーたちから予約が入っているという。
「今度は、地元で採れた長芋を入れた、新作の塩もつ鍋を食べてもらうつもりです」
「日常」に戻ったロコ・ソラーレ。馴染みの店でつつくもつ鍋が、なによりの活力になるのだろう。