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断たれた五輪出場の夢…ボブスレー現役日本代表が告発!「連盟会長の好き嫌いで選手選考」「規定の日当も出ず」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.04.06 18:05 最終更新日:2022.04.06 18:05

断たれた五輪出場の夢…ボブスレー現役日本代表が告発!「連盟会長の好き嫌いで選手選考」「規定の日当も出ず」

写真・共同通信

 

 熱戦が繰り広げられた北京冬季五輪。すでに選手らは4年後に向けて動き出しているが、北京五輪に出場できなかったことで忸怩たる思いを抱く選手たちがいる。複数人の選手がそりに乗り込んでタイムを競うボブスレー日本代表だ。

 

 日本におけるボブスレーは、1972年の札幌五輪以来、12大会連続で五輪に出場してきた伝統があるにもかかわらず、2018年の平昌五輪から2大会連続で出場機会を逃している。

 

 

 ボブスレーの代表選手らは、日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟(以下「連盟」)に対して告発を準備しているという。いったい何が起こっているのか。代表選手やOBらが本誌の取材に応じ、連盟の抱える問題点を指摘した。

 

「ボブスレーの選手選考は、全国でおこなわれる共通トライアウトで、2つの海外基準の体力テストをクリアしなければいけません。現在の代表選手4人、補欠選手1人のうち、2つともクリアしているのは3人。1つクリアしているのが1人で、それが補欠選手です。もう1人はいずれの基準もクリアできなかったのに代表選手になっています。本来、2つの基準をクリアした者だけが選ばれるべきですが、そうはなっていません。選手選考は連盟の会長に骨抜きにされています。また、2つの基準をクリアしていても、会長に好かれていない選手は『パイロット』という先頭に乗るポジションに起用されていないのが実情です」(ボブスレー日本代表選手のひとり)

 

 ここでいう連盟の会長とは、北野建設社長の北野貴裕氏のこと。北野会長の好き嫌いで選手が選ばれるため、ボブスレー日本代表は国際大会に出場しても実力を発揮できなかったというのが、この代表選手の言い分だ。さらに彼はこう話す。

 

「ボブスレーは、国際大会に出場してポイントを稼ぎ、その結果で五輪の出場権を獲得します。ポイントを稼ぐための国際大会には、北アメリカカップとヨーロッパカップの2つがあります。前者は出場チーム数も少ないうえに、実力的にも我々が互角に戦える大会でした。ところがそこには出場させられず、我々はわざわざ強豪チームが多く出場するヨーロッパカップに出場させられました。連盟には最初から北京五輪に出場しようという意志がなかったとしか思えません」

 

 さらに、連盟による選手への金銭の支払いにも、おかしな点があるという。連盟のHPによると、代表選手が海外遠征に行く際は、1日2000円の日当と1000円の移動費が支払われることになっている。ところが、実態はそうなっていないのだ。

 

「海外遠征に行っても、1日1000円の日当しか支払われませんでした。ボブスレーのコースは国内には長野にしかありませんが、現在は使用されていないため、1年の大半は海外遠征をしなければなりません。にもかかわらず日当が半分しか支払われておらず、1日1000円の移動費も支払われていません。私たち選手は、普段はアルバイトなどで生計を立てています。海外遠征に行くのに持ち出しも多いのに、連盟は『スポンサーを見つけてこい』と無茶苦茶な要求すらしてくる始末。これがまっとうな競技連盟のすることでしょうか」

 

 また、ボブスレーでは当然、使用するそりが重要になるが、現在、代表が使用するそりは北野建設が所有しており、連盟がリース料を払って使用している。そのことについても、選手は不信感を募らせる。

 

「そりだけでなく、遠征の際に使用する車も、北野建設の所有です。国内では、東京都大田区の企業が中心になって造る『下町ボブスレー』が話題になりました。僕ら代表選手がそのプロジェクトに参加して一緒に開発できれば、より建設的な議論を重ねて、質のよいそりに乗れたはず。でも北野建設が利権を牛耳るために、下町ボブスレーには選手はかかわることすらできないのです」

 

 代表選手らは「このままでは4年後のミラノ五輪にも出場できない」と危機感を募らせている。選手の起用と選考や日当の不払い、そりの運用について連盟に問い合わせたところ、以下のような回答だった。

 

「選手のコンディションを第一に各レースでチームとしていちばん力を発揮できるチーム編成で大会に臨んでいます。北アメリカカップを回避した理由は、パイロットが北アメリカカップのコース未経験であることが大きい理由ですが、そりをドイツに保管しており、輸送にかかるコスト等も考慮の上、決定しました。

 

 日本チームの目標は北京五輪15位に設定していましたので、五輪出場自体が目標ではありません。北アメリカカップやヨーロッパカップで勝負できないようでは、北京五輪15位という目標は到底かないませんので、今シーズンはワールドカップ参戦計画にしました。結果的に北京五輪出場はかないませんでしたが、中長期的視点に立った選手強化をおこなっています。

 

 旅費規定に定める、海外派遣で選手に支給する滞在費(=日当)は、連盟が実施する海外遠征事業において、連盟が負担する旅費及び宿泊費とは別に、海外滞在期間中に選手が個人負担する食費に充当させるのが支給目的です。従いまして、海外滞在期間中に選手の個人負担が発生する食費は、移動日等で食費が宿泊費に含められなかった場合に限定されることから、選手には事前に説明して承諾を得た上で、日当を1000円にしています」

 

 滞在費に関する回答に対し、選手らは「一切の説明もなく、承諾もしていません」と話している。

 

 また、そりが北野建設の所有であることについて連盟はこう回答した。

 

「ボブスレーのそりと運搬車は高額で、連盟での一括購入は困難なため、メインスポンサーの北野建設に購入してもらい、連盟がリース料を支払って使用しています」

 

 また、北野建設にも問い合わせると次のような回答だった。
「そりや車のリース自体はおこなっているが、営利目的ではありません。選手の起用や選考に関しては、選手がいろいろと不満を持っていることは知っていますが、競技委員会で公正におこなっており、社長による私物化といったようなことはありません」

 

 五輪に出場経験のある元代表選手は、現役代表選手の訴えに同情を隠せない。

 

「北京五輪に出場するには、最低限、北アメリカカップに出場することが必要で、ヨーロッパカップ出場を選んだ時点で、五輪には行けないと思っていた。連盟と選手がコミュニケーションを取れていない。こんな状態だとどんな選手がいても五輪出場は無理だろう。2大会も五輪に出場できなかったことは、危機的な状況だ。連盟の改革、選手選考の仕方を含め根本からやり直さないともっと厳しい状況になるだろう」

 

 国を代表して五輪に出場することは、あらゆるアスリートにとっての夢。不透明な運営体質をただし、2大会連続不出場の汚名を晴らしてほしい。

 

( SmartFLASH )

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