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日本カーリング界「期待の星」は現役女子大生チーム…史上初「世界ジュニア選手権」に優勝した4人の素顔

スポーツ 投稿日:2022.06.01 20:05FLASH編集部

日本カーリング界「期待の星」は現役女子大生チーム…史上初「世界ジュニア選手権」に優勝した4人の素顔

カーリングの世界ジュニア選手権で優勝したSC軽井沢クラブJr.の上野結生(左端)、山本冴(左から3人め)、上野美優(左から4人め)、荻原詠理(右端)の各選手。左から2人めは代表チームにリザーブとして加わった三浦由唯菜選手(名寄協会所属)/(公社)日本カーリング協会提供

 

 5月29日まで北海道の北見市でおこなわれていた、カーリングの日本選手権。女子は、北京冬季五輪で銀メダルを獲得したロコ・ソラーレが決勝で中部電力を破り、2年ぶり、3回めの優勝をはたした。

 

 そんななか、5月22日までスウェーデンでおこなわれていたカーリング世界ジュニア選手権(21歳以下)で、日本代表として出場したSC軽井沢クラブJr.が、日本カーリング史上初の優勝をはたした。

 

 カーリング世界ジュニア日本代表のこれまでの成績は、小笠原歩(あゆみ)氏や船山弓枝選手といった当時の名選手が出場した、1998年、1999年大会の銀メダルが最高だった。

 

 

 カーリング界全体でも、シニアでの世界選手権、五輪での最高成績は準優勝。将来を担う若きチームが、日本カーリング界に栄冠をもたらしたのだ。

 

「SC軽井沢クラブJr.は、今回の日本選手権に出場していたトップ4のチームとも、いい試合ができると思いますよ」と話すのは、長年、カーリングの取材を続けているスポーツライターの竹田聡一郎氏だ。

 

 今大会で活躍したリード・スキップを務める山本冴、セカンドの上野結生(ゆい)、サードの荻原詠理(えり)、フォース・バイススキップの上野美優の4選手は、現役の女子大生。

 

 山本選手は日本女子大学家政学部(通信教育過程)、結生選手は長野大学環境ツーリズム学部、荻原選手は立教大学コミュニティ福祉学部、美優選手は日本女子大学文学部に通っている。美優選手と結生選手は姉妹だ。

 

「山本選手は、十分なトレーニング時間を確保するため通信教育過程を選んだそうですが、好きな裁縫を活かし、被服学を学んでいます。結生選手は、1時間に1本ぐらいしか電車が来ないところに大学があるので、待ち時間を使って、次の駅まで歩いていると話していました。

 

 荻原選手と美優選手は新幹線通学をしていて、往復の乗車時間を睡眠に充てている、と笑っていました。2人とも都心の大学なので『練習のない日は原宿に行ったりします』と言っていましたが、コロナ禍でなかなか難しかったみたいですね。

 

 荻原選手は、学部のキャンパスが埼玉県新座市にあるので、武蔵野線で通っているそうですが、すぐに電車が遅れたり、雪が降ると新幹線より早く止まったりする、なんていう話をしていました(笑)」(竹田氏・以下同)

 

 チームの司令塔である山本選手は、カーリングを熟知している。

 

「すごく勉強していないと、リードとスキップはできないんですが、最後に投げる美優選手がとても勝負強いので、そういう点も理解したうえで、戦術を組み立てています。若くしてそのタレント(才能)は珍しいので、個性を生かしたまま伸びていってほしいですね」

 

 姉妹のカーラーといえば、ロコ・ソラーレの吉田知那美・夕梨花姉妹が思い浮かぶ。今回、SC軽井沢クラブJr.の「上野姉妹」も大活躍を見せた。

 

「姉の美優選手は、世界ジュニアでも勝負強さを見せてくれました。『弱気になることもあるけれど、妹が同じチームにいるので心強い』と話していました。

 

 妹の結生選手はスイープも強いですし、運動能力が高いです。ロコ・ソラーレの鈴木夕湖(ゆうみ)選手に似たタイプですね」

 

 最年少の荻原選手は、小学校5年生だった11歳のときに、カーリングの日本選手権に出場経験があるエリートだ。

 

「コロナの影響で大会が中止になってしまったのですが、2020年の世界選手権で、ロコ・ソラーレの5人めの選手として帯同していました。ロコ・ソラーレに指名されるだけあって、とてもコミュニケーション能力の高い選手。英語も上手で、海外のチームの選手ともすぐに仲よくなります。

 

 カーリングは情報収集が大事なので、“渉外担当” のような選手がいるのですが、おそらくその役割を担っています。ロコ・ソラーレだと、吉田知那美選手がそうです。中部電力在籍の北澤育恵選手らとチームを組んでいたこともあるので、チーム内外に顔が広いんです。みんなに愛されて育ってきた “軽井沢の星” ですね」

 

 竹田氏は、彼女たちの将来についてこう話す。

 

「まだ大学生ということもあり、進路に注目が集まります。ただ、世界ジュニアで優勝したということは、北京冬季五輪で金メダルを獲得した、英国のイブ・ミュアヘッド選手のキャリアと同じということ。

 

 藤澤五月選手も吉村紗也香選手も小笠原歩さんも、なしえなかったことですから、ぜひチームとして継続してほしいですね。大きな可能性を秘めていると思います」

 

 2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪で、日本を背負って勝負をしているのは、彼女たちかもしれない。

 

( SmartFLASH )

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