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大谷翔平 米国記者らも頭を悩ませる“次期契約の年俸”…「最大5年300億円、球団売却で下がる可能性も」

スポーツ 投稿日:2022.06.11 06:00FLASH編集部

大谷翔平 米国記者らも頭を悩ませる“次期契約の年俸”…「最大5年300億円、球団売却で下がる可能性も」

試合後のインタビュー中、同僚のイグレシアスがちょっかい

 

 2021年、大谷翔平(27)は投手として9勝、打者として46本塁打を放つなど、ベーブ・ルース以来となる本格的な二刀流で結果を残し、アメリカンリーグ(以下ア・リーグ)の年間MVPに選出された。

 

 迎えた今季、大谷とエンゼルスを現地メディアはどう見ているのか。長くMLBの取材を続ける大物記者2人にたっぷりと語り合ってもらった。

 

■ドジャースなど資金力豊富な球団も参戦

 

 

 2020年オフに、エンゼルスと2年契約を結んでいる大谷の現在の年俸は550万ドル(約7億1500万円・1ドル130円換算)。メジャー6年め終了となる2023年オフにフリーエージェント(FA)権取得となるが、流出を避けたいエンゼルスとしては、今オフにも大谷サイドと話し合いの場を持ち、大型契約締結を目指すとされている。

 

マイク・ディジオバンナ記者(以下MD) FAになったら、ナ・リーグでもDHが使えるため、契約締結に向けライバル球団が増える。以前のルールなら、守らない限り二刀流ができないから、大谷がナ・リーグに移籍することはないだろうと考えられた。しかし、もはやそうではない。これでドジャースなど資金力が豊富な球団も交渉に参加できる。だからエンゼルスとしてはFAになる前、つまり今季終了後に契約延長の話をまとめたいと思っているだろう。

 

レット・ボリンジャー記者(以下RB) 今オフいちばんの注目。エンゼルスは独占交渉ができる今季終了後になんとか合意したいだろうし、それができなかったら、再契約を諦めざるを得ないかもしれない。

 

 契約金額も気になるところだ。エンゼルスはすでにトラウト、レンドーン、ライセル・イグレシアスの3人に対し、向こう3年間で1億ドル近い支払い義務がある。ロレンゼン、シンダーガードは1年契約だから、今季終了後に再びFAになる。しかし、年俸総額には上限もある。

 

RB そもそも、大谷をどう評価したらいいのか難しい。こんな選手いなかったわけだし、二刀流をどこまでできるのか、大谷本人だってわからないだろう。

 

MD 年俸というより、年数かな。自分がエンゼルスの人間なら、4年総額2億ドルを提示する。年俸は5000万ドル。パフォーマンスの心配というより、怪我のほうが怖い。たとえば8~9年契約で、年俸5000万ドルだとしたら、怪我をして投げられなくなった場合、打者だけのために5000万ドルを払うのは厳しい。でも、大谷がどんな契約を望むかかな。短くて年俸が高めなのか、長くて、年俸をやや抑えるのか。

 

RB 短期契約なら、年俸5000万ドルに達してもおかしくない。トレバー・バウアー(3年総額1億200万ドル、2020年レッズでサイ・ヤング賞を受賞し、ドジャースと契約)や、マックス・シャーザー(3年総額1億3000万ドル、2010年から10年連続二桁勝利を記録し、三度のサイ・ヤング賞)の契約のように、総額では2億ドル、3億ドルには届かないが、年俸を高くするというパターン。大谷なら、3年総額1億5000万ドルぐらいになると思う。

 

MD でも本当に評価が難しい。比較できる選手もいない。

 

RB この後、成績が上がって、今年もMVPを獲ってしまったら、エンゼルスにとってはもちろん嬉しいけど、どう年俸を算出していいのか、ますますわからなくなる。だから、やはり短期契約のほうが理に適っていると思う。

 

MD 最大で5年、総額2億5000万ドルかな。それなら5年後、30代前半でもう一度FAになって、大きな契約を結べるかもしれない。

 

RB 途中で契約破棄できるオプションがつく(2~3年後にもう一度FAになる権利を付帯させる)と思うけど、チームは望まないだろうね。

 

■球場周辺の再開発プランがすべて白紙

 

ーーただ、そうなると仮定すればエンゼルスは来季、大谷、トラウト、レンドーン、イグレシアスの4人の年俸で約1億5000万ドルに達する。年俸総額の予算は2億ドル程度といわれており、残り5000万ドルでそのほかの36人の契約を賄うことは難しくも思える。

 

MD さすがに予算は上積みされると思うけど、シンダーガードとは再契約できないだろう。このままいいピッチングを続ければ、彼の価値もすごいことになるけどね。

 

RB 大谷とシンダーガード、確かに同時に契約延長することは難しいだろう。

 

MD 先発は大谷、サンドバル、ロレンゼンの3人に加え、あとは若手で、というのが来年以降のローテーションかな。ドジャースやメッツのように無尽蔵に予算があるなら別だけど、エンゼルスにそこまでの予算はない。

 

 先ごろ、エンゼル・スタジアム周辺の再開発を推進していた地元アナハイムの市長が不正汚職疑惑で辞任した。土地売却交渉の際に、機密事項をエンゼルスのオーナー、アート・モレノ氏に提供し、その見返りとして巨額の選挙資金を得ようとした疑いが浮上したのだ。これにより、球場周辺に商業施設やホテルなどを建設する再開発プランは頓挫。もし、プロジェクトがまとまっていれば、エンゼルスの増収にも繋がり、年俸総額を上げることも可能になっていたかもしれないが、計画はすべて白紙になってしまった。

 

MD 今後どうなるか、方向性がみえるまでしばらく時間がかかるだろう。さらに、オーナーのモレノ氏は75歳。一線を退いてもおかしくないが、息子は球団経営には興味がないようだから、球団売却の可能性もあり得る。その場合、誰がオーナーになるかで、年俸総額も変わるだろうね。

 

ーー最後に、今季の大谷の印象に残っているプレーやシーンをそれぞれ教えてほしい。

 

RB 5月8日のナショナルズ戦のサヨナラのホームインは、スピードがあった。あのときはまだ、足のつけ根の張りがあったはず。セーフになった後、大谷も拳を突き上げて喜んでいたからね。投手としては、やっぱり5月4日~5日のレッドソックス戦かな。前日、夜11時まで走り回っていたのに、翌日のデーゲームでベーブ・ルースと同じマウンドで投げて、あれだけのピッチングをするんだから。

 

MD 4月20日の敵地・アストロズ戦もすごかった。一番・投手兼DHで出場し、12三振を奪う快投で6回途中までパーフェクトに抑える圧巻の好投を見せたかと思えば、打っても2安打2打点。スライダーの曲がり幅が大きく、相手が空振りするときバットとボールが20~30cm離れていた。打つほうでは、5月9日のレイズ戦で2打席連続本塁打を放った試合も衝撃的だった。満塁ホームランが初めてというのがいちばん驚いたけどね(笑)。

 

マイク・ディジオバンナ記者
「LAタイムズ」に入社し36年。野球記者としては27年め。エンゼルスは1995年から取材し、一時期ドジャースの番記者も務めたが、現在はまたエンゼルスを担当。同紙のコラムニストも兼任

 

レット・ボリンジャー記者
MLB.COM」エンゼルス担当。2008~2010年、ドジャースとエンゼルスを担当。2011~2018年はツインズを担当し、2019年からエンゼルスの担当

 

写真・共同通信
取材&文・EIS

 

※成績は6月9日時点、日時は現地時間

 

( 週刊FLASH 2022年6月21日号 )

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