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佐々木朗希 3年めとしては「大谷より素材は上」と大学准教授も断言!球宴で期待される史上最速「171km」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.07.26 06:00 最終更新日:2022.07.26 06:00
今季は超“投高打低”のシーズンと言える。完全試合を達成した佐々木朗希(20)を含め、すでにノーヒットノーランを達成した投手が4人もいる。同一シーズンに4人が達成したのは、1950年の2リーグ制開始以降では初めてだ。
背景には何があるのか。バイオメカニクス(生体力学)を専門とする動作解析の第一人者で、筑波大学野球部の監督も務める川村卓同大准教授に尋ねた。
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「4投手の偉業のすべてが序盤戦だったことを考えると、コロナ禍の影響が大きい。打者は、投手の生きた球を打って調整していくもので、オープン戦など実戦の場が少なかったことが、投手にアドバンテージをもたらしました」
さらに、投手力の向上も著しいようだ。
「10年前なら直球は平均で140kmで速いといわれていましたが、今は145km以上。変化球のレベルアップもあります。球種が多くなったというより、変化する幅が大きくなったり、140kmを超えるスプリットを投げる投手も出てきました」
そして、この投手有利の状況で、最大限に実力を発揮している投手として、川村准教授は佐々木を挙げる。プロ入り3年めながら、進化が目覚ましいという。
「佐々木くんの場合、2年かけてじっくり体を作ったことで、自分の持っているポテンシャルを損なわずに成長できた。球団主導で、すごく計画的にやっていると感じます。肉体改造では体を大きくすると同時に、細かい筋肉も全体的にゆっくり鍛えることが不可欠。佐々木くんは、バランスの取れた体作りに成功しました。同じ長身投手の大谷翔平というお手本がいたことも大きかった。彼もメジャーに行って徐々に体を大きくし、大活躍していますから」
フォームも、入団当初から修正されてきているという。
「佐々木くんの投球動作でまず目を引くのが、左足を高く上げること。それが160km超の球威に繋がっていますが、じつは弊害も大きい。足を高く上げれば上げるほど、人間の体は背中側へ傾きます。そうすると、バランスが崩れやすく、体が開いたフォームになる。だけど彼の場合、昨年より筋力の強さと柔軟性が加わったので、足を高く上げても軸がブレないわけです」
そのほか、テイクバックの際、左肩と右肩が地面と平行になっているため、高い位置から右腕を押し込めることも特長だという。川村准教授が絶賛するのは、プレートの使い方だ。
「左足を上げてステップしていくときに、軸足である右足でプレートを押す動作があります。そこで強く押せることが“速い投手”の条件。左足を高く上げるのは、高校時代と変わりませんが、当時はそのまま下りていくだけだったのに対し、現在は右足でしっかりとプレートを押す姿勢を作れていて、推進力が出てきた。
股関節とお尻の筋肉が使えるようになったことで、より低い姿勢でプレートを押すことができ、地面から受ける反作用の力も大きくなっている。強く長く押しているぶん、ボンと全身が跳ね上がっていくわけです。この形を普通の投手がやるのは難しい」
次に、踏み込む左足もポイントになる。
「右足でプレートを押して得た推進力を、今度は左足で受け止めます。その左足がぐらぐらすると、軸がブレる。彼は高校生のころまでは、左足で推進力を受け止められていなかった。だから、ちょっと体が下に沈むような動きになってしまい、上半身でカバーしようとしてバランスが悪くなっていました。
高校時代の投げ方では、たしかに肘を故障するリスクは高かったと思います。でも今は、推進力を受け止めた左足が突っ張ると同時に、お尻が上がる動きになっている。下半身の力を上半身にしっかりと伝えています」
フォーム自体は、昨季のほうがダイナミックだったという。
「昨季はすごく大きなフォームで、跳び上がって投げるような感じでした。ただ、タイミングが合わないとブレも大きかった。いい球と悪い球がはっきりしていました。一方、今季のフォームでは7割から8割の力で投げている。それで160km以上出るんですから(笑)。力まずに強いボールを投げるコツみたいなものを掴んだんじゃないですかね」