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山形県が沸いた2013年の「日大対決」…甲子園の“番狂わせ”ドラマ<北海道・東北編>

スポーツ 投稿日:2022.08.11 06:00FLASH編集部

山形県が沸いた2013年の「日大対決」…甲子園の“番狂わせ”ドラマ<北海道・東北編>

<山形> 日大山形 7−1 日大三・東京/2013年2回戦(写真・共同通信)

 

 その大会のときにだけ、鮮烈に輝く高校。念願の初勝利のあと、今では「強豪」に名を連ねる高校。甲子園では、しばしばそんな “ジャイアントキリング” が起こる。あなたの故郷の奇跡を追体験しよう。

 

◎<北海道>旭川実 5−4 松山商・愛媛/1995年1回戦

 

 4度の全国制覇を誇る古豪・松山商に挑んだ旭川実は、甲子園初出場。1点を追う4回表、打者10人で6安打5得点を挙げ、そのリードを守り切った。四番の岡田が、試合後に「うちは叩きつける打撃が持ち味ですから、(長打狙いの松山商とは)野球が違います」と語ったように、この日、旭川実が放った11安打のうち、8本がゴロ。自分たちの野球を貫き、北北海道勢初のベスト8へ進んだ。

 

◎<青森>東奥義塾 4−3 高知・高知/1963年2回戦

 

 2度めの出場となる東奥義塾は、甲子園初勝利を懸けて、翌1964年夏に全国制覇する高知と対戦。初回に1点を先制されたまま7回まで2安打に抑えられていたが、8回裏に三番松本の2点適時打で逆転。古豪の意地を見せ、粘る高知も9回表に執念で同点に追いつくと、延長10回、逆にリードを奪い返す。その裏に四球、バント、連続タイムリーで再逆転した東奥義塾が、今大会初の延長となった激戦を制した。

 

◎<岩手>盛岡大附4−3 東海大相模・神奈川/2014年2回戦

 

 140km/h超の直球を持つ4投手を擁し、この大会の優勝候補と目された東海大相模。一方、盛岡大附は8度めの出場ながら甲子園未勝利だったが、大会前から150km/hを投げるエースの松本裕樹が注目されていた。疲労の蓄積で本調子ではなかった松本だが、緩急を巧みに使い分け、2回以降は東海大相模に連打を許さず完投勝利。同年秋、盛岡大附 “初のドラ1” としてソフトバンクに指名された。

 

◎<宮城>東北学院 5−3 愛工大名電・愛知/2021年1回戦

 

 創部50年めにして甲子園初出場の切符を掴んだ東北学院は、187cmの長身エース右腕・伊東が初回に死球を受けて脇腹にテーピングを巻きながらも、低めを丁寧に突く投球で3失点完投。打っては、七番山田が4打数2安打4打点で打線を牽引。相手の反撃をチーム全員で凌いで、強豪・愛工大名電を撃破。宮城県勢では2014年出場の利府以来となる初出場初勝利を果たした。

 

◎<秋田>金足農 6−3 広島商・広島/1984年1回戦

 

 春に続いて、夏初出場の金足農。春に1勝を挙げていたとはいえ、相手は古豪の広島商。金足農のエース水沢が「集まった記者の8割は広島商のほうに行っていた」と振り返るほど期待は低かった。だが、カーブを駆使する水沢の好投と、バントを多用する戦術で快勝。準決勝では桑田真澄(後に巨人など)、清原和博(後に西武など)を擁したPL学園(大阪)を2−3と、あわやのところまで追い込んだ。

 

◎<山形>日大山形 7−1 日大三・東京/2013年2回戦

 

 日大山形の初戦の相手は、2001年と2011年に全国制覇を成し遂げた優勝候補の日大三。西東京予選では1試合平均12.5得点の攻撃力で、準決勝までの5試合をすべてコールド勝ちした強力打線を相手に、エース庄司が1失点に抑える快投。打線も7回表に一挙5点を奪う猛攻で “日大対決” に堂々の勝利。夏の甲子園に山形県勢の校歌を7年ぶりに響かせると、県勢初となる夏の甲子園ベスト4まで進んだ。

 

◎<福島>郡山北工 2−1 松山商・愛媛/1978年1回戦

 

 甲子園初出場の郡山北工は、初戦で伝統校・松山商と対戦。松山商は初回に二、三番の長短打であっさり1点を先制。そのまま優位に試合を進めるかに思えたが、郡山北工のエース折笠の重い球に苦戦し、追加点が奪えない。一方、6回まで2安打に抑えられていた打線は7回に同点に追いつくと、8回、ランナー三塁の好機で八番・橋本が初球スクイズを決め逆転。これが決勝点となった。

 

 

 都道府県別に夏の甲子園の “番狂わせ試合” を選んでくれたのは、『高校野球100年史』(東京堂出版)の著書を持つ野球史研究家・森岡浩氏(61)だ。

 

「私が考えた選考基準は、(1)3回戦までで(2)過去50年以内の試合ということです。準決勝や決勝に勝ち進んでいる高校は十分に強くて、すでに “番狂わせ” とはいえませんからね。ですが、たとえば京都や高知などは、甲子園に出場できる高校が限られているうえに、たまに出てくる公立高校は、すぐ負けてしまうことが多いんです。そういった都道府県は、泣く泣く(1)と(2)、どちらかの基準を緩めました」

 

 森岡氏の忘れられない “どんでん返し” 試合は、宇都宮学園×東海大相模だそう。異論は大歓迎。あなたの一番は?

 

( 週刊FLASH 2022年8月23日・30日合併号 )

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