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大谷翔平はなぜそんなに凄いのか科学分析【打撃編】

スポーツ 投稿日:2017.05.14 06:00FLASH編集部

大谷翔平はなぜそんなに凄いのか科学分析【打撃編】

 

 昨季、“二刀流”の本領を発揮し、日本ハムを10年ぶりの日本一に導いた大谷翔平(22)。165kmのストレートを投げ、160m級のホームランをかっ飛ばし、投手と指名打者の2部門でベストナインに選出された。「ピッチャーは三振でいい」時代は終わったのだ。

 

 ちなみに、漫画『ドカベン』の最速投手・不知火守はMAX162km。最強打者の山田太郎は160m弾を放った。大谷選手は、プロ4年めにして、漫画のキャラクターと化してしまった。

 

 大谷は左大腿二頭筋の肉離れに見舞われたが、5月7日にはランニングを再開しており、復活が待ち遠しい。それにしても、なぜ大谷は2次元を上回る活躍ができるのか? 本誌はその答えを求めて、さまざまなスポーツ選手の3次元動作分析をおこなう「フェアプレイ・データ」に、打者・大谷翔平を徹底分析してもらった。

 

大谷翔平はなぜそんなに凄いのか科学分析【打撃編】

 

「まず、昨年、大谷選手が残した打者としての記録を、コース別に見てみましょう(図1)。アウトコースの打率が3割2分、中が5割3分6厘、インコースが3割4分2厘。驚異的な数字ですね。これは苦手なコースがない、ということ。

 

大谷翔平はなぜそんなに凄いのか科学分析【打撃編】

 

 次は高低別(図2)ですが、高めは3割7分5厘、中は4割7分4厘、低めが3割3分3厘。つまり、ボールのコースも高さも、まんべんなく打っている。外と中のボールはセンターからレフト方向へ、インコースはライト方向へ。コースに逆らわないバッティングが特徴です。

 

 次に、打撃スイングを分析してみました。一般的に、アウトコースのボールはインパクトの位置が体から遠いため、内角より股関節の回転を使えない。結果、バットからボールに力を伝えにくく、バットのヘッドが下がりやすいので、打ってもだいたいゴロになってしまいます。投手が初球や配球に困ったとき、アウトコース低めに投げるのはそのためです。

 

 ですが、大谷選手はアウトコースの球を遠くへ飛ばすことができる。それを可能にしているのが、彼ならではのスイング。

 

 体の軸が少し傾き、その軸に対して直角にスイングしている。軸を傾けることで、ど真ん中の球をスイングするように、振っている。これは、身長が190cmあるからできること。外の球に合わせるのではなく、バットを振り切ることで長打が生まれる。軸が傾いているから一見、不安定に見えるけど、左足の踵は地面についたままで、どっしり構えて振っています。だから飛距離が出る。

 

 では、内角の球はどうなのか? 外角とは一転して、脇を空けて、肘の位置と手首とバットの芯が一直線になるようにスイングしています。ふつう、インコースを打つときは、腕をたためっていいますけど、彼のように肘を空けてから締めるスイングが理想的なんです。言うのは簡単ですけど、これがすごく難しい。インコース打ちのお手本だった落合(博満)さんの打法です。内角も外角も強いスイングができるのがすごい。これはメジャー級のスイング。飛距離も日本人トップです」

 

 では、大谷選手を打ち取る秘策は?

 

「ボールゾーンで勝負するしかないです。彼はピッチャーでもあるので、ピッチャーの心理も理解している。低めのボール球で勝負してくる、というのを考えて打席に入っています。

 

 だから攻略法というのは難しいけど、藤浪晋太郎(阪神タイガース)のように160kmを投げられるなら、ツーストライクまでカウントを取って、最後、真ん中高めのボール球で空振りを取る……。

 

 でも、松井秀喜とイチローを足したようなバッターなので、そう簡単にはいかないでしょうね」

 

 圧倒的に飛び抜けた実力なのである。

(増刊FLASHダイアモンド 2017年4月28日号)

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