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広島新監督・新井貴浩「例え罵声を浴びてでも」広島カムバック当時、本誌に語った古巣へ“覚悟の復帰”

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.07 15:42 最終更新日:2022.10.07 16:16

広島新監督・新井貴浩「例え罵声を浴びてでも」広島カムバック当時、本誌に語った古巣へ“覚悟の復帰”

新井氏の引退セレモニー  場内を一周しファンの声援に応える(写真・共同通信)

 

 広島の来季新監督に、新井貴浩氏が就任すると報じられている。球団からの就任要請を6日までに受諾し、球団公式サイトも新監督就任を7日、正式に発表した。

 

 新井氏は1998年にドラフト6位で広島に入団。しかし、選手人生は「広島一筋」というわけではなかった。2007年には、FAで阪神に移籍。2015年に、広島に戻ってきた。本誌は、カムバック当時の新井を、2015年にインタビューしていた。

 

 

 2008年4月、広島市民球場は異様な雰囲気に包まれていた。耳をつんざくような大ブーイングに「裏切り者!」の怒号さえ飛びかった。打席には前年、FAで阪神に移籍した新井貴浩がいた。当時のことを、新井はこう振り返っていた。

 

「覚えています。ブーイングがすごかったから。忘れることはできない」

 

 

 それから7年。新井は、阪神から減額制限を超える1億3000万円ダウンの年俸7000万円の提示を受けた。ならば自由契約も選択できる。他球団のオファーを待った。ただし、新井は「広島だけはない」と思っていたという。それだけに、古巣からの声には驚きしかなかった。

 

「球団から『帰って来い』と言ってもらってから、ずっと悩んでいた。嬉しかったが、もう一人の自分に『一回出たんだから、帰っちゃダメだろう』という気持ちもあって。でも、帰ると決断したときは応援してもらえなくても、たとえ罵声を浴びてでもプレーしようと、覚悟を決めて帰ってきました」

 

 2015年、最初からフルパワーで臨んだ。

 

「ベテランはキャンプでの特別練習は免除されるが、新井は毎日1時間こなし、体を苛め抜いた。期するものがあったと思うが、その姿勢は今年のキャンプでも同様だった」(担当記者)

 

 2015年開幕戦。新井の最初の打席は7回裏、代打でのことだった。当然、2008年の悪夢が頭をよぎった。だが、マツダスタジアムに駆けつけたファンは、復帰した新井を大声援で迎えた。

 

「戻ってきた自分を大声援で迎え入れてくれた。ブーイングで受けたトラウマよりも、昨年の開幕戦の声援のほうが大きかったし、鳥肌が立ちました」

 

 広島復帰を決めてからは、何があってもできることをやろうと決めていた。だが、体が悲鳴を上げるまでには、そう時間はかからなかった。右肘の違和感、下半身の張り。なかでも5月に痛めた左手中指は深刻だった。明らかに、付け根あたりの骨がずれていた。それでも、新井は試合に出続けた。

 

「脱臼に加え、腱がずれて手術が必要でしたが、そうなると2、3カ月野球ができない。痛み止めを打って出ようと。そう考えたのは、『帰って来い』と言ってくれた球団、大声援で迎えてくれたファンの存在がありました」

 

 左手中指はオフに手術の選択肢もあったが、トレーニングができなくなるからと、回避して新シーズンに臨んだ。新井は満身創痍ながら、男気溢れる姿でチームを鼓舞していた。

 

 それから7年で、新監督に抜擢された新井。さらなる広島への恩返しはなるか、来シーズンが待ち切れない。

( SmartFLASH )

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