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障害の「絶対王者」オジュウチョウサンが引退へ…「踏み切ってジャンプぅ!」の名物アナが語る「最高すぎた3レース」

スポーツ 投稿日:2022.10.25 20:00FLASH編集部

障害の「絶対王者」オジュウチョウサンが引退へ…「踏み切ってジャンプぅ!」の名物アナが語る「最高すぎた3レース」

2020年の阪神スプリングジャンプで圧勝(写真:山根英一/アフロ)

 

 障害レースで圧倒的な強さを誇ってきた「絶対王者」オジュウチョウサン引退が決まった。10月16日、東京ハイジャンプで9着に敗れ、長山尚義オーナーが「クリスマスイブの(中山)大障害をオジュウのラストランにしたい」と明かした。

 

 ステイゴールドを父に持ち、2011年に生まれたオジュウチョウサンは、2013年にデビューし、その後、障害レースに転向。2016年2月、障害レースの最高峰「中山グランドジャンプ」でJ・GI初制覇を果たすと、同年12月の「中山大障害」でG・JIを連勝。障害馬の頂点に立った。

 

 

 以後、「中山グランドジャンプ」は5連覇を含む6勝、「中山大障害」は3勝。障害GI・9勝は、1年に2つしかないGIだけに、不滅の大記録と言っていい。

 

 2018年の有馬記念に武豊騎手を背に出走。平地と障害の “二刀流” に挑戦したことも大きな話題となった(結果は9着)。11歳になった2022年も「中山グランドジャンプ」を制し、王者健在を示したが、ついに引退の時を迎えることになった。

 

 日本競馬史上、最強のジャンパーの魅力を「名物アナウンサー」に語ってもらおう。競馬ファンには「踏み切ってジャンプぅ!」のフレーズでおなじみ、山本直也アナウンサーだ。

 

「競馬実況を担当して30年近く、これまで名馬と呼ばれる馬はたくさんいましたが、これほど長い間、第一線で活躍をつづけた馬というのはいません。11歳ですからね。

 

 しかも、ずっと順風満帆というわけではなく、骨折や脚部不安があったりと、満足な状態で走れないときもあり、それを乗り越えてきたわけです。

 

 厩舎のケアも相当大変だったと思いますが、それに応えてきたオジュウチョウサンは本当にすごい」

 

 オジュウの多くのレースの実況を担当したという山本アナに、印象に残るレースを3つあげてもらった。

 

「一番インパクトがあったのは、2017年の中山大障害。アップトゥデイトという、オジュウの前のチャンピオンホースとの対決です。こちらもJ・GIを2勝した強い馬ですが、オジュウとの対戦で3連敗し、このレースでは大逃げの手に打って出たんです。4コーナーではまず届かないだろうという位置にいたオジュウが、直線ですごい脚を使ってきっちり差し切りました。あれはすごいレースでした。

 

 面白かったレースは、2019年の中山グランドジャンプ。『オジュウ包囲網』という感じで、いろんな馬が入れ代わり立ち代わりで、オジュウを潰そうと競りかけてくるんです。並の馬ならとても耐えられませんが、オジュウはまったく動じず完勝しました。あの精神力は、本当にすごい。

 

 そして、一番強いレースをしたと思うのが、2018年の中山グランドジャンプ。ここもアップトゥデイトとの対決ですが、3コーナーすぎで楽々と交わすと、直線は流したままでゴール。それで2着のアップトゥデイトに2.4秒という大差をつけ、従来のレコードを3.6秒も更新したんです。このレースで重賞9連勝。底知れぬ強さを感じましたね」

 

 引退レースにはこんな期待をかけているという。

 

「暮れまでにしっかり立て直して、力を出せる状態であれば、『強いオジュウチョウサン』を見せてくれるんじゃないでしょうか。

 

 オジュウにとって中山コースは “庭” みたいなもの。あれだけの馬ですから、有終の美を飾ってほしいですね。

 

 自分が実況を担当するかどうかは、まだ決まっていません。もちろん実況したいという気持ちもありますが、いちファンとして、仕事ではなくオジュウの最後のレースをこの目で見たいという気持ちもあるんですよ」

 

 ちなみに山本アナ、オジュウチョウサンの馬券はほとんど買ったことがないのだという。

 

「自分が実況を担当するレースでも、馬券を買うことが多いんですが、穴党なので『固い』と思ったレースの馬券は買わないんです。オジュウが負けることは考えにくいですからね」

 

 クリスマスイブ、名馬の最後の雄姿を目に焼きつけたい。

( SmartFLASH )

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