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W杯、ドイツ&スペイン撃破に秘策あり!「吉田麻也を外すのは賭けとしてアリ」福田正博氏と岩本輝雄氏が提言

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.30 06:00 最終更新日:2022.10.30 06:00

W杯、ドイツ&スペイン撃破に秘策あり!「吉田麻也を外すのは賭けとしてアリ」福田正博氏と岩本輝雄氏が提言

吉田麻也主将、森保一監督

 

 11月20日に開幕するカタールW杯森保一(もりやすはじめ)監督(54)率いる日本代表は、1次リーグでドイツ、コスタリカ、スペインと対戦する。かねてから森保監督と親交のある2人。現役時代に日本代表として、ともに1993年の “ドーハの悲劇” を経験した福田正博氏(55)と、Jリーグの京都パープルサンガとベガルタ仙台でチームメイトだった岩本輝雄氏(50)が持論を展開した。

 

岩本 9月のドイツ遠征は収穫が多かった。なのに、森保さんがなぜ叩かれているのかわからない。

 

 

福田 アメリカ戦はスタメンがハマった。あれが、W杯での基本メンバーのはず。今までどうするのかなと思っていたところを森保は解決できた。

 

岩本 所属クラブで試合に出ていて、調子のいい選手を使ったことがよかった。たとえば、鎌田大地(26・フランクフルト)とか久保建英(たけふさ)(21・レアル・ソシエダ)とか。

 

福田 2試合で、多くの選手に出場機会が与えられたなか、アメリカ戦でトップ下の鎌田が機能していたのが嬉しい驚きだった。俺はドイツ・ブンデスリーガの解説をしているので、この数年、鎌田のプレーを見てきて、クラブでは活躍しているのに、代表では実力を発揮できていなかった。アジア最終予選では招集メンバーから外れたし、W杯は厳しいかなと思っていたけど、一気に期待感が出てきた。あと、これまで右サイドや中央で起用されてきた久保が、左サイドで起用できる目途が立ったのも大きい。

 

岩本 久保はこの夏に移籍して試合に出続けていることでコンディションがよさそう。それに、ドイツ遠征では(最終予選でメインにしていたシステムの4-3-3ではなく)守備的MFを2枚にした4-2-3-1にして、アメリカ戦では遠藤航(29・シュトゥットガルト)と守田英正(27・スポルティング)のダブルボランチがよかった。W杯で格上の相手と対戦することを考えれば、この布陣のほうがいい。

 

■久保と鎌田を前線で起用して「ゼロトップ」

 

 鎌田のブレイクは大きな収穫だった。一方、ロシアW杯以降エースとして起用されてきた大迫勇也(32・ヴィッセル神戸)が、2月に代表を外れて以降、肝心のCF(センターフォワード)の適任者が見つかっていない。

 

岩本 アメリカ戦で先発した前田大然(25・セルティック)のスピードを生かした前線からのプレスは有効だった。

 

福田 ただ、2021年に横浜F・マリノスで得点王になっているものの、前田の得点力には疑問が残る。スピードという絶対的な武器はあるけど、それが生きる場面は限られる気もする。そう考えるとポストプレーもできる大迫や上田綺世(あやせ)(24・セルクル・ブルージュ)を起用したくなるが、2人とも状態はあまりよくない。

 

岩本 長くドイツでプレーしていた大迫が、2021年夏に7年ぶりにJリーグに復帰したのは、向こうでのプレーが厳しかったからでしょ。いいときの大迫は前線でボールが収まっていたけど、最近はJリーグでもなかなか…。場合によっては、久保と鎌田を前線で起用してもいいと思う。

 

福田 CFを置かない、ゼロトップってやつね。

 

岩本 サイドはスピードのある伊東純也(29・スタッド・ランス)と三笘薫(25・ブライトン)を置く。ただ以前、森保さんと話したときは、伊東のFW起用もアリと言っていた。

 

福田 伊東は今夏にフランスへ移籍してからも好調で、FWとしてヘディングで点を取ったりしている。

 

岩本 たとえば途中で伊東をFWにして、右サイドに堂安律(24・フライブルク)を入れるのもありかもしれない。

 

 守備では、CBとボランチでプレー可能な板倉滉(25・ボルシアMG)が9月中旬に左膝を負傷し、復帰がW杯直前になるといわれているのが気がかりだ。加えて、ここへきて主将の吉田麻也(34)の状態を心配する声が聞こえる。所属するシャルケはブンデスリーガで17位と下位に沈み、吉田が失点に絡んだという厳しい報道も目立っている。

 

福田 ブンデスリーガの序盤の出来を見て、吉田に代えて板倉を先発で起用すべきだと思っていた。それくらい、板倉のパフォーマンスがよかったし、吉田のスピードが圧倒的に足りないと感じた。クラブでの不調は代表にも影響するからね。ただ、板倉が負傷し、W杯に間に合うかということになってしまった。

 

岩本 板倉は吉田同様に高さがあるし、ビルドアップもうまい。でも、板倉が間に合ったとして、森保さんはこれまでずっと起用してきた吉田を外せるかな(笑)。

 

福田 板倉が復帰しても、万全の状態かどうかが重要。吉田は簡単に外せる選手ではないし、9月のドイツ遠征では悪くなかった。もし外したときは、チームに衝撃が走るはず。でも、板倉のコンディション次第だけど、ひとつの賭けとして吉田を外すのはアリじゃないか。2010年の南アフリカW杯のときも、岡田武史監督が大会直前に主将やGKを代えたことが吉と出た。

 

 左SB(サイドバック)も、長く長友佑都(36・FC東京)が務めてきたが、中山雄太(25・ハダースフィールド)や伊藤洋輝(23・シュトゥットガルト)という若手が台頭してきた。

 

福田 俺は伊藤を推したい。身長188cmの高さは魅力だし、去年ドイツに移籍すると、すぐにレギュラーとして活躍した。SBだけでなくCB(センターバック)もできるのが魅力だし、パスも中山より上だと思う。

 

岩本 アーセナルの冨安健洋(23)をSBで使う手もある。

 

 今回は “サプライズ招集” はないのだろうか。

 

福田 今大会はこれまでより登録メンバーが3人増えた。ゴールを奪うには飛び道具が必要だし、たとえば山中亮輔(29・セレッソ大阪)とか。左足キックはピカイチだし、残り15分で多少守備は目をつむって、山中の左足にかけるのもおもしろいと思っている。絶対にありえないだろうけど。

 

岩本 FKならコンサドーレ札幌の福森晃斗(29)もいる(笑)。それと相馬勇紀(25・名古屋グランパス)は、ドリブルで仕掛けてFKが取れるし、守備も頑張る。途中出場でも、出たら必ずチャンスを作る。

 

 メンバーは11月1日に発表されるが、指揮官のマネジメント能力について、長年の “戦友” はどう見ているのか。

 

岩本 俺は “森保さん寄り” だけどね(笑)。今までやってきたことを最後まで貫くタイプ。

 

福田 俺も評価はしてる。ただ、心配があるとすれば、森保はサンフレッチェ広島時代にJリーグで3度優勝しているけど、カップ戦は勝ってない。タイプ的にはW杯のような短期決戦ではなく、長いリーグ戦向きだと思う。W杯では交代など早急な決断が求められるので、思い切った采配ができるか。いつか、岡田さんが森保のことを頑固と言ったことがあったけど、それはしっかりした芯があるってことだと思う。ドイツ遠征で多くの選手を試したり、毎週Jリーグの視察に行くのも「ちゃんとプレーを見て判断しました」という彼なりの筋の通し方なんじゃないかな。

 

岩本 森保さんは、スタジアムでJリーグを視察しているときも、手元にiPadを置いて、海外の日本人選手の試合を見ているからね。

 

福田 雰囲気は代表監督になってからも、まったく変わらない。Jリーグのスタジアムに解説の仕事で行くと、視察に来ていた森保が必ず挨拶に来てくれる。そんな代表監督は世界中探してもいない。髪型も30年前からあのままだし。

 

岩本 白髪が1本もないしね。マイペースだけど、芯がブレないのが “ポイチ” 。

 

 ともに優勝経験のあるドイツ(4回)とスペイン(1回)と同じグループになり、決勝トーナメント進出は厳しいとの見方が大勢を占める。

 

福田 大事なのは初戦。それに、2戦めのコスタリカには何があっても勝たないと。

 

岩本 ただ、コスタリカもいいサッカーをしている。

 

福田 とはいえ、グループ突破には勝ちが必須。でも、スペインは伝統的にストライカーがいないし、粘れば引き分けはあるんじゃないかという気はする。むしろ、ドイツのほうが怖い。でも、ドイツも圧倒的なFWが不在という問題を抱えているみたい。俺は森保と “ドーハの悲劇” を味わったから、その無念をドーハで晴らしてほしい。

 

岩本 予選から本大会まで、4年間やった日本人監督は初めて。とにかく楽しんで戦ってほしいね。

 

*W杯メンバー発表前、最後の合宿となったドイツ遠征はアメリカ(〇2‐0、9月23日)とエクアドル(△0‐0、同27日)と対戦し、1勝1分け。アメリカ戦は主力とみられるメンバーを起用し、鎌田大地と三笘薫のゴールで快勝したが、エクアドル戦はスタメン11人を入れ替える “ターンオーバー” 采配に賛否の声が挙がっていた

 

写真・渡辺航滋
取材&文・栗原正夫

 

成績は10月21日時点(日本時間)

( 週刊FLASH 2022年11月8日号 )

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