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日本人初「ムエタイ2大殿堂」統一王者・吉成名高の謙虚すぎる素顔 「RIZIN」6連続KO勝利も「『相手をぶっ飛ばす』とか、あまり思わないんです」

スポーツ 投稿日:2022.11.12 16:45FLASH編集部

日本人初「ムエタイ2大殿堂」統一王者・吉成名高の謙虚すぎる素顔 「RIZIN」6連続KO勝利も「『相手をぶっ飛ばす』とか、あまり思わないんです」

「記事を読んでくださった方が、ムエタイに興味を持ってもらえると嬉しいです!」(写真・久保貴弘)

 

「本日はよろしくお願いします!」

 

 インタビューの指定場所である、エイワスポーツジム(神奈川県横浜市)の前に集合していた取材チームに気づいた吉成名高(21)は、そう言って何度も何度も頭を下げた。

 

 この物腰の柔らかな好青年が、タイの国技にして、“最強の立ち技格闘技”といわれるタイ式キック・ボクシング「ムエタイ」の2大殿堂のタイトル「ラジャダムナン・スタジアム」と「ルンピニー・スタジアム」の統一を達成した。これは日本人初の快挙である。

 

 

 2020年8月からは、総合格闘技「RIZIN」にも参戦し、現在、6連続KO勝利中。えげつない肘でKO街道を驀進中の“ムエタイミライモンスター”に話を聞いた。

 

――あんまり丁寧に挨拶されるので、かえって恐縮してしまいました(笑)。

 

吉成:(笑)。試合前も、「相手をぶっ飛ばす」とか、あまり思わないんです。会見で言うのも……。(ジムの)会長から「言え」と言われたら言いますけど、きっとぎこちなくなっちゃうでしょうね(笑)。

 

――しかしこれまで、圧倒的な戦績を残されてきています。

 

吉成:僕はプロになってから、50回くらい試合していますけど、この歳でこれだけ試合をこなしてきた選手は、日本人だとなかなかいないと思います。戦績は、日本とタイの試合を合わせると、49戦43勝5敗1分けです。

 

――吉成選手が、ムエタイを始めたきっかけを教えてください。

 

吉成:僕は4歳で空手を始めたのですが、空手は階級がなく、学年で分かれているんです。僕は体が小さかったので、大きな相手と対戦するときは、なかなか自分の技が出せず、特性を生かせないなと思っていました。自分にフィットするのは、階級で分けられているキックボクシングかなと思ったんです。

 

 それで、小学3年生でキックボクシングを始めたのですが、6年生のときに、タイで初めてムエタイを観る機会がありました。そのときに初めて、「ムエタイって格好いいな」って思ったんです。

 

――ムエタイとほかの格闘技が決定的に違う点は何でしょうか?

 

吉成:やっぱり、肘。肘打ちができるところですね。ほかには、お互いクリンチの状態からの攻撃が無制限にできるところ。膝もそうですし、投げもできます。柔道みたいに足をかけて投げるのはダメなんですけど、いわゆる首投げはOKなんですよ。

 

――吉成選手は2019年4月、日本人初の「ラジャダムナン・スタジアム」と「ルンピニー・スタジアム」の統一王者になりました。そもそも、この2つは何がどう違うのでしょうか?

 

吉成:ラジャはもともと、王室系の団体が運営していて(現在は民間企業が運営)、ルンピニーはタイ陸軍が運営しているんですよ。ルール的にはほぼ同じですが、ルンピニーのほうが殴り合う選手、前に出る選手が多くて、ラジャの選手は、テクニック的にうまい選手が多いですね。

 

 あと、タイの選手全般にいえるのが、骨が固いことです。「カット」といって、相手が蹴ってくるときに脚を上げてブロックするんですけど、日本人相手だと痛さを感じることはあまりないのに、相手がタイ人だと、むっちゃ痛いです(笑)。

 

――2020年からは総合格闘技「RIZIN」にも参戦し、2022年9月のバンダサック・ソー・トラクンペット戦まで、6連続KO勝利を収めています。

 

吉成:ムエタイの魅力を広めたいと思っているんです。日本のキックの興業にムエタイの選手が出ても、キックの選手に負けちゃうことが多くて……。そういうことが続くと、やっぱりキックのほうが強いんだって認識になっちゃいますよね。たとえば、タイのラジャのチャンピオンがこっちに来て、K-1とかRISEで負けちゃったりすると、やっぱり悔しいです。

 

 でも、ムエタイってやっぱり難しいんですよ。たとえば、ムエタイの選手がキックに挑戦するよりも、キックの選手がムエタイに挑戦するほうが遥かに難しいと思います。それなのに、日本で闘うとなると、キックルールに移っちゃう選手がいるんですよね。それを逆に、こっち(ムエタイ)でやっていきたいなと僕は思っています。

 

――やはり、ムエタイにこだわり続けるのですね。

 

吉成:ラジャとルンピニーの統一はできましたが、それでも僕は、ムエタイの同じ階級のなかでも自分がいちばんだとは思っていないんです。コロナもありましたが、来年は2年ぶりにタイで試合ができそうなので、もう1階級、タイでベルトを獲って、現地の人からもまた認められたいですね。それと並行して、もちろん日本でも試合していきたいと思っています。

 

――11月と12月に試合を控えています。1カ月空けずに連戦ですね。

 

吉成: 11月20日は、ジャパンキックボクシング協会の興行「KICK Insist 14」(後楽園ホール)で、タイのチャイチャナー・ウォーヴィセットジム選手と対戦します。その3週間後の12月11日は、日本のムエタイ大会「ROAD TO ONE & Shimizu presents BOM37」(横浜大さん橋ホール)のメインイベントで、空龍選手と試合します。でも、3週間ぐらいの感覚で試合するのは、タイではざらにあるので、僕的には別に苦じゃないです。

 

――最後に、読者へメッセージをお願いします。

 

吉成:自分はいま、ムエタイという競技を盛り上げるために活動をしているんですけど、自分の力だけじゃ上にいけないですし、僕だけじゃなく、ほかのムエタイ選手みんなで盛り上げていけるように、業界全体の底上げをしていきたいです。そのためには、ファンのみなさんの力が必要だと思うので、記事を読んでくださった方は、ムエタイに興味を持ってもらえると嬉しいです。よろしくお願いします!

 

――【収録を終えて】ありがとうございました。ところで、休みの日は何をしているんですか?

 

吉成:今年、ファイトマネーで車を買ったんですよ。BMW X2というSUVタイプを、現金一括で買いました。それで、横浜をドライブしたりしています。あとは、ジムの仲間の試合もあって、なかなか難しいんですが、乃木坂46のライブに行ってみたいですね。先日、卒業を発表されましたが、齋藤飛鳥さん推しなんです。いつか機会があればお会いしたいです! まずは僕の存在を知ってもらうためにも、頑張らないとですね(笑)。

( SmartFLASH )

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