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中日のトレード連発に“星野仙一が放出した男”平野謙が語る「京田陽太」との相違点と共通点「俺と仙さんに、確執はなかった」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2022.11.23 15:26 最終更新日:2022.11.23 15:32

中日のトレード連発に“星野仙一が放出した男”平野謙が語る「京田陽太」との相違点と共通点「俺と仙さんに、確執はなかった」

横浜DeNAベイスターズにトレードされた京田は11月19日、報道陣に「野球人としての京田陽太とすれば、本当にありがたいチャンス」と語った(写真・時事通信)

 

 11月15日に明らかになったトレードから、プロ野球中日ドラゴンズのオフには激震が走っている。

 

 15日に一報が届いたのは、中日のレギュラーだった阿部寿樹内野手(32)と、東北楽天ゴールデンイーグルスで、2020年に最多勝に輝いた涌井秀章投手(36)の交換トレードだった。

 

 さらに11月18日には、選手会長を務める京田陽太内野手(28)と、横浜DeNAベイスターズのリリーフ・砂田毅樹(よしき)投手(27)の交換トレードも発表された。

 

 

 立浪和義監督(53)の就任1年めに貧打で苦しんだ中日だが、主軸打者を務めていた阿部と、かつて新人王にも輝いた京田という“主力級野手”を、相次いで投手との交換トレードで放出したことは、中日ファンを始めとして、球界で波紋を呼んでいる。

 

「京田といえば、5月4日のDeNA戦で試合途中に名古屋に“強制送還”されて、二軍落ちした経緯がありました。そのため、トレード発表前から噂は立っていたんです。

 

 ただ、野球専門メディア『Full-Count』が11月19日に報じたところによると、京田がトレードを告げられた際に、立浪監督から『ずっと頑固やったな。なんでそんなに頑固なんや? 去年の秋から言ってきたけど、お前変わらんかったな』という言葉をかけられたそうで、シビアな“見切り”だったことが伺えます」(プロ野球担当記者)

 

 立浪監督がプロ野球選手としての第一歩を踏み出した1988年、中日の監督を務めていたのは、“闘将”と呼ばれた故・星野仙一氏だった。

 

 星野氏は1986年オフに、牛島和彦氏ら4選手との交換で、ロッテ・オリオンズから落合博満氏を獲得。1987年オフには、1番打者を務めていた平野謙氏と西武ライオンズの投手・小野和幸氏の交換トレードをおこなうなど、大胆な“血の入れ替え”を実施。

 

 結果として、背番号「3」の平野氏が抜けた中日の上位打線を埋める形で入ったのが、新人で背番号「3」を背負った立浪現監督だったのだ。

 

「そのため、今回のトレードに加えて、平田良介ら大量12人に戦力外通告をおこなったことについて“星野譲りの血の入れ替え”と見る向きも多いんです」(前出・プロ野球担当記者)

 

 なかでも、シーズン中から立浪監督との関係が取り沙汰された京田のトレードは、1987年のシーズン中に確執が噂され、トレードに出された平野謙氏のケースに似ているように思える。

 

 そこで張本人の平野氏に、星野流トレードと立浪流トレードの印象の違いなどを聞いた。

 

 まず、平野氏自身がトレードされた際の状況を振り返る。

 

「俺のときは、浜松での秋季キャンプ中に、仙さん(星野監督)に呼ばれてトレードを告げられたんだけど、その前からスポーツ紙に『平野トレードか?』って書かれていたし、俺自身、覚悟もしてたんだよね。

 

 俺と仙さんに確執はなかったよ。普通に話していたし、仙さんがどうのこうのじゃなくて、俺の怪我が原因だよね。

 

 前年(1986年)に盗塁王を獲ったけど、けっこう無理してたから脚を痛めて、仙さんの就任1年めのキャンプには出遅れてしまった。脚を痛めながら、シーズン中も隠し隠しでやっていたから、どうしても監督に成り立ての仙さんから見たら、手を抜いてる、と見えたかもしれない。

 

 言わなかった俺も悪かったかもしれないけど、言えば言ったで、当時は一度、代えられたら、なかなか次に出ることはできなかったからね」

 

 状況が似て見える、今回の京田のトレードを、平野氏はどう見ているのだろうか?

 

「俺は仙さんから『変わらんかったな』とかは言われたことないし、俺のプレーがよくなかったわけだから、仕方ないこと。だからそこはまったく違うと思う。

 

 1987年は怪我だったけど、治ればやれてたかもしれない。でも、仮にそのまま(1988年にリーグ優勝する)ドラゴンズに残ってたとして、もし同じような状態だったら、俺は飼い殺しになるわけでしょ。

 

 京田の場合はどうかわからないけど、俺の場合は、仙さんが環境を変えて俺に野球を続けさせてくれた、と思って感謝しているんですよ。西武は使ってくれたわけだから、それを考えたら、ぜんぜんよかったよね」

 

 京田と立浪監督の関係性について「本当のところは俺にはわからない」としながらも、平野氏が続ける。

 

「立浪監督は、京田に対して期待してたと思うんだよ。仙さんも俺に対してそうだったと思うし。就任前に俺は盗塁王を獲ってたし、1番打者としてやってたから。

 

 でも、結果的には裏切られているわけでしょ、両監督とも。だから、俺のときと似てるとすれば、そこかな。

 

 だから、京田も意地を見せて『まだやれますよ』というところを見せてほしいし、あとはもう、当人がどれだけ頑張るかだよ」

 

 立浪監督が「星野イズム」を継いでいるといわれる点に関しては「あまりそういうことには興味がないんだけど……」と苦笑しながらも、こう話した。

 

「やっぱり、勝ちたいというのは仙さんと一緒だろうからね。

 

 そのためには何らかの手を打たないといけないし、監督が代わって勝てるシーズンというのは、その監督が見出した選手が1人、2人と出てきたり、ルーキーが出てきたり、何年もくすぶってた選手が出てきたり……そういうことがあるわけですよ。

 

 だけど、2022年の中日は勝てなかったわけだから、やっぱりもう1回“血の入れ替え”をするしかないんじゃないかな。

 

 今回のトレードが得か、損かを論じるのは、やっぱり来年の結果を見てからの話だよ。やっぱり中日は古巣だから気になるし、来年に期待したいね」

( SmartFLASH )

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