「勝負が好きなんです。緊張はないですね。強い相手と対戦するのは楽しい」
五月場所で新入幕したばかりの阿武咲(21)だが、負けん気の強さはいかにも大物だ。高校を1年の途中で中退し、入門した。
「あえて厳しい部屋を選びました。力士でいられるのは長くても20年。その時間を濃いものにしたいんです」
「マジで好きなんです」という音楽の話になると表情が崩れる。本誌が取材した日には、部屋近くのカラオケ店で床山さんとケミストリーを熱唱。場所中も通うほど好きで、歌唱力はプロ並みだ。
ライバルであり親友でもある存在が貴景勝(前頭・貴乃花部屋)だ。
「同学年で小学生のころから知ってます。嫌いでした(笑)。あいつが先に幕内に上がったときは悔しかった。でも性格が似てるんでしょうね。今は巡業でもずっと一緒にいるほどの仲になっちゃいました。先場所負けてるんで、名古屋では絶対に勝ちますよ」
そしてもう一人、大きな影響を与えているのが横綱・稀勢の里だ。
「本当にカッコいい。稽古でもプライベートでもかわいがってもらっているので、いつか勝って恩返ししたいです」
今場所前に出稽古し、阿武咲と連日の三番稽古をおこなった横綱も「本当に強くなっている。力をつけた」と、 成長に太鼓判を押す。
名古屋場所では、新入幕から2場所連続で2桁勝利をあげた。史上7人目の快挙だ。
おうのしょう
1996年7月4日生まれ 青森県出身 阿武松部 176センチ 155キロ 2013年一月初土俵。2015年一月場所で新十両。新入幕の2017年五月場所で10勝を挙げて、敢闘賞を受賞。得意は「突き」、「押し」
(週刊FLASH 2017年7月18日号)