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吉田正尚 本塁打数、打点、打率から見るMLB1年めの好調ぶり…松井、イチロー、大谷に並ぶ「偉業」なるか

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.05.20 20:47 最終更新日:2023.05.20 21:40

吉田正尚 本塁打数、打点、打率から見るMLB1年めの好調ぶり…松井、イチロー、大谷に並ぶ「偉業」なるか

(写真・AP/アフロ)

 

 MLBで、吉田正尚(まさたか・レッドソックス)選手の好調な打撃が話題になっている。チームが45試合を消化した時点で打率.299、本塁打6本、打点28、OPS.871という、堂々たる成績。現時点では、今季のルーキーのなかで本塁打は4位タイ、打点は1位、そして規定打席数に達しているルーキーのなかで打率はトップ、OPSは2位である。

 

 4月には不調な時期もあり、心配されたが、そこからすばらしい適応力を見せた。1年めの序盤からここまで適応できると想像できた人は、どれほどいただろうか。というのも、これまでもNPBですばらしい成績を残した日本人野手がMLBに移籍したが、そのほとんどが、とくに1年めは苦労しているからだ。

 

 

 まだ5月であり、これから不振や怪我もあるかもしれないから、少し気が早いのだが、いまのペースで吉田選手が打ち続けたらどうなるのか。まず、本塁打は年間22本のペースである。日本人メジャーリーガーで1年めに20本塁打を超えたのは、2018年の大谷翔平選手(22本)だけであり、いまのところ日本人選手の1年めとしては記録的なペースだといえる。

 

 もし、これからペースが上がって30本塁打に到達するとなると、そもそも日本人選手で30本塁打以上を記録したのは松井秀喜氏(2004年に31本)と大谷選手(2021年46本、2022年34本)しかいない。

 

 打点については現在、年間100打点のペース。1年めに100打点に到達した日本人野手は、松井秀喜氏(2003年106打点)だけ。次に多かったルーキーは、城島健司氏(2006年76打点)だ。このままのペースだと、日本人野手1年めとしては2位の記録になるが、100打点に到達すれば、ルーキーの日本人野手としては松井秀喜氏以来、20年ぶりということになる。

 

 さらに、個人的に注目したいのは打率だ。吉田選手はNPBで7年間プレーしたが、規定打席に到達した5シーズンで2度、首位打者になり、NPB通算打率は.327。もっとも、日本で安打製造機と呼ばれた選手でも、MLBで3割以上の打率を残すことは非常に困難なのは、周知のとおりである。たとえばNPBで首位打者3度という実績のあった青木宣親選手でさえ、MLBではついに3割に届かなかった(もちろん、MLB在籍6年間のうち5シーズンで.280台の打率を残し、通算.285はすばらしい成績である)。

 

 MLB1年めに3割を打った日本人野手は、イチロー氏(2001年.350)だけ。さらに、そもそもMLBで3割を打った日本人野手は、イチロー氏のほかに松井秀喜氏(2005年.305)しかいない。つまり、吉田選手が1年めから3割に到達すれば、イチロー氏以来22年ぶりのことであり、日本人野手で3人めということになる。ちなみに、イチロー氏は、ルーキーイヤーから10年連続で3割以上を記録しており、首位打者にも2度、輝いた。あらためて、異次元としか言いようがない。

 

 2023年、吉田選手が3割を記録した場合、それを偉業と呼んでいい理由はほかにもある。これはNPBでも同様だが、MLBでは3割打者が年々、減ってきている。直近の2022年は、MLB全体でわずかに11人しかいなかった。2021年の14人から3人減っている。2022年の5年前に当たる2017年は3割以上が25人、2012年は26人、2007年はじつに40人、2002年は35人だった。

 

 なお、2023年シーズンは内野の極端なシフトが禁止され、これにより打者の打率が上昇すると考えられていたが、現時点でのMLB全体の平均打率は.248である。2022年は.243、2021年は.244、2020年は.245だった。前年より5厘、上昇しており、見方によっては大きな差といえるし、2023年は2022年よりは3割打者が増えるかもしれないが、依然として全体的には低打率の時代だといえるだろう。

 

 野球において長年、3割というのは一流打者の目安であり、いまもそれは変わっていないだろうが、その時代によって価値も異なる。現代においてMLBで3割に到達することは、5~20年前に比べると、より困難だといえそうだ。そんななかで吉田選手がどれだけの打率、そして打撃成績を残すのか、今後も目が離せない。

 

※記録はすべて現地時間5月19日時点

 

文・小島一貴

( SmartFLASH )

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