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森保ジャパンの “秘密兵器” 中村敬斗、ド緊張の招集裏話を明かす…意外な野望は「武井壮さんに会いたい」
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2023.06.15 06:00 最終更新日:2023.06.15 06:00
6月の「キリンチャレンジカップ」では、日本代表の攻撃陣に新たな風を吹きこむであろう若武者に注目したい。
2022-2023シーズン、オーストリア1部リーグ3位の強豪LASKで、チームトップの公式戦17得点を記録し、3月のウルグアイ戦で日の丸デビューを飾った中村敬斗(22)だ。
今シーズンのホーム最終戦となった5月28日、本拠地ライフファイゼン・アレーナにて、中村は終始笑顔でインタビューに応じてくれた。
自然と笑みがこぼれるのには理由があった。2試合に1得点以上のペースでゴールを量産してきた中村だったが、最後にネットを揺らしたのは4月9日。この日は7試合ぶりのゴールで、チームを勝利に導いた直後だったからだ。
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「このまま点を取らないで(シーズンが)終わるのかなと、ちょっと思っていました」
相手ゴール付近まで駆け上がったかと思えば、直後に自陣ゴール前まで必死に戻るなど、守備での貢献も顕著だ。
「点を取るなど攻撃面だけで上のレベルに行くのはなかなか難しい。守備やハードワークはやって当たり前。3月に、初招集されてから『(代表に)生き残りたい』という気持ちがすごく強くなって。
だから、今回も練習から見せていきたいし、出場機会を与えられたらハードワークをして持ち味を出していきたいです」
初招集のときは喜びもあったが、不安と緊張のほうが強かったという。
「『選ばれたけど、俺大丈夫かな?』って不安がすごくあって。オランダやベルギーでもやってきましたけど、正直オーストリアリーグでしか結果を残していない。
代表の選手は、みんな5大リーグでやっている選手ばかりで、どのくらいのレベルかわからなかったんです。いざ代表に行ったら、もちろんやれるところもありましたが、まだ足りないって思う部分もありました。
だけど今回は不安とか緊張ではなく、喜びが100でしたね」
サッカーを始めたばかりの幼少期の中村にとって憧れだった日本人選手は、“10番” が代名詞の中村俊輔だった。
「代表のユニホームは、中村俊輔さんの10番を着ていました。同じ中村ですし(笑)。最初に好きになった外国人選手はロナウジーニョ。ユニホームも持っていました。ほかには、クリスティアーノ・ロナウドやカカが好きでした」
中村が欧州での挑戦を開始したのは2019年の夏。ガンバ大阪を離れて最初に所属したクラブは、オランダのトゥエンテだった。それから丸4年、プロ生活のほとんどを国外で過ごす中村にとって、もっとも成長した部分はどこなのか。
「プレー面の成長ももちろんですけど、メンタル面がよくなったかな。いろいろな人とコミュニケーションを取るようになりましたし、こちらの人の性格もある程度掴めるようになってきました。
欧州の選手は『終わったことは終わったこと』みたいなスタイル。僕は日本人だし、考えちゃうほうですけど、以前よりは引きずらなくなりましたね」
オン・オフの切り替えも上手になったと話すが、プライベートはどんな様子なのか。
「チームメイトと、洋服を買うためにウィーンまで行ったり。あと、オーストリアはきれいな湖がたくさんあるので、湖でくつろいだりですかね。
ここ1~2カ月くらいは、チームメイトとよくチェスで対戦しています。携帯でオンラインのときもあるし、実際にチェス盤で対局したり。今日も試合前に対戦して、負けて『なんだかなぁ』と思いながら試合に入ったのですが、ゴールできました(笑)」
食事にも細かく神経を使っているのかと聞くと……。
「オランダ、ベルギーでは頑張って作ってましたが、オーストリアに来て魚を調理して食中毒になってから、あまりやらなくなりました。自炊は週2回くらいで、あとは外食。
ただ、毎回イタリアンに行ってピザやパスタではなく、行きつけのベトナム料理店では、いい油を使った料理を特別に作ってくれるんです。店に行くと『いつものにする?』って聞かれます(笑)」
最後に気になる有名人を聞いてみると、出てきた答えは武井壮。
「百獣の王を名乗られていておもしろいですよね。以前、インタビューで『武井壮さんが好きです』と答えたら、その後、武井さんから『ありがとう』って連絡をいただいて。お会いしたことはないんですが、移籍したときもインスタグラムで連絡をいただきました」
森保ジャパンの “秘密兵器” は、代表で結果を残して “百獣の王” との対面を夢見る。
なかむらけいと
2000年7月28日生まれ 千葉県我孫子市出身 17歳でガンバ大阪とプロ契約し、その1年半後にオランダ1部へ移籍。2022-2023シーズン、オーストリア1部の日本人最多得点記録を更新した
写真・渡辺航滋、取材・文/鈴木智貴