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2000本安打「鳥谷敬」練習は歯磨きと一緒のストイック男
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2017.09.14 06:00 最終更新日:2017.09.14 06:00
もしあのとき、“吸血鬼”の助言がなければ、鳥谷敬(36)の2000本安打達成はもう少し遅れていたかもしれない。
2014年オフ、鳥谷は海外FA権を行使した。だが手を挙げた球団の評価は、それまでの年俸3億円には到底及ばなかった。
そんなとき、鳥谷の代理人で、メジャー全球団から「多額の金を吸い取る」ことで、“吸血鬼”と恐れられていたスコット・ボラスが、「メジャーではレギュラーが確約されていない。5年総額20億円といちばん評価しているのは、日本のタイガース。残ったほうがいい」とアドバイス。事実上、阪神残留が決まった瞬間だった。
FA宣言したからチームを捨てたと思われても仕方なかったが、阪神は球団史上最高の条件を提示。実力は申し分ない。だが最も評価したのは、誰よりも練習する姿勢と、多くの若手に慕われていること。
だからこそ高額提示だけでなく、引退後のバックアップも約束。以来、鳥谷は『阪神で現役を終える。このチームで日本一になりたい』 と口にするようになった」(担当記者)
阪神で6年間、ともに主力としてチームを支えた解説者の赤星憲広氏(41)も、鳥谷の練習量に驚いた一人だ。
「入団当初は我が道を行くタイプで、『ナメてんな』という感じでした(笑)。でも、これだけ練習する人間は見たことがなかった。しかも、どんな状況でも毎日続ける継続力を持っている。若手への影響力は大きい。
彼は他人にああしろこうしろとは言わず、行動で見せるタイプ。一度練習量の多さについて聞いたら、『練習は歯磨きと一緒ですから。歯磨きは毎日しませんか? 毎日やらないと気持ち悪い』ですからね。僕が彼みたいに練習をしていたら、もっと早くに壊れています(笑)」
切り替えの早さも特筆ものだという。
「入団2、3年めのころ、彼が打てなくて負けたときがあった。落ち込んでいると思って、移動の新幹線で何か声をかけようと、前日から悩んでいたんです。ところが座って3分後くらいに話しかけようと思ったら、もう寝ていた(笑)。
東京までいっさい起きず、『寝足りなかったぶん、ここで寝られました』と。前日のことなんかまったく引きずっていなかった。悩んでたのは僕のほうだった(笑)。プロは140試合以上するわけですから、この切り替えの早さも必要なことなんです」
偉業達成の瞬間、塁上の彼はやっぱりクールだった。
(週刊FLASH 2017年9月26日号)