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1985年の日本一は「長い暗黒期への始まり」でも…岡田阪神の「黄金時代到来」を確信する5つの理由

スポーツ 投稿日:2023.11.08 15:23FLASH編集部

1985年の日本一は「長い暗黒期への始まり」でも…岡田阪神の「黄金時代到来」を確信する5つの理由

7戦までもつれた日本シリーズを4勝3敗で制した岡田監督(写真・馬詰雅浩)

 

 日本シリーズでパ・リーグ3連覇のオリックスを倒し、38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガース。前回の1985年の日本一の際も大フィーバーが起こったが、翌年は3位。2年後の1987年は最下位に沈み、輝きは一瞬で終わった。以降の16年間で、Aクラス一度だけ、最下位は10度と大低迷。日本一は長い暗黒期への入り口だった。今回はどうなるのだろうか。

 

「今の阪神を見ると、この日本一を皮切りに黄金時代が到来する可能性を十分に秘めています。まず、打撃陣を比べると、前回の日本一の主力メンバーは一番の真弓明信、四番の掛布雅之、六番の佐野仙好など主力のほとんどが30代で、20代は五番の岡田彰布、ショートの平田勝男、捕手の木戸克彦の3人くらいでした。

 

 

 しかし今年のレギュラークラスで、30代は捕手の梅野隆太郎だけ。一番の近本光司、四番の大山悠輔は28歳、二番の中野拓夢は27歳と円熟期に入っている。三番の森下翔太は新人、五番の佐藤輝明は24歳とまだまだこれから伸びる。1985年は各選手のピークが揃った感がありましたが、今年の打線は若くて伸びしろがあるんです」(ベテラン記者。以下同)

 

 1985年の主力のうち、その後のプロ野球人生で同年以上の成績を上げた選手はランディ・バースだけ。三冠王で日本一の立役者となった“史上最強の助っ人”は翌年、今も破られていないシーズン最高打率3割8分9厘をマークし、2年連続のトリプルクラウンを達成した。

 

「今年の優勝が助っ人に頼っていない点も、これから黄金時代を迎えそうな理由のひとつです。1985年は、バースの力が大き過ぎた。一人の力に依存しすぎると、いなくなったときに大幅な戦力ダウンになる。実際、阪神の暗黒期は1988年のシーズン途中にバースが退団してから本格的に始まった」

 

 日本一達成年の助っ人打者を比較すると、今年のノイジー、ミエセスは合計142安打、14本塁打、72打点、50四球。1985年はバース一人で174安打、54本塁打、134打点、67四球だった。1985年のバースのすごさが際立つが、逆にいえば2023年は外国人に頼らなくても日本一になれたのだ。

 

「投手陣の層の厚さは比べものになりません。1985年はゲイル、中田良弘、池田親興の先発3本柱はいずれも防御率が4点台。打線に助けられて、勝ち星を積み上げる状態でした。リリーフでは福間納、山本和行という左腕がチームを救いましたが、2人とも35歳前後でした。

 

 しかし、今年は村上頌樹が1.75で最優秀防御率を獲得し、左腕の伊藤将司も2.39でリーグ5位。惜しくも規定投球回数に到達できなかった左腕の大竹耕太郎が2.26、才木浩人が1.82と先発陣の安定感が違います。救援陣のチーム防御率も2.37と驚異的です。来年は高卒5年めになる西純矢のローテーション入りが期待されますし、今年怪我で棒に振ったものの日本シリーズで復活した湯浅京己も1年を通して活躍するでしょう」

 

 暗黒時代も、若手投手陣が台頭した年はあった。野村克也監督のヤクルトと優勝を争って2位になった1992年、仲田幸司、湯舟敏郎、中込伸、野田浩司、葛西稔などが好投して投手王国誕生かと思われた。

 

「1992年はオフに野田浩司をオリックスに放出し、ベテラン打者の松永浩美を獲得した。終盤に打てなくて優勝を逃したためのトレードでしたが、10勝を計算できる20代投手の移籍はその後の低迷に大きく影響しました。また、あの年は3年連続でローテーションを守っている投手はいなかった。各投手が突然変異のようによくなったんです。確かに、今年の阪神も村上は実質1年めですし、大竹が来年も活躍できるかは未知数です。それでも青柳晃洋、西勇輝という実績のある投手が控えており、来年いきなり投手崩壊が起こるとは思えません。1992年とは違う状況です」

 

 1980年代後半から2000年代初頭にかけての暗黒時代と比べ、フロントが様変わりしている点も大きいという。

 

「当時は場当たり的な補強が多く、ベテランばかり獲っていた。これが低迷を長期化させた大きな原因といっても過言ではありません。1985年の日本一になったオフには、金銭トレードで日本ハムから34歳になる柏原純一を獲得しています。翌年は、掛布のたび重なる戦線離脱があり、柏原がその穴を埋めました。一見、成功したように思えますが、若手の出番はそのぶん減ってしまった。

 

 1986年オフには来季27歳になる吉竹春樹外野手、23歳になる前田耕司投手を西武に放出して、33歳になる田尾安志外野手を獲った。吉竹は守備や走塁で、西武の黄金時代に欠かせない選手になりますが、田尾は全盛期のような活躍はできなかった。1990年オフには若い遠山昭治投手を出して、ベテランの高橋慶彦内野手を獲得しましたが、やはりうまくいかなかった。このころの阪神は1985年優勝の残像にとらわれ、打ち勝つ野球を目指してしまった」

 

 近年の阪神は大山悠輔、近本光司、佐藤輝明、森下翔太などドラフト1位が順調に育っており、トレードでベテランばかりを補強することもなくなった。

 

「選手の動向に目をやると、今季のFA有資格者は岩貞祐太と梅野隆太郎しかいません。ほかの主力もFA権取得までにはまだ時間がかかる。また人気球団なので、自らFAで阪神を去る可能性は低い。過去に阪神から国内の他球団へのFA移籍は7人いますが、生え抜きは仲田幸司、藤本敦士、大和の3人だけです。いずれも出場機会を求めての移籍で、バリバリの主力が国内FAした例はありません。FA流出の可能性が低いことも、チーム力の安定に繋がります」

 

 そして、岡田彰布監督の存在も“黄金時代到来”の大きな理由になる。

 

「2004年からの第1次監督時代も5年で4回Aクラスに入っており、初年度以外はすべて終盤まで優勝争いに絡んでいた。当時は巨人がFAなどで大補強をしており、中日には落合博満監督という策士がいた。しかし、今の巨人は昔のように他球団から戦力を奪い取れなくなっているし、立浪和義監督の中日は低迷している。DeNAや広島は怖い存在ですし、ヤクルトは来季巻き返してくるでしょうけど、今年の戦い方を見ても、岡田監督の戦略や戦術は群を抜いている。

 

 ただ、黄金時代に向けて唯一不安があるとすれば、11月で66歳になる岡田監督の年齢でしょう。来年は指揮をまっとうしても、再来年以降はどうなるか。球団としてはできる限りやって欲しいと考えているでしょう」

 

 岡田政権のもとで次期監督を育てられるかどうか。それが阪神黄金時代到来の最大のポイントになるかもしれないーー。

( SmartFLASH )

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