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「掛布雅之」阪神二軍監督が金本監督から見限られた瞬間

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2017.10.05 06:00 最終更新日:2017.10.05 06:00

「掛布雅之」阪神二軍監督が金本監督から見限られた瞬間

 

 金本知憲(49)と掛布雅之(62)。世代は違えど似た者同士である。入団はドラフト4位と6位の下位指名。

 

 金本監督のスタートは、猛練習で知られる広島。時には鉄拳制裁も辞さない環境に、「人間扱いされていなかった」と振り返ったこともあった。

 

 掛布監督は、ほぼテスト生の扱いで入団。線が細く、それを補うために来る日も来る日もバットを振りつづけた。そうした努力があったからこそ、2人は球界を代表する打者へと成長した。

 

 指導者として迎えられた状況も似ている。金本監督は2015年オフ、「ダメなやつらを叩き直してほしい」との殺し文句の末、阪神の33代目監督に就任。「あなたの技術、経験を若手に注入してほしい」と、掛布二軍監督が誕生したのも2015年オフ。ともに三顧の礼をもって迎え入れられたわけである。

 

 ただ、「選手を教える」ことについて、2人には決定的な違いがあった。

 

 金本監督の、とくに二軍における指導の理想は広島時代にあった。猛練習が当たり前で、「練習は裏切らない」を地でいく指導法だ。

 

 対する掛布監督の指導法は、厳しくするより、考える習慣、自主性を重んじた。根本には「平成生まれの選手に強制的な練習は効果がない。褒めることから始める」がある。打てなくても、「いいスイングだった。ただ、こうするともっとよくなるよ」というやり方。

 

 そうした2人に、決定的な “事件” が起こった。

 

「ある試合で選手がミスしたとき、二軍コーチが叱責。すると掛布監督は、『失敗しても積極的にいけ』と選手に言い、逆にコーチを戒めた。金本監督の希望で誕生した掛布二軍監督だったが、これを伝え聞いたとき、もう二軍をまかせることはできないと判断したようだ」(担当記者)

 

 一方、フロントは掛布監督が身を引くことに頭を痛めている。じつは、ファンの間では掛布監督を支持する声が圧倒的。辞めるべきは金本監督で、一軍の監督に掛布をという声も多い。

 

 だからこそ阪神は、2018年からオーナー付きのアドバイザーの職を用意して、引き続き球団に留まるよう要請したのだ。

 

 9月28日、掛布監督の最終試合にはテレビカメラ8台、報道陣約50人、観客も二軍戦では異例の7131人が甲子園に集まった。そして試合後、グラウンドでおこなわれたインタビューには、掛布監督の意地が垣間見えた。

 

「若い選手が着実に力をつけてきている。ある程度の成果はあったのかな。今の子供たちとは世代が違うので、受け入れられるか不安はあった。上から選手を見て指導するというのだけは絶対にしてはいけないと。選手に変われと言うよりも、僕たちが変わって距離を詰めてあげるのが大切という思いがあった。2年間の自己採点? それは31点ということで(笑)」

 

 選手たちからの胴上げを「優勝監督と引退選手がされるもの」と固辞。最後まで、“ミスタータイガース” としての美学を貫いた。

 

(週刊FLASH 2017年10月17・24日合併号)

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