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「速さより球質」MLBデータで分かった今永昇太の武器 大谷、山本を上回る三振を取るための指標

スポーツ 投稿日:2024.04.04 15:25FLASH編集部

「速さより球質」MLBデータで分かった今永昇太の武器 大谷、山本を上回る三振を取るための指標

デビュー戦で初勝利をあげた今永昇太(写真・アフロ)

 

 2024年シーズンからシカゴ・カブスに加入した今永昇太投手は、6回9奪三振2安打無失点と圧巻のデビュー戦でMLB初勝利を挙げた。

 

 この日の今永選手が投じた直球(4シーム)の平均球速は92.5マイル(148.8キロ)。NPBの先発投手としては速いと思われるが、MLBではどうだろうか。

 

 2023年のMLBのレギュラーシーズンで、最低でも250球以上を投げた投手は603名。そのうち4シームを投げた投手は554名だった(中には4シームを一切投げないという投手もいる)。92.5マイルという球速がどのくらいの順位かというと、実に554名中417位相当である。球速という意味では、MLBにおいて今永投手はむしろ遅いほうだと言わざるを得ない。

 

 

 しかし、6回9奪三振は特筆すべきだ。もちろん、三振を取るためには直球だけでなく、変化球とのコンビネーションや配球、制球力、さらには球の出どころのわかりにくさなど、重要なポイントは多い。とはいえ、やはり速球派の投手が多く三振を奪える傾向にある。今永投手はなぜ、これほど多くの三振を奪うことができたのか。

 

 答えの一つは直球の回転数にありそうだ。この試合の4シームの平均回転数は2386。これを2023年のMLBのデータに当てはめると、554人中112位に相当する。MLBでも上位20%に入るくらいだから、かなり優秀な数値だ。日本でも今永投手の直球は伸びがあると言われていたが、それを裏付けるデータとなった。

 

 回転数の高い直球を投げる投手は、空振りやフライアウトが多くなる傾向がある(フライボールピッチャーとも言われる)。実際にこの試合では、フライアウト8に対してゴロアウトは0(ただしサードゴロの失策が1)。4シームに対して33スイングのうち、空振りは5だった。

 

 参考までに、同じく移籍1年めとなる山本由伸投手(ドジャース)は、今季2試合めの登板で5回5奪三振2安打無失点と好投したが、ゴロアウト6に対してフライアウト1だった。4シームに対して14スイングあったうち、空振りは0である。なお、この試合での山本投手の4シームの平均球速は95.0マイル(152.9キロ)。2023年のMLBでは554人中182位に相当する速さで、先発投手としてはかなり速いほうだと言える。その一方で、平均回転数は2180で、407位相当だった。

 

 ちなみに2023年の大谷翔平選手の4シームは、平均球速96.8マイル(54位タイ)、平均回転数2260(285位タイ)。今永投手の平均回転数は山本投手だけでなく大谷選手をもしのぐ。2023年を通じて先日の今永投手より高い平均回転数を記録した日本人メジャーリーガーは、ダルビッシュ有投手(2406で98位)だけだった。

 

 今永投手も山本投手もまだ1~2試合しか登板しておらず、今後数値が変化する可能性もある。とくに今永投手のようなフライボールピッチャーは、調子が落ちると被本塁打が増える傾向があると言われている。初めてのMLBでの長いシーズン、コンディションが落ちて打ち込まれる試合もあるかもしれない。

 

 いずれにしても、投手の球速が年々早くなっているMLBで、球速では劣っても回転数の高さを武器にどこまで活躍するのか、今永投手の今後に注目したい。

( SmartFLASH )

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