大谷翔平、山本由伸の加入で、ワールドシリーズの優勝候補筆頭ともいわれているのが、今季のドジャースだ。
昨オフにFAでドジャースに加入した大谷は、移籍直後から真美子さんとの結婚、専属通訳・水原一平容疑者の違法賭博事件に巻き込まれるなど、プライベートな話題にこと欠かなかった。“本業”では、初ホームランには時間がかかったものの、調子は上向いている。4月24日(日本時間・以下同)時点で今季6号本塁打を放ち、松井秀喜氏の持つMLB日本人歴代最多本塁打記録(175本)を2本も更新。昨秋に右肘靭帯の修復手術を受けた影響で、今季は打者に専念しているが、注目度は変わりない。一方の山本は、24日時点で1勝1敗、防御率は4.50と、好不調の波が激しい。
日本のみならず、世界が注目する大谷の今季の様子を、ドジャース番記者2人が明かした。
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――キャンプから約2カ月、いろんなことがあった。
ジャック・ハリス(以下JH)「デスクからは『もっと翔平の話題はないのか?』と、プレッシャーをかけられてるよ(笑)。でも翔平のおかげで『今日は何を書いたらいいんだ?』と困ることはなかった。
それにしても結婚には驚いたよ。チームメイトや球団広報、球団関係者も、誰も知らなかったんだ。翔平がSNSでの結婚発表で会見をするとつづったことも、広報は知らなかった。
日本と米国では、アスリートの結婚報道に大きな違いがあるようだ。米国ではふだん、スポーツ選手の結婚が報じられることは、ほぼない。だが、翔平の結婚に関しては米国でも話題になった。異例中の異例だよ。翔平の話題ならなんでも読まれるからね」
ビル・プランケット(以下、BP)「開幕シリーズの韓国での記者会見で、現地のメディアが結婚の経緯を聞いたとき、フレディ・フリーマン(2020年ナ・リーグMVP)が『俺も聞きたい、俺にも聞かせてくれ』と、わざわざ通訳のイヤホンに手を伸ばしたのはおもしろかった。隣にいたムーキー・ベッツ(2018年ア・リーグMVP)も興味津々だったね」
一方、パドレスとの開幕シリーズ第1戦がおこなわれた3月20日、水原容疑者が違法ブックメーカーへの借金返済として、大谷の口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)を送金したとの疑惑が浮上した。水原容疑者は、同日付でドジャースを解雇された。だがこの時点で、大谷が事件に関与している可能性は捨てきれなかった。
――3月25日、大谷は自身の関与を全面否定する声明を出したが、その会見で質疑応答はなく、すべての疑惑が晴れたわけではなかった。
JH 「『なぜ一平に銀行口座へのアクセス権があったのか』『450万ドルの“消失”に、本当に翔平は気づかなかったのか?』。この2点がクリアになっていなかったからね。ただ、大金が動くメジャースポーツでは、選手がマネージャーなどに口座のアクセス権を与えることはよくあるし、むしろ出入金を把握している選手のほうが稀だと思う」
BP 「多くの選手は複数の銀行口座を持っていて、詳しい明細を把握していない。だからこそ、これまで多くの一流アスリートがマネージャーらにだまされてきた」
JH 「事件の大きさよりもいちばん驚いたのは、一平が翔平を裏切ったことだ。2人の関係を知っていたからこそ、一平が翔平を裏切ったことに、何よりも言葉を失った」
――開幕戦の試合後に、大谷が取材に応じていたが、水原氏の様子はどうだった?
BP 「当時を振り返れば、一平にはおかしなところがたくさんあった。我々が翔平に取材をしようとしたら、広報がストップをかけたんだ。でも、翔平が『どうぞ』と許可した。広報に『大丈夫だよ』と言っていたが、そこに一平はいなかった」
JH 「いつもなら、一平が翔平のそばを離れることはない。一平が戻ってきてから取材が始まったけど、彼の立ち位置がおかしかったんだ。いつもなら翔平の真横にいるのに、少し下がっていた。何か変だと思ったよ」
BP 「いま思えば、開幕戦後の会見時は、一平がチームメイトの前で『自分はギャンブル依存症だ』と告白した直後だったわけだから、彼が憔悴しているように見えたのも納得がいく。一平はあの取材後『すぐに荷物をまとめて出ていけ』と言われていたのかもしれない。実際、翌朝、騒ぎになる前に、一平は韓国を出国していたようだ」
MLBに影を落とした水原一平氏。全容が解明される日は来るのだろうか。
ジャック・ハリス
2021年はエンゼルスを担当し、大谷がMVPを初獲得したシーズンを取材。2022年からドジャース担当。4月12日、水原氏が連邦裁判所へ出廷した件で、ハリス記者だけがコメントを取ることに成功した
ビル・プランケット
1983年からさまざまな新聞社でスポーツを担当。1999年にオレンジ・カウンティ・レジスター紙の野球記者となり、2006~2012年までエンゼルスを担当。2013年からドジャース担当
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